虚構推理短編集 岩永琴子の出現 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065139288

作品紹介・あらすじ

本格ミステリ大賞受賞の「ミステリ×怪異譚」シリーズ累計200万部!!

私たちは概ね嘘で出来ているのですけれど、理(ことわり)だけは通しているのです。お読みになればお解になれます。
ーー京極夏彦、歓喜!

全てが嘘なのに面白い。怪異【不合理】を虚構【不真実】でねじ伏せる、定石破りの屁理屈推理バトル!
井上真偽、驚嘆――!

妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。その悩みは、自身が棲まう沼に他殺
死体を捨てた犯人の動機だった。――「ヌシの大蛇は聞いていた」
山奥で化け狸が作るうどんを食したため、意図せずアリバイが成立してしまった殺人犯に、嘘の真実を創れ。――「幻の自販機」
真実よりも美しい、虚ろな推理を弄ぶ、虚構の推理ここに帰還!

感想・レビュー・書評

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  • 本書は『虚構推理』の続編というか、続編短編集。
    『虚構推理・岩永琴子の出現』という『虚構推理』の前日譚のようなタイトルですが、れっきとした続編です。

    『虚構推理』は普通のミステリーではなく、真実はどうあれ「『本当っぽい』と思わせた仮説を作った方が勝ち」みたいな言葉でのバトルを描いたトリッキーな推理小説です。

    主人公の岩永琴子は、外見は中学生にしか見えませんが実は19歳の大学生。幼少のころ、怪異に誘拐され、片眼と片足を奪われてしまったのだけど、その代わりに怪異たちの知恵を司る神となり、日々、妖怪などから困りごと相談などを請け負っている。そして、幼いころに人魚とくだん(「件」半人半牛の姿をした怪物)の肉を食べた影響で、不死身の身体と「未来を自分の望むものに決定できる能力」を有している琴子の5歳年上の彼氏、桜川九郎。この二人のコンビで数々の妖怪や怪異の絡んだ事件を解決していきます。

    僕はこの『虚構推理』、片瀬茶柴さんのコミックの方から入ったんだけど、あまりの字数の多さに4巻で挫折。
    なんかこのコミックって今はやりの「まんがでわかる〇〇〇〇」みたい感じで、漫画版ビジネス書を読まされているみたいなんですよ。だったら「本物のビジネス書の方を読むわ」って感じでした(笑)。片瀬茶柴さんの描く主人公・岩永琴子の清楚で可愛らしいながらもたまに毒舌や下ネタっぽい言動をするキャラクター(この性格は小説版も同じ)のデザインは大好きだったんだけどね~。
    やはり原書?の城平京氏の『虚構推理』を読んでみたら、これが正解!
    しかも、コミック版の琴子のイメージが上手い具合に脳内再生されて最高でした。

    さて、本書『虚構推理・岩永琴子の出現』は5編の物語を編纂した短編集ですが、それぞれ『虚構推理』の虚構の推理を重ねる形式をとっています。いずれの物語も良かったけど特に『電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを』が好きだな。人間の想いって重いんだな(←シャレです)と感じましたね。

    それから、この『虚構推理』は主人公の岩永琴子とその彼氏の桜川九郎の関係性が良いんですよね。
    一見、お姫様とそれに仕える腕利きの騎士みたいな関係なんですけど、ただそれだけじゃないんです。例えるなら世界一笑えるクラシック音楽漫画『のだめカンタービレ』ののだめと千秋先輩との関係に似てるといいますか、いずれにせよ、この琴子と九郎のやりとりが非常に楽しいのもこの『虚構推理』の魅力の一つです。

    この『虚構推理』2020年にアニメ化するのも決定しているようなのですが、僕がコミック版の時に感じたような会話とナレーションのシーンばっかりということにならなければいいなと危惧しているところではあります。
    僕は、今後も小説版で楽しみたいと思います。
    という訳で、次巻は『虚構推理 スリーピング・マーダー』だね☆

  • '22年8月20日、Amazon aaudibleて、聴き終えました。シリーズ、2作目?

    いやあ、素晴らしかった!面白かったです!

    一作目は、正直
    「ちょっと残念」と感じました。クドい、というか、冗長さを感じて…
    でも、今作は短編集!当然、短くまとまっていて…僕には、ドンピシャでした!

    第二話「うなぎ屋の幸運日」と「ギロチン三四郎」が、特に好きです!ちょっとブラックなお話…

    3作目は、また長編…でも、チャレンジします!

  • 『ひとつ目いっぽん足のおひいさま』である妖怪から相談の受ける『知恵の神』岩永琴子の短編集。5編収録。琴子の頭の回転が速く、登場したらすぐに解決してしまうので短編が向いているなぁ、と面白く読了。“恋人”の久郎との関係が見えるのも楽しい→

    問題を解決する時に琴子が何かを食べながらという描写がいい。人間っぽいよね。
    そして、六花さんがいないときの二人はこんな感じなんだなぁ、と新鮮。
    「電撃のピノッキオ〜」がお話としては一番好き。オチも含めて良い。キャラ的には「ギロチン三四郎」がいいよね。友情良き。→

    「幻の自販機」は是非アニメで見たい。絶対かわいい。まぁ、推理の方はまぁまぁ無茶苦茶で、これぞ虚構推理感あるけど。

    私にしては珍しく、コミカライズ版から入った小説。旦那の積読本なんだけど、後3冊あるから楽しく読む予定。付喪神がかわいい。

  • 攻撃力は無いけど知力はめっちゃある頭脳派名探偵コナン+鬼太郎的な主人公が妖怪たちの事件を解決していくミステリー作品の短編集!

