宇宙に「終わり」はあるのか 最新宇宙論が描く、誕生から「10の100乗年」後まで (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020067

作品紹介・あらすじ

◆「ビッグバンから138億年」は、宇宙の始まりにすぎなかった――。
◆未来の果てに、宇宙は「終わり」を迎えるのか?

 宇宙の歴史は138億年だ。138億年という長い歴史の到達点に、私たち人類の誕生があるのだ。……このような話を聞いたことがあるかもしれません。
 確かに、宇宙は今から138億年前、ビッグバンで生まれました。では、宇宙はこの先どうなっていくのでしょうか? 宇宙が滅びるのは何億年先? 何兆年先? もし、遠い未来から現在という時点を振り返ってみたら、どのような時代に見えるのでしょうか?

 実は、「138億年」は、宇宙にしてみればほんの一瞬です。宇宙は、人類誕生までの138億年を序盤のごく一部として含み、この先少なくとも「10の100乗年」(10の100乗は、1の後に0が100個続く数)に及ぶ、想像を絶する未来を有しています。
 現在は、宇宙が誕生した「直後」です。「宇宙138億年の歴史」は、宇宙の始まりにすぎないのです。

 138億年が一瞬に思えるような、そんな遥か遠大な未来に、はたして宇宙は「終わり」を迎えるのでしょうか? 本書に、その答えがあります。
 本書は、宇宙に流れる「10の100乗年」の時間を眺め、人類の時間感覚とは全く異なる壮大な視点に立てる、知的冒険の書です。

■おもな内容
第1章 不自然で奇妙なビッグバン――始まりの瞬間
第2章 広大な空間、わずかな物質――宇宙暦10分まで
第3章 残光が宇宙に満ちる――宇宙暦100万年まで
第4章 星たちの謎めいた誕生――宇宙暦10億年まで
第5章 そして「現在」へ――宇宙暦138億年まで
第6章 銀河壮年期の終わり――宇宙暦数百億年まで
第7章 消えゆく星、残る生命――宇宙暦1兆年まで
第8章 第二の「暗黒時代」――宇宙暦100兆年まで
第9章 怪物と漂流者の宇宙――宇宙暦1垓(10^20)年まで
第10章 虚空へ飛び立つ素粒子――宇宙暦1正(10^40)年まで
第11章 ビッグウィンパーとともに――宇宙暦10^100年、それ以降
終章 不確かな未来と確かなこと――残された謎と仮説
補遺 宇宙を統べる法則
年表 宇宙「10の100乗年」全史

感想・レビュー・書評

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  • 宇宙ベースの経過年数で数えるの、ビックバンから始まりビッグウィンパーまでの行程は10の100乗年かかる。そう考えると我々の存在する現在はたかだかビッグバンから138億年しか経っていないという時間軸になる。
    その中で人生100年と考えると、いかに小さな時間を過ごしていてるのかと考えさせられる。


  • 星の誕生から消滅、そして物質への理解を含めてから宇宙論全体を論じる構成により、非現実的かつ天文学的な範囲の仮説が現実味を帯びて理解できる1冊でした。

  • 雑誌プレジデントか何かで、「新社会人向けの本」で紹介されていた記憶。それを覚えつつ、何かのきっかけで書店購入。
    宇宙の誕生から終焉まで、ダイナミックな宇宙論を学ぶことができる本。

    この本の良い所は、「最新研究で確かに分かっている事」「イマイチ解明されていない事」をハッキリ書き分けていること。

  • やや高度な思考をいとわなければ、宇宙の始まりから終わりまで統一的な見方が得られる。天文学的スケールという言葉すら、陳腐に思えてしまうほど、大きな数を想定することを恐れなければ、物理学はこの宇宙ですら最初と最後まで推定してしまう。いかに人間中心の尺度が陳腐か。ワクワクを打ち消す科学の威力を思い知った。

