科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065120507

作品紹介・あらすじ

「先生は科学者なのに、科学の話のなかで神を持ち出すのは卑怯ではないですか」
ある高校生から投げかけられたこの質問が、本書が生まれるきっかけだった。
素粒子物理学者として「小林・益川理論」のノーベル賞受賞に貢献し、
カトリック教会の聖職者でもある著者が探し求め、見いだした答えとは?

聖書が教える「天地創造」の物語はもはや完全に覆され、「神は死んだ」といわれて久しい。
しかし実は、宇宙創成に関わる重要な発見をした科学者の多くは、神を信じていた。
天動説を葬り去ったコペルニクスとガリレオ、物体の運行を神によらず説明したニュートン、
宗教に強く反発して「光」だけを絶対としたアインシュタインらも神への思いを熱く語り、
さらには量子力学を創ったボーアやハイゼンベルク、ディラック、シュレーディンガー、
特異点なき宇宙を考えたホーキングら、「無神論者」といわれた現代物理学者たちさえも
実は神の存在を強く意識していたのだ。
彼らの神への考え方を追うことで見えてくる、宇宙論を発展させた本当の原動力とは?
日本人には理解しにくい世界標準の「宗教観」を知るためにも最適の一冊!

第1章 神とはなにか、聖書とはなにか

第2章 天動説と地動説 ――コペルニクスの神

第3章 宇宙は第二の聖書である ――ガリレオの神

第4章 すべては方程式に ――ニュートンの神

第5章 光だけが絶対である ――アインシュタインの神

第6章 世界は一つに決まらない ――ボーア、ハイゼンベルク、ディラックらの神

第7章 「はじまり」なき宇宙を求めて ――ホーキングの神

終章 最後に言っておきたいこと ――私にとっての神

感想・レビュー・書評

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  • めっちゃ面白かった。
    科学的内容まで含めた科学史をベースに、科学者が神をどのように捉えていたかが述べられている。
    後者がメインテーマではあるんだけど、前者の説明がとてもわかりやすく、高校物理〜大学物理の理解が深まった。
    一見相反するように見える科学と神が、実は切って切り離せないというのは面白い。そして、科学、特に宇宙の成り立ちを追えば追うほど、やはり神はいるのではないかと思えてくる。
    科学は確かにこの世の現象を説明してくれるけど、ではその法則はどうして、どうやって作られたのか。科学や数学はロマンで溢れているなと思う。

  • 「科学者であるのに、科学の話で神を持ち出すのは卑怯」。

    高校生から投げかけられた言葉から、著者は科学者であることと神への信仰が矛盾しないことの説明をテーマとする。

    歴代の科学者の功績を紹介しながら、「神」という視点をもって科学を眺める。

  • たまたま「物質は何からできているのか」に続いて読んだこちらの「科学者はなぜ神を信じるのか」。科学と「神」の関係性について、素粒子物理学者であり、カトリックの助祭である著者が書いている。コペルニクス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン、ボーア等量子力学・物理学者たち、ホーキングらをピックアップしている。コペルニクスからガリレオやニュートンまでは神の存在を疑っていなかった=科学は神の御技を理解することとしていたのは認識していたので、アインシュタイン以降はどうだったのか興味があったのだけど、「科学法則自体は誰が作ったといえば神である」というスタンスでの著作なので、アインシュタインもホーキングも神の存在を感じていたはずだという論調になっています。そこはちょっと強引にも思えましたが、それぞれの科学者たちのスタンスの違いが垣間見えたのはよかった。

  • 宇宙や物質の究極のなりたちを追究している物理学者が、なぜ万物の創造主としての「神」を信じられるのか? それは矛盾ではないのか? 物理学史に偉大な業績を残したコペルニクス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタイン、ボーア、ディラック、ホーキングらが神をどう考えていたのかを手がかりに、科学者にとって神とはなにかを考える異色の一冊。しかし、この試みは「科学とは何か」という根源的な問いを考えることでもある。

