転生! 太宰治 転生して、すみません (星海社FICTIONS)

著者 :
  • 星海社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065131091

作品紹介・あらすじ

あの文豪、太宰治が現代に転生!? そして、即日入水!? 日本社会への痛烈な皮肉と希望を描ききった傑作がついに誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 太宰が心中し、現代に転生!まず最初にやることは…女性と出会って心中(未遂)。

    カプセルホテルに宿泊し、ラノベ(主に転生もの)を読み、メイドカフェにも行き、どんどん現代になじんでいく。そしてやっぱり太宰と言えば芥川賞!転生したって積年の恨みをバネに芥川賞に挑む!

    太宰に詳しくないので、志賀直哉と仲がよろしくないくだりなどなど、とても楽しく読みました!あちこちに太宰のフレーズが(たぶん)ちりばめられていて、この作家さんすごいな…と思って調べたら作家20年佐藤友哉さん、でした。初読み。存じ上げなくてすみませんでした。

  • 太宰治は教科書に載っていたものくらいしか読んだことがないが、ここに登場する太宰治というキャラクターには大変好感が持てた。とてもやさしい人なのだなと思う。これは是非とも太宰治の著作を読んでみたいと、強く感じさせられた。

  • 数多ある転生ものに
    太宰治をもってきたセンスが好き
    昭和から平成初期なら転生ではなくタイムスリップ太宰治だったろうな
    最後のあとがきがトカトントンの最後の一文『トカトントン』みがあってとてもいい

  • 『娯楽』★★★★★ 10
    【詩情】★★★★☆ 12
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★★ 5
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★☆ 8
    『印象』★★★★★ 10

    《総合》82 A-

  • おもしろい。すばらしすぎる。

    そして実は、軽薄におもしろいのでなく、
    生きることの悲哀に触れる機微もある。
    若き才能の飛躍を妨げる、とする文壇批判や戦時に時局迎合した作家や出版社(講談社)への批判も舌鋒鋭い。
    読ませる筆力のみならず、生を見つめる深みといい、作者佐藤友哉氏ただものでないと察する。

    転生太宰が女子高生のブログを「再生」し執筆の手ほどきしてゆく条りなど、文学のありようを抉るメタフィクションの様相も。刺激的だ。

    その魅力や面白さを詳らかにするのはキリが無い。以下のキイワードでメモ代わりとしよう。

    「馬鹿か!死にたいのか!」
    「 没落貴族」
    そして「 地下アイドルで、すみません 」

    ※二ヶ所程 誤記誤植があるやに思う。
    p68「夏子」は「乃々夏」ではないか。
    p180「出兵の兵隊さん」は「出征の」ではないかな。

  • 玉川上水で自殺した太宰治が、2017年に転生した。カプセルホテル、ライトノベル、メイド喫茶、インターネット、様々な物に遭遇する様は、もちろん転生物としての楽しさがあるが、志賀直哉はじめ、数々の文豪をクサしてみたり、芥川賞のパーティーで騒ぎを起こすところが特に面白かった。太宰の作品を読んだ事がないので、知っていたらもっと面白かったかな。そして、芥川賞を取れなかった事から、文学界への復讐をすべく、とある計画を立てる。脳味噌を休めようと適当に読み始めたが、思った以上に面白く続きも読みたくなった。

  • まさかの太宰治視点で話が進むため、文体がとても太宰。うまい。うますぎる。見覚えのある文章があちらこちらにあり、いろんな作品から引用しているのだが、使い方が上手い。そしてものすごく笑える。太宰ファンで、かつ文ストとか好きな人には絶対おすすめの作品。

  • すごい太宰に寄せている文体と、時折入る史実ネタが細かい。芥川賞に固執する姿や志賀川端を敵視しているのも面白い。ののたんブログに女学生の狂気を感じる。めちゃくちゃ計算高いなぁ。 めっちゃ文ストっぽいなぁと思ったら文ストだった(笑)。太宰治をキャラクターとして扱っている文スト文アルにも触れてくるとは…。 最終的にアイドルマスターといえばアイドルマスターなのか…同人に手をだしたら駄目…あ、昔はみんな同人から始まってたな…

  • 我らがメフィスト賞作家ユヤタンが、こんなもの(失礼)を書いていると知り、早速読んでみた。太宰治愛をとても感じる。もし太宰賞があったら絶対欲しいんだろうなと思わせる。文章は太宰に似せてとても読みづらいが愛だから仕方がない。太宰がこの作品を抹殺するために転生してくれるかもしれないので存在価値はあり。

  • 初っ端のご都合主義すぎる展開はさておき、現代に太宰が転生したらこんな感じかなぁと思うくらいに太宰っぽく違和感のない作品でした(『人間失格』『走れメロス』くらいしか読んだことはないけど)。「生まれてすみません」が実は盗用だったり、太宰が芥川賞と並々ならぬ確執があったり、太宰の小ネタが満載で、お勉強にもgoodです。惜しむべきは装丁がダサい。内容も良く、挿絵カラーもとてもうまいのに、顔たる装丁が。せめてフォントだけでもどうにかならなかったのでしょうか。作者と太宰買いでしたが、おもしろかったです。

    [追記]
    コンビニで着物姿の入水後ぐちゃぐちゃの男が突然倒れたら、とりあえずコンビニの店員に任せるか、警察を呼びません?連れ帰ります?家族もそれを「優しい娘なんですよー」と介抱する??初動に違和感しかないんですが、ラノベであってももうちょっと考えてほしかった。

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著者プロフィール

1952年北海道釧路市生まれ。
1974年に北海道教育大学札幌分校特設美術課程卒業(美学・美術史専攻)。1976年に北海道教育庁北海道新美術館建設準備室の学芸員、翌年には北海道立近代美術館学芸員となる。1985年北海道立旭川美術館学芸課長。1990年からは北海道立近代美術館に戻り、2004年同館学芸副館長。2012年から2022年まで札幌芸術の森美術館館長を務める。この間、それぞれの美術館で数多くの北海道ゆかりの作家の個展や現代美術展を企画開催。
現在、AICA国際美術評論家連盟会員、北海道芸術学会会員、北海道美術館学芸員研究協議会会員。また旭川市中原悌二郎賞、札幌市本郷新記念札幌彫刻賞、ニセコ町有島武郎青少年公募絵画展、北海道陶芸展などの審査員を務める。

「2023年 『北の美術の箱舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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