三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020159

作品紹介・あらすじ

岩石や鉱物には興味があるけれど、石の名前がどうもややこしくて覚える気になれない……という人は多いようです。
たしかに一般向けの石の図鑑や入門書も、美しい石の紹介にとどまったものや、歴史的・文化的な側面から石を語るものが多く、正面から「石」を論じるものはあまりありません。
それも、石の名前があまりにも複雑で、一般の人にはハードルが高くなるからでしょう。
しかし、地球は「水の惑星」であると同時に、太陽系で最も多い数千種類もの石が存在する「石の惑星」でもあります。それだけに石の世界は科学的好奇心を刺激される深さ、面白さに満ちています。
せっかく地球に住んでいながら、その恩恵を享受しないのは、もったいないことです。
そこで、まったくの石の素人の読者でも、たった三つの石の名前を覚えるだけで石の世界が楽しめるように企画したのが本書です。
「しんかい6500」に51回乗船という記録をもつ、地球を知り尽くした著者が、石の世界のしくみやなりたち、地球の進化と石の濃密なかかわりなどを、三つの石の物語にのせてみごとに描ききりました。
読めば必ず、複雑そうな石の世界が驚くほどすっきりと頭に入り、地球が太陽系で特別な惑星に進化するまでの道筋がわかり、そして石がいとおしくなるはずです。

感想・レビュー・書評

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  • ◯個別の石の特徴や、採掘できるところでも教えてくれるのかと思って読むと、やはり地学関係、宇宙から生物、化学まで幅広い展開を見せる。
    ◯3つの石を軸に分かりやすく論が展開されているが、個別の文章的な意味合いではスッと頭に入らないことがやや多かった(知識が足りないだけかもしれないが)
    ◯とはいえ、この分野に興味が出てきたときに読むには十分知的好奇心を満たしてくれると思う。面白い。

  • 三つの石とは橄欖岩・玄武岩・花崗岩のこと。それぞれマントル・海洋地殻・大陸地殻を形作る主役である。
    岩石や鉱物の大半の主成分は酸化したケイ素の化合物(珪酸塩)なのだけど、何がどのようになってこれほど多様な石が作られているのか、いままで系統立てて学んだことがなかった。しかしこの本では、マントルから地殻が、そしてそれぞれの岩石などが、どのように生み出されてくるのかを順序立てて説明してくれているので、暗記ではない知識が得られるので覚えやすい。
    また、要所に若干の化学式が使われていることにより、珪酸塩鉱物のそれぞれの特徴が掴みやすくなっている。最低限度の科学情報というのは言葉を積み重ねるよりも理解しやすくしてくれることを改めて教えてくれた。
    鉱物図鑑があればより楽しめる本だと思う。とてもオススメ。

  • マントルを構成する橄欖岩、海洋プレートを構成する玄武岩、大陸プレートを構成する花崗岩の3つに焦点を当て、地球の成り立ちやそれぞれの岩石の関係などについて分かりやすく解説される。この分かりやすさが本書のポイントで、専門性を多少犠牲にしても、一般向けに理解しやすいように書かれている。それでいて、造岩鉱物の組成とかシリカの配列・原子ベースで見たシリカどうしの結合形態など、かなり突っ込んだ物理・化学的な話にも読者を誘導していて、全くの一般向けというよりは、「ブルーバックスの読者」向けの内容になっていて、知的な刺激も多い。
    著者の本はブルーバックスで色々と読んでいるが、本書も中々面白かった。

  • ブラタモリを見ていると、石の話が時々出てくる。
    それで好奇心を掻き立てられ、何か入門書はないかと探して出会ったのが本書。

    この本を読めば、細かな石の種類を見分けたりできる、とはならない。
    しかし、ビッグバンから原始地球ができ、マグマだまりから橄欖岩、玄武岩、花崗岩が析出していった仕組みを、わかりやすく説明してあり、地球科学初学者にもつかみやすい。

    筆者、藤岡さんは、本書が正確さをやや犠牲にしていると繰り返し断っているが、初学者が他の、関連書を読みたいと思うのなら、それは大成功ではないだろうか?

