贖罪の街(上) (講談社文庫)

  • 講談社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065123089

作品紹介・あらすじ

前作The Burning Roomにひきつづき、ボッシュ物。前作以上に迫力溢れる傑作に仕上がっており、サスペンスフルで、まさに抜群のページターナーになっています。  題名のThe Crossingは、「横断」という原意から、ボッシュが、刑事訴追側の立場から、弁護側の立場になったことを、「司法から弁護士側への横断」=「裏切り行為」と見なされることを指している。  ボッシュは、前作のいきさつから、DROP(定年延長選択制度)の任期半ばでのロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のミッキー・ハラーを代理人に立て、ロス市警への異議申立ての訴訟をおこなっているが、それ以外は、引退後の念願だった、古いバイクのレストアを老後の楽しみにしようとしていた。  ところが、ハラーから呼び出され、子飼いの調査員(シスコ)が怪我をして入院しているため、いま抱えている殺人事件弁護の調査員になってくれないか、と頼まれる。  二〇一五年二月に自宅で強姦の上、撲殺された市政担当官補レキシー・パークス(三十八歳)。被害者の体に残された精液(膣内と体表から回収)のDNAが合致したため、事件翌月、容疑者として逮捕されたのは、ハラーの古くからの顧客であり、元はギャングの一員だったが、更生して画家として生計を立てているダカン・フォスター(四十一歳)。  ハラーは、フォスターの無実を確信しており、ボッシュに事件調査の協力を求める。  最初は、刑事弁護士に協力するのは、警察官仲間には裏切り行為と見られることから協力を渋っていたボッシュだが、事件の詳細を知るにつれ、興味を抱き、ハラーの陣営に加わる。

感想・レビュー・書評

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  • ハリー・ボッシュ・シリーズ18作目。
    実は17作目「燃える部屋」よりも先に読んでしまってました。

    前作の事件のことで、ロス市警から退職を余儀なくされたボッシュ。
    ただし、異母弟の弁護士ミッキー・ハラーに依頼して、ロス市警を訴えているところ。

    そのハラーからの依頼で、調査員の仕事をすることに。
    ずっと刑事だったボッシュにとって、検察側ではなく弁護側(いわば犯人側)の仕事をすることは、警官仲間から見た裏切り行為になってしまう。
    悩みつつも、仕事を引き受けます。

    ハラーの古くからの依頼人で現在は更生して画家となっている人物が容疑者となった事件。
    現場での調査に鋭い嗅覚を働かせるボッシュ。
    有能なはずの弁護士ハラーも、この刑事魂にはかなわない。
    ボッシュはハイスクールに通う娘のマディと暮らしていて、父親の顔も見せています。

  •  ハリー・ボッシュという史上稀に見る魅力的な刑事と出逢ってもう22年になる。
     インターネットすら未だ普及していなかったその頃パソコン通信仲間であった翻訳者の古澤さんが本シリーズのヒットで一躍活躍したことから大阪で仲間たちと彼を囲んで酒を酌み交わし、本シリーズの凄さを熱く語り合った記憶ももう霧の向こうの遠い時代の一幕のようだ。
     ベトナム帰還兵であるハリーも今やロス市警の退職を余儀なくされ、別シリーズ『リンカーン弁護士』の主人公でハリーの異母兄弟でもあるミッキー・ハラーと共に本書では困難な事件に立ち向かうことになる。
     ショッキングなイントロに始まり、法廷劇、ハリーの単独捜査、そして対決、法廷と、手に汗握る展開は止むことを知らず、相も変わらずのコナリーワールド健在なり!
     実はぼくは、年末にAmazonPrimeのオリジナルドラマ"Bosch"全4シリーズを続けざまに観た。何作かを同時に展開させるシナリオをよく組み立てたものだと感心しつつ、作者コナリーがエグゼクティブプロデューサーに名を連ねていることでなるほどと合点した。
     そのドラマで貫かれているのが、ハリー・ボッシュという主人公の一途さなのである。警察組織の中で上手く立ち泳ぐことよりも、個としてのプロ意識を憎むべく犯罪者と被害者の無念に向けて、揺らぎなき行動を選んで行く姿こそが、読者を惹きつけているのだ。
     このロングシリーズで確実に信頼し続けることのできたハリーという一刑事の生き様と彼への共感を、ドラマは再検証させてくれるものだったのだ。
     そうした興奮醒めやらぬうちに、本書の登場である。
     実は前作『燃える部屋』に、個人的にはどこか燃えきらない感じを感じ、ドラマチックなラストシーンであれ楽観は許されなかった展開であったので、二転三転して予測を許さぬ本書の物語構成には、実に溜飲が下がった。文句無しのお薦め極上作品!