    虚構推理を読み終わってアニメ版を見てみようと思ったら初っ端から知らない話がスタートしそうになったのであれ?もしかして短編集の話から始まるの?アニメをストップしてこの短編集を読むことに!

    今作は短編集ということで前作の魅力を保ったままコンパクトに短時間で楽しめるようになっててGOOD!

  • 虚構推理の短編集。書き下ろしの5話で、狸たちがうどん自販機でうどんを販売する様を想像して、シュールさに笑ってしまった。岩永が思うよりも九郎は岩永のことを大切に思っていて、それがあんまり岩永には伝わっていないのがわかった。傍から見るとけっこう愛されてますよ?

  • シリーズ2作目
    マンガとアニメを先に見てたので、どうしても新鮮味に欠ける
    でも、まぁ小説の城平京のらしさをより強調されているのがマンガでありアニメですからねぇ

    収録は5編
    ・ヌシの大蛇は聞いていた
    ・うなぎ屋の幸運日
    ・電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを
    ・ギロチン三四郎
    ・幻の自販機


    ・ヌシの大蛇は聞いていた
    アニメだと鋼人七瀬の前の話として描かれていたやつ

    実際はどうあれ、対象者を説得できる推理を披露して納得させればOKという、正に虚構推理というタイトルを体現している話だと思う
    それにしてもヌシ様、細かいところまで気になるお方なのですねぇw


    ・うなぎ屋の幸運日
    琴子さんが最後にチクリと刺すだけのお話

    ただ、うなぎ屋に入った理由というのが何ともアレで琴子さんらしいというか


    ・電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを
    真相や施されていた仕掛けとしてはちょっとひねったものでしたね

    臆病な復讐者に相応しく、結局成就しないあたりがさもありなん


    ・ギロチン三四郎
    行動の是非はともかく、虚構推理にはめずらしく人の良い意味での想いが込められたお話


    ・幻の自販機
    怪異により成立してしまった殺人事件のアリバイ

    小説限定のエピソードなので初読み

    容疑者は自首しているにもかかわらず
    たぬきがやっているうどん自販機の怪異のに紛れ込んでしまい、出る際にショートカットしてしまったために辻褄の合わなくなってしまった犯行後の行程

    自首しているのにアリバイがあるというジレンマ
    そして怪異が原因のためその検証もできない


    琴子さんの考えた落とし所もまぁ妥当なところだと思う

  • 5話の短編集。
    短編の方が読み易い。虚構を積み上げすぎないからかな?
    九郎が琴子の事を大切な娘と思ってると述べるシーンが5話ともに書かれてちよっとほっこり。特に5話ラストの琴子と九郎の会話。琴子さんは愛されてますね。

  • 九郎くん、可愛い!

  • 妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。その悩みは、自身が棲まう沼に他殺死体を捨てた犯人の動機だった。――「ヌシの大蛇は聞いていた」
    山奥で化け狸が作るうどんを食したため、意図せずアリバイが成立してしまった殺人犯に、嘘の真実を創れ。――「幻の自販機」
    真実よりも美しい、虚ろな推理を弄ぶ、虚構の推理ここに帰還!

  • 第2話の「うなぎ屋の幸運日」で女の子が一人でうなぎ屋に入ってきただけで 神の化身だの探偵だの
    考えるほどそんなに不思議な話でもないだろうと
    思った
    それにしても うなぎで精がつくとかはあまり聞いたことがないけれど、九郎はすぐにそれに勘づくものなのか
    九郎って、琴子の妙な下ネタについていけてるということは実はむっつりだったりするんじゃないか

    第3話の「電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを」では
    九郎の数少ないデレシーンが!!
    「あんたもあのおひいさんには苦労してそうだね」という多恵に
    「どうでしょうね。彼女がいなければ今頃僕は どう暮らしたらいいか見失ってたかもしれません」という九郎
    でも やはり紗季さんの時もそうですが、 琴子の前では 言えないんですね・・・
    それと琴子が九郎に対して いつもとは違って
    しおらしく 九郎を心配していたのも可愛かったです
    死なないとはいえ、琴子も九郎を気遣ってないわけではないんですよね


    第4話の「ギロチン三四郎」では最初の方はいわば
    いつもの琴子の役を九郎がやっていた訳だけれど
    九郎は一見すると、普通に見えるだけに穏やかに自分の罪を暴かれる分、ある意味 相手からは琴子の時以上に不気味に映ると思う

    第5話の「幻の自販機」は漫画版には載っていませんが、とても面白かった
    今回、九郎はバイト先に呼び出されていて 出番は最後に少ししか出ていませんでしたが
    最後に琴子に対して、「お前が僕を捨てることがあっても、その逆はないから お前は今のままでいいぞ」と言っていましたが 考え方を変えると
    琴子が別れを告げない限り ずっとそばにいるつもりだと言うことですよね!!
    九郎ははっきりしないところもあるけど、こういうところがあるから琴子も嫌いになれないんだろうな


    今回の話もどれも面白かったけれど
    強いて言うなら 琴子と九郎が正式に付き合い始めた時の話が見てみたかった

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著者プロフィール

【城平京(しろだいら・きょう)】
奈良県出身。代表作に漫画原作『絶園のテンペスト』『スパイラル~推理の絆~』、小説『虚構推理 』『名探偵に薔薇を』『雨の日も神様と相撲を』など。

「2021年 『虚構推理(15)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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