  • タモリさんのせいで岩石も勉強しようと思ったものの、書店に行っても岩石の写真集ばかりで何処でどう出来るものなのかさっぱり、と思ってました。
    この本は、あえてマントルを作る橄欖岩、海洋地殻を作る玄武岩、大陸地殻を作る花崗岩、と、大雑把に説明することで頭に入りやすくなっています。石についての最初の勉強に、もってこいな本ですね。

  • 皆さんは石について興味を持ったことはありますか?最近ではカラーの写真できれいな石を紹介している本は数多く、そこから興味を持ち始めた人も少なくないと思います。しかし石の惑星である地球には一説では3000種類もの石があるとされ、難しい漢字もよく使われているため、その時点で諦めてしまう人も多いのではないでしょうか。
    こちらの「三つの石で地球が分かる」という本は、そのタイトルの通り地球上に存在する重要な三種類の石について詳しく説明された本であり、石の説明だけでなくその三つの石を用いて、地球の誕生から空と海の誕生、さらには生物の誕生など地球にとっての重要なイベントの解説がされています。「マグマオーシャン」や「プレートテクトニクス」など聞いたことはあるけれども詳しく知らないようなことについても三つの石を関連付けて詳しく説明されています。では、三つの石とは何という石なのでしょうか?こちらの本ではタイトルにも、表紙にも、帯にも、あえて三つの石が何という石なのか載せられていないのでここでもあえて言いませんが、三つのうち二つは中学校で習う六つの石の中の二つで、皆さんも知っていると思います。残りの一つも地球の体積の80%以上を占める有名な石なので聞いたことがある人は多いと思います。
    こちらの本は、石に興味を持ち始めた石初心者の方にはぜひ初めに読んでいただきたい一冊です。 (地球環境学コース 修士1年)

  • いろいろな石があるが、全ての石の生い立ちを3つの石から紐解いたもの。よくわかる。

    序章 そもそも、石とは何だろうか
     石はケイ酸塩鉱物でできている。
    第1章 マントルを作る緑の石
     橄欖(かんらん)石はマントルを形成する石で地上で見ることはほぼない(ごくたまにあることもある)緑色をしており高温、高圧下で固体である。
    第2章 海洋をつくる黒い石
     二人目の主役、玄武岩。橄欖岩の直属の子孫。主に海底から噴出するマグマが急速に冷却されてできた石。
    第3章 大陸をつくる白い石
     花崗岩。玄武岩とは違いゆっくり冷却された石、プレートの沈み込みで形成された。
    第4章 石のサイエンス
     元素レベルから石のことを説明してある
    第5章 三つの石と家族たち
     橄欖石、玄武岩、花崗岩の違いを説明
    第6章 三つの石からみた地球の進化
     地球の進化に見え隠れしている三つの石の総まとめ
    終章 他人の石たち
     堆積岩など火成岩でない石の紹介




    大陸と海底では石の種類が違う(花崗岩と玄武岩)。富士山は玄武岩でできている、が一番のびっくりでした。

  • 「三つの石」とはかんらん(橄欖)岩、玄武岩、花崗岩。

    かんらん岩はマントル、玄武岩は地殻下部(海底)、花崗岩は地殻上部(地上)を構成するという。

    地殻のうち海面より上にあるのが陸地、下にあるのが海底なのではなくて、成り立ちや組成も含めて明確に違うらしい。

    「石」はどれも主にSiO4からできているが、外殻電子の結合(共有)状態が異なり、結晶構造も違う。
    かんらん岩、玄武岩、花崗岩の順に密になり、すき間に金属原子が入りにくくなるため、比重も軽く、色も白くなる。

    かんらん岩がマグマを経て玄武岩となり、海底の海嶺から湧き上がって玄武岩の海底を作り、プレートを動かし、そのプレート境界の沈み込みによる作用で花崗岩ができる。

    安山岩、流紋岩、閃緑岩なども成り立ちはやや異なるものの親類関係にあるそうだ。

  • 第75回アワヒニビブリオバトル「おうち時間DEビブリオバトル」2時間目 理科で紹介された本です。オンライン開催。
    2021.05.02

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著者プロフィール

ふじおか・かんたろう
静岡大学防災総合センター客員教授。1946年京都市生まれ。東京大学理学系大学院修士課程修了。理学博士。専門は地球科学。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター深海研究部研究主幹、グローバルオーシャンディベロップメント観測研究部部長、海洋研究開発機構特任上席研究員を歴任。「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋初潜航を達成。海底地形名小委員会における長年の功績から2012年に海上保安庁長官表彰。著書に『山はどうしてできるのか』『海はどうしてできたのか』『川はどうしてできるのか』『三つの石で地球がわかる』『フォッサマグナ』『見えない絶景 深海底巨大地形』(いずれも講談社ブルーバックス)など。


「2022年 『天変地異の地球学 巨大地震、異常気象から大量絶滅まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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