焦土の刑事

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065121528

作品紹介・あらすじ

東京は壊れつつある。見慣れぬ街に変わりつつある――。

1945年。B29による空襲の翌朝、防空壕の中で女性の遺体が発見される。首には刃物による切り傷が。無数の遺体と目の前のたったひとつの遺体。

これは戦争ではない。個人に対する犯罪だ――。

捜査を進める京橋署刑事の高峰は署長から思わぬ言葉を聞かされる。「あれは、空襲の被害者だ」。殺人事件のもみ消し――そしてまた殺人が起きる。

高峰は、中学からの同級生で特高に籍をを置く海老沢とともに、終戦をまたいで「戦時下の殺人」の犯人を追い詰めていく。

警察小説の旗手が満を持して描く、壮大な警察大河シリーズ、ここに開幕。

感想・レビュー・書評

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  • ここから始まる親子2代警察官の物語。最後の巻を最初に読んでしまっているのだが、面白く読んだ。

  • イマイチ繋がりがわかりづらかった。

  • 堂場さんは演劇がお好きなんですね。『アナザーフェイス』思い出しました。

  • 戦時に防空壕の中から死体が発見された。
    が、その時は何者かによって事件は揉み消され、なかったものとされた。

    戦時と戦後の警察や特高の変化、大衆演劇の様子、戦争の後遺症、、、など戦争によって人や町がどう変わって、人々にどんな影響を与えたかが伝わってきた。
    戦争が物語のメインではなく、殺人事件の捜査の中で戦争の様子が伝わってくるので読みやすかった。

  •  戦前戦後の東京を舞台にしたミステリ。
     東京大空襲で焼け野原となった銀座の防空壕の中で、若い女性の他殺体が見つかる。毎日のように空襲警報がつづく東京で、また別の防空壕で同じような遺体が発見される。
     京橋署の刑事である高峰は、連続殺人事件の捜査を続けようとするが、有形無形の圧力がかかり、事件そのものがなぜかもみ消されていく。
     戦後、警視庁本部に配属になった高峰の周囲で、再び戦前と同様の事件が連続して起こり、本格的な捜査ができるようになった高峰らは意外な線から犯人を追い詰めていく。

     空襲のどさくさの中で犯行におよぶ異例の犯人像を追っているのが目新しかったが、容疑者が簡単に狭められていくところと、結局のところ犯人の動機、人物像は曖昧なままだったのが残念。

  • 第二次世界大戦の東京大空襲の夜。防空壕で20代女性の他殺死体発見。署長の指示でなかったことに。刑事は記録を残した。二人目の被害者も、捜査せず。一人で捜査をすると本部の刑事に襲われた。夜、一人で歩いている女性を家までおくった。後に婚約者となる。
    中学同期に刑事は特高。演劇の脚本の検閲。趣味が演劇。
    終戦後、一人で捜査をしていた刑事は所轄から捜査本部へ。
    署長から捜査中止を命令したことを謝罪。署長は辞職。
    特高の公職追放で自宅待機。
    女性の死体が防空後で発見。連続殺人事件と認識。
    自分を襲った刑事が会議で幹部席にいる。犯人を野放しにしたことを責めた。翌日から休職。捜査本部が死体処理等を聞こうとしたが、自殺。
    特高の妹が同じ手口で殺された。
    民間人として捜査に加わる。検閲していた脚本家と遭遇。
    当時のことを詰られた。家によばれた。殺されていた。
    手口が同じ。次の作品は探偵もの。その脚本がない。
    同じ劇団の二枚目俳優が暴力的。戦争から帰って変貌。
    殺人があった日と切れた日が同じ。
    戦場の経験で殺人をしているが状況証拠のみ。刑事の妹が囮になり成功。
    連続殺人を認めた。戦争から戻り不能となった。
    芝居で女優の首をしめるシーンで興奮。殺人を繰り返していた。

  • 新シリーズ。出足はまあまあかな。堂場さんらしく読みやすく、登場人物に魅力もあるが、まだもうひとつ物足りない。事件も最後がちょっとあっさりのイメージ。今後に期待

  • 現代ものがメインな作家さんなのでこういう戦中戦後の話はどういう風になるのだろうと興味が。
    戦中の体制のために自分の信念を貫くことができず悔しさとやりきれなさを抱えたままの主人公が切ないのだけどなんか単純? 系の人なのであっけらかんとしている。
    あまり魅力的ではないなーと。特高の人の方が好きな感じ。
    戦後、同一犯による犯行を解決するくだりに無理があるようなないような。当時の捜査だとこういうものなのかな?
    事件は解決したけれどやりきれなさが残る。
    色々な人が戦時中に無力感を覚え疲弊し戦後になっても癒えない辛さがある。
    犯人は捕まえないと被害者は報われず。捕まえてみれば犯行動機が許されないことであってもやりきれないものがある。

  • 戦時中でも事件は起きる。そこは合法殺人と違法殺人が交錯した異様な世界。それでも戦い続ける刑事は常にいたということを忘れたくない。

  • 20190125-11戦争を軸に友情の物語。この時代の検証がちゃんとされないまま今になってる。今の国の問題の根っこはここかもしれない。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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