どんまい

著者 :
  • 講談社
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065119303

作品紹介・あらすじ

離婚届を提出する前日。夫との最後の話し合いを終え、自宅――ちぐさ台ニュータウンに娘の香織を連れて帰ってきた洋子。疲労感と将来への不安感でいっぱいだったが、団地の掲示板に〈メンバー募集 年齢・性別ともに不問〉という貼り紙があるのに気づく。ちぐさ台カープという草野球チームの入団募集だった。洋子は、子どもの頃、水島新司の野球マンガ『野球狂の詩』のヒロイン・水原勇気になりたかったことを思い出す。「入るから」。洋子は念を押すように香織に向かって繰り返す。「お母さん、絶対に入るからね」。
〈ちぐさ台団地の星〉と呼ばれたかつての甲子園球児、要介護の親を田舎に抱えるキャプテン、謎多き老人・カントク、そして娘の香織――草野球チームを通して交錯する「ふつうの人々」の人生を鮮やかに描ききった傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 重松氏らしい、とても良い作品。
    離婚、単身赴任、介護など、いろいろな問題を抱える人々。
    そんな人たちが草野球を通して描かれています。
    どんな人にもいつかは自分に打席が回ってくる。
    そして「どんまい」。
    とっても良い作品でした。
    全ての人におすすめの一冊です。

  • 平成半ばの作品だけど昭和感がいっぱいの作品ですね。野球に庶民群像を絡めた如何にも重松清さんらしい作品。離婚の署名捺印を終えたばかりの失意の洋子40歳と中2寸前の娘の香織、団地の掲示板の貼り紙「草野球メンバー急募 年齢性別不問」に洋子が突然執心することから物語が開始する プレイボール‼︎。
    チームの監督(創始者)からキャプテンから各メンバーまで多士多様な事情や環境や個性を抱えた草野球チームの面々が物語を彩っていて面白おかしく展開して行くけど、ああ重松さんらしい作品やなぁ と感じながら読了。
    ひと頃次々に重松作品を読み続けた時期があったけど、その頃の鮮烈な印象はこの作品からは受け取れずアッサリと読了。重松さんも私も歳を重ねましたねえ笑。ちょっと残念でした♪

  • 離婚届を提出する前日。夫との最後の話し合いを終え、
    自宅――ちぐさ台ニュータウンに娘の香織を連れて帰ってきた洋子。
    疲労感と将来への不安感でいっぱいだったが
    団地の掲示板に〈メンバー募集 年齢・性別ともに不問〉という貼り紙があるのに気づく。
    ちぐさ台カープという草野球チームの入団募集だった。
    洋子は、子どもの頃、
    水島新司の野球マンガ『野球狂の詩』のヒロイン・水原勇気になりたかったことを思い出す。
    「入るから」。洋子は念を押すように香織に向かって繰り返す
    「お母さん、絶対に入るからね」。

    夫の浮気から離婚して、40歳にして中二の娘と共に新生活を始める時に、
    フト目にした草野球チームの募集。
    何とか入団した洋子と香織。
    この二人を中心に、謎多き老人・カントク。
    今をときめくプロ野球のスター選手とバッテリーを組んでいた元甲子園球児。
    病気の両親を介護するため遠く離れた広島に毎週末帰省しているキャプテン。
    草野球チームを通して、個性的だけど普通の人達であるメンバー達の
    生活やそれぞれの環境や心情や悩みを巧みに描いてる。
    時々プッと吹き出したり…時々ウルウルさせられたりした。

    表紙のイラストとタイトルから野球の話か…。 
    分厚いなぁ…。読むのを躊躇ったのですが読んで良かったです。
    自分に折り合いをつけ、悪戦苦闘しながら生きているそれぞれの
    人生を見事に描いていました。
    後悔しながら生きる人々の応援になります。
    失敗しても大丈夫『どんまい・どんまい』

    広島カープの歴史と愛される理由。
    草野球の魅力にも触れる事が出来ました(*´ `*)

  • この作家さんの本、どれも泣ける。。
    人間臭くて、ただのハッピーエンドの本よりも重みと読んだ後の心に残る感じが好きです。

    いつもすごいなと思うのは、終盤だけでなく、序盤でも中盤でも泣ける箇所が何箇所もあること。
    泣いた分だけ心が洗われる気がして、一気読みしてしまいました。

  • 深く心に染み渡るお話でした。みんな、いろんな思いを抱えて、それでも過去ではなく、今日のこと、明日のこと、これからのことを考えてなんとか生きている。
    年齢も性別もおかれている環境もちがうメンバーが集まってできた草野球チーム。それぞれの境遇が私にも少しずつかぶって、涙がにじむ。中学生でも高齢でもその年代ならではの人生のイベントがあり、思いが溢れる。
    分厚い本だが、本当にこれ以上ないというドンピシャな言葉を紡いであり、飽きることなくすべてのイニングを読み終えた。
    それぞれの登場人物も冴え渡っていて、映像化されそう。

  • 夏に野球の本を読むのは楽し♪
    広島カープが初優勝した時のユニフォームに身を包んだ変なメンツの草野球チームの話。
    嫌なことも腹がたつことも辛いことも、好きなことや好きな仲間がいれば半減するしまた頑張るかって思えるよね!……というだけならただのスポ根小説なんだけど、介護や離婚、単身赴任、闘病という人生中盤以降のもろもろが絡んでくるところが重松さんの小説。
    ちょっと母娘のアクが強すぎる感があったけど、読み飽きることなく読了。
    素敵なカントクだったな。
    こんな人に出会うと、人生が違って見えてくるんだろうな。

  • どんまい
    重松清さん。

    重松清さんの作品は、すっと、入る。
    離婚、介護、家庭の内情。等、
    普通のありそうな話。を、草野球と絡めて。

    どんまい!!

    良い言葉だなぁー。

  • 相変わらず上手いなぁ。
    首都近郊のニュータウンのちぐさ台カープという草野球チームのメンバーを描いた作品です。離婚直後の母娘、プロで大活躍する天才投手の高校時代に女房役だった青年、謎の老人・カントク、病気の両親を看護のために毎週広島まで行き来するキャプテン・・・・。個性的だけどごく普通の人であるメンバー達を見事に操り、時に吹き出させ、時にウルウルさせ。。。全ての悩みが解決する訳も無く、自分に折り合いをつけ、沢山の後悔も残し、悪戦苦闘しながら生き続ける各々の人生を見事に描き出していきます。
    とても良い話です。

    でもね。。。
    なにか巧過ぎるのです。「どうやったら言いたい事が描けるのか」とか「どうすれば読者に感動を与えられるか」といった悩みの次元を超えて、右から素材を流し込んだら左から自動的に「良い話」が出てくる小説製造マシン・重松清という感じがするのです。私の思い込みなのでしょうが。。。
    多作にも関わらず高品質を保つ作家さんですが、やはりマンネリ感は出てしまいます。

  • 年齢性別不問の草野球チームに飛び込んだ洋子とかおり母娘。母子家庭となった洋子たちの他、チームのメンバーそれぞれが抱える悩みを織り交ぜながら展開していく。いわゆる人生の勝者とは言えない個性あふれるメンバーだけど(だからこそ)みんないい人で安心して最後まで読めた。「どんまい」っていい言葉。

  • 「どうせ引退するなら後悔しなさい。後悔する勇気もなかったこと、歳とって大人になってから、絶対に後悔するよ。」
    「毎日毎日、惑って、迷って、悩んで、あたふたして、落ち込んで、順番に来てほしい苦労にかぎって同時にやってきて…」
    「どんまい」

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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