  • 物理学史と科学者たちが神についてどのように考えてきたか(推測も含む)が綴られている。
    4〜5年ぶりに本を読んだ文系おばさんだが、とても読みやすい文章で理解しやすかった。
    最後の思考停止についてが一番の発見だった。最近流行り?の安易に答えや解決法だけを求めることや、浅い理解で他人を言い負かす人(を尊敬すること)は思考停止に近いと思っているので、なぜを大切にし自分で解決するよう努力できるようになりたいと改めて思ったし、そうやって努力する人が宗教や神を信じていてもちゃんとした科学者になれると理解した。

  • 科学史としての側面が強いなと感じました。 

    本著においては、科学者たちの信じる神は時代を通して、世界の創造主としてみれば世界の不可知性として残り続ける神の役割は一貫しており、その意味では終章にあるような見解もなんとなく頷けます。

    自然に対して人間が無力だった時代から、科学の発展によって人間が自然をコントロールできると思い始めた転換点において、神という概念から宗教的なニュアンスが剥ぎ取られ、そこから世界に対する不可知性を象徴するものとしてニュアンスに変わっているように感じるのですが、科学者でありキリスト教徒でもある著者が、この辺りにあまり突っ込まずに話を進めているのには違和感が残りました。

    個人的には、神というからには科学革命やダーウィンの仕事以降生じたであろう神の持つ宗教的なニュアンスの変化に即して、こと唯物論者である科学者たちの信じる神の宗教的根拠がどう変わっていったのかをもっと突き詰めて欲しかったと思いました。

  • 350年経て調査委員会を設置し、その報告からガリレオに謝罪し、科学と宗教の融合を宣言して、科学者達の教会離れを防いだ教皇、ヨハネ・パウロ2世がスゴい。

  • 本書を読む前は、私自身も、科学と神は相容れないものだと思っていた。というよりも、そもそも宗教というものを日常的に感じているわけではないので、西洋的宗教観と科学の接点がいまいちイメージできなかった。
    本書では、歴史的発見をしてきた科学者たちが、「神」をどう考えていたのか、科学と神の関係性をわかりやすく説明してくれているので、じゃあそもそもなぜ相容れないものだと思っていた(思わされていた)のかが、本書を読んで理解できた。

  • 神というか道の方が結局しっくりする感じ
    宇宙や素粒子物理学の流れが西洋思想的な観点から語られるのは分かりやすくて良い
    でも結局人格的創造神ではなく、それ以上偉大なものが考えられない創造の源としての神に行き着くのであればそれはどの宗教にも通底するんじゃないかな?

  • 中学物理で止まってる身からすると後半(五章以降)の物理の話が理解しきれずなかなかに苦しかったのですが、前半を読むだけでも収穫は大でした。
    宗教と政治が切っても切り離せないような時代(ガリレオの時代とか……)になぜ科学は進歩できたのかなぁ?という漠然とした疑問に対して、腑に落ちる回答をもらえた気がします。

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著者プロフィール

1944年生まれ。1965年6月イリノイ大学工学部物理学科卒業。1969年6月プリンストン大学大学院博士課程修了、Ph.D.の学位を取得。コロンビア大学研究員、フェルミ国立加速器研究所研究員、ロックフェラー大学準教授などを経て、1992年より名古屋大学理学部教授、2006年4月より名古屋大学名誉教授、神奈川大学工学部教授。 2007年より東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構プログラムオフィサーを兼務。『B中間子系でのCP対称性の破れの理論』で1993年度井上学術賞、1997年度仁科記念賞、2002年度中日文化賞、2004年J・J・サクライ賞、2015年度折戸周治賞を受賞。2002年紫綬褒章受章。2017年秋の叙勲で瑞宝中綬章を受章。B中間子系でのCP対称性の破れの測定によって小林・益川模型の検証理論を展開。

「2018年 『科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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