  • 宇宙の始まりから終焉予想までを非常に分かりやすく説明した本。インフレーションの前の状態といのうが今まで良くわからなかったが、はじめてスッキリと分かった。以前、NHKスペシャルで宇宙の始まりのようなことをやっていたが、やはりブルーバックスの方が断然分かりやすい。場のエネルギーのちょっとした偏りから宇宙が始まり、その膨大なエネルギーが物質に変わっていくなど、想像もできない現象だが138億年という途方もない時間と、それよりはるかに広大な宇宙空間が存在していることを考えると人間の想像などは及ばないようなことが起きているのだろう。宇宙背景放射、対称性の破れ、宇宙の晴れ上がり、ダークエネルギー、ダークマターなど、科学番組でよく聞くことが時系列的に書かれているのでとても分かりやすい。宇宙の終焉がビッグウィンパーと呼ばれていることは初めて知った。いずれは全てのエネルギー=物質がエントロピーが増大する方向に向かい熱力学的な死を迎えることになる。う~ん。こんな話を読んでいると所詮80年くらいの人生なんて取るに足らないものに思えてくる。。。

  • ボリューム感はありますが、数式は皆無なので慣れてない人でも頑張れば読めると思います。
    あらためて宇宙のスケールの壮大さを実感する本です。

  • わかりやすい宇宙の歴史10の100乗年。
    ビッグバンで、エネルギーの場から素粒子が誕生し、結合し元素が生まれる。
    宇宙が膨張していく中で温度が下がり38万年後くらいに3000度隣、電子と陽子が結合し、水素原子になる(宇宙の晴れ上がり)。その後最初の恒星が形成され、超新星により、恒星内部の核融合により形成された水素やヘリウムより重い原子が宇宙空間に拡散され、第二世代の恒星の材料となり、現在の太陽系のようなものと人類が138億年後に誕生することとなる。これ以降は、140億年後には太陽の膨張で地球がハビタブルゾーンから外れ、数百億年後には銀河系がアンドロメダ銀河と合体し、星形成率もだいぶ落ちてくる。1000億年後には宇宙の膨張が進むことで他の銀河が観測できなくなり、それ以降は通常の理論であれば(ダークマター、ダークエネルギーについてはほぼ分かっていないので)、新たな星や銀河などの構造は生まれず恒星は徐々に力尽き、原子でさえも1兆年単位では半減期を迎え、ブラックホールと残存物だけが残る世界となり、それすらもいつかは無くなる。

  • 最新の宇宙論を概観するのに好適な一冊。

  • 宇宙の始まりに関する本は読んだことはあるがこれだけ未来に紙幅を割いた本は初めて。人や生命が滅びても宇宙は何となく続いているのだろうと思っていたが、遂には物質ひいては素粒子まで消滅するとは想像だにしていなかった。
    主論ではないが常々疑問に思っていた水がないと生命が存在しないという説も、生命維持の観点からではなく複雑な構成をもつ原子が自然に生成される(化学進化する)可能性が低いということがわかりようやく得心がいった。
    その他、地球が灼熱地獄と化すには10数億年しかないんじゃ弥勒菩薩も間に合わないじゃんとか、この宇宙の外は2次元世界にとっての3次元世界のようにわかりようがないなら、突然この宇宙が外的要因で消し去られたりするんじゃとかいう子どもの頃からの想像を思い出したりと、色々なことに想いを馳せながら面白く読めた。

  • 面白かった。宇宙観が更新できる。

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著者プロフィール

1956年三重県生まれ。大阪大学理学部物理学科卒業、同大学院博士課程修了。理学博士。専攻は、素粒子論(量子色力学)。東海大学と明海大学での勤務を経て、現在、サイエンスライター。 著書に、『時間はどこから来て、なぜ流れるのか? 最新物理学が解く時空・宇宙・意識の「謎」』(講談社ブルーバックス、2020)、『量子論はなぜわかりにくいのか 「粒子と波動の二重性」の謎を解く』(技術評論社、2017)他。

「2020年 『談 no.117』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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