  • 前作で刑事を引退に追い込まれたボッシュは弁護士ハラーに殺人事件調査を依頼される。
    刑事弁護士という刑事の天敵の為に働くことに抵抗を覚えて一度は断ったものの引受ける。
    仕事の虫ボッシュは元の同僚ソトの助けを借りたり、今までのノウハウを駆使して捜査に取り組む。

    2015年でボッシュは65歳。
    深夜にまで及ぶ調査、真相を求めて駆けずり回る行動力、警察からの圧力に怯まない気迫、ハイスクール卒業間近の娘との生活、いやはや元気だなあ。

  • マイクルコナリー を読み続けて、何年経つのだろう、歳月を経て、ボッシュも丸くなったというか老けたというか。とはいえ、何と言っても、『誰もコナリーのように警察小説を書けない』との書評の通り、一度読みはじまた止まらない!

  • ボッシュはロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のリンカーン弁護士ミッキー・ハラーを代理人に立てロス市警への異議申し立ての訴訟をおこなっている。二〇一五年二月に、女性公務員が自宅で強姦の上、撲殺された。被害者の体に残された精液のDNAが合致し逮捕されたのは、ハラーの古くからの顧客だった。

    シリーズ第18作。これは久々に当たりかもしれない。ぞくぞくしながら下巻に進む。

  • マイクル・コナリー『贖罪の街(上)』講談社文庫。

    今回はハリー・ボッシュ&ミッキー・ハラー物。これまでのボッシュとハラーのコラボ作品に比べると、二人の距離が最も近く描かれており、そこが本作の読みどころの1つとなっているようだ。また、どんな形であれ、ロス市警を退職したはずのボッシュが第一線で事件の捜査にあたるというのもファンにとっては大きな魅力となっている。

    ロス市警退職を余儀なくされ、異母弟のミッキー・ハラーを代理人にロス市警へ異議申立ての訴訟を行うハリー・ボッシュはハラーから殺人事件弁護の調査を依頼される。初めはハラーの手助けを拒否していたボッシュだが、次第に事件の謎に引き込まれていくが……

  • このボッシュシリーズで最初に読んだのは、この話の前の作品「燃える部屋」でした。やっと、ここまで戻ってきました。

    「燃える部屋」を読んだ時は『ボッシュって、簡単にパートナーを変える(めんどくさい)ヤツなんだな』と思ったんですが、ここまで過去の作品を読んでみて、確かにパートナーは変わっていますが、それは、致し方無い理由もあり、利己的な理由で変えていたのでは無いと言う事がわかりました。

    この作品では、ボッシュは、再び民間人の立場に戻っています。ただ、以前民間人だった時とは、状況が異なる様です。異母弟のミッキー・ハラーと共に、どの様に事件を解決していくのか下巻に期待です。

  • 初ボッシュか。ハラーめは少なし。

  • マイケルコナリーのハリーボッシュシリーズは本当に面白い。本作はこれまでの中でも秀逸か。これまでの作品も文句なしに面白いのだが。本作も大満足。是非できるだけ多くの人に読んでもらいたい。

  • 最初100ページぐらいの犯罪調書を読むくだりだけでなまじのミステリより面白い。

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著者プロフィール

Michael Connelly:1956年生まれ。LAタイムズ元記者。代表作としてはボッシュ・シリーズ、リンカーン弁護士シリーズがあり、当代随一のストーリーテラー。

「2023年 『正義の弧(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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