デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940375

作品紹介・あらすじ

祈りの場。フランス西海岸にある古い修道院で生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。 一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの 再構築が開始され、新たにトランスファの存在が明らかになる。 拡大と縮小が織りなす無限。知性が挑発する閃きの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 祈りの場。フランス西海岸にある古い修道院で生殖可能な一族とスーパ・コンピュータが発見された。施設構造は、ナクチュのものと相似。ヴォッシュ博士は調査に参加し、ハギリを呼び寄せる。一方、ナクチュの頭脳が再起動。失われていたネットワークの再構築が開始され、新たにトランスファの存在が明らかになる。拡大と縮小が織りなす無限。知性が挑発する閃きの物語。
    「講談社BOOK倶楽部」より

    今度はフランスが舞台.
    新しいスーパ・コンピュータが発見されて、トランスファというものの存在が登場して、少しずつ話が拡大している.
    ウォーカロンがどんどん人間に近づいていて、境界線はどこにあるのだろいうという疑問をシリーズの初め、というかほかのシリーズから追い続けているけど、今回みたいに直接頭に埋め込まれているチップで意思疎通できたり、身体機能が停止しても再生できるとなると、どこにその差を認めるのかその領域がどんどん限定されていく感じがある.

  • 今回は活劇多め。冒頭からナクチュの研究施設が謎のウォーカロンの少女の襲撃を受ける。彼女はデボラという別の存在に操られていた。またフランスの修道院でナクチュと同じ様なタイプのコンピュータが発見され、調査の為にハギリ博士達が赴く。一連の間博士だけに聞こえる女性の声。声の正体は?フランスとナクチュ、類似しているのは何故なのか?前作で人間の定義の曖昧さが提示され、そちらへ突き詰めていくのかと思っていたらさらに別の存在が出てきてまた違う方向に転がり出した。ややこしくなってきたけど読み応えあり。読み終わってみると背表紙の薄さに驚く。


  • Wシリーズ4弾。フランスの西海岸にある古い修道院で生殖可能な一族とスパコンアミラ。
    デボラ眠っているの?の声。ニュークリアに収入したウォーカロンの少女サリノ。コンピュータ間を移動するトランスファデボラ。有機ウォーカロンに対して人間が平均的に優れている点は発想力。
    人工知能であるアミラとベルベットの対決。

    有機ウォーカロンに対して人間が平均的に優れている点は発想力。後の話で、ある特定の遺伝子を用いて量産しているためという部分もあるのかも。
    カンマパはデボラの娘らしい。
    トランスファだけが通れる回路を大昔から設計に密かに組み込み言葉なども含めたストッパとなっている?
    修道院のオーナーはジャン・ルー・モレル.

  • 非常にエキサイティングなトランスファの攻防戦。
    あー、繋がってきたかなと思ったらまた少し離されたような。マガタ博士の導きたい未来はまだ見えない。
    ウグイどんどん可愛くなってるな。アネバネもだが。

  • 人工知能同士の争いに巻き込まれつつ、
    その話を通して、「生命とは何か?」「生きているとはどういうことなのか?」
    といった意味合いのセリフが多くて、
    単純に SF の枠にはとどまりきらない面白さがあった。
    それにしても、スマホばっかり使っていると、
    人間は体を捨ててバーチャルな存在になったほうが、
    よりスマートなのかもね、などと思ったりしてしまった。

  • 銃撃戦に迫力があります。
    森博嗣先生の真骨頂は、主人公の思想と、その「空気感」にあると常々思っていますが、
    こういうアクション的な文章も素晴らしいと思いました。
    まったく、それこを「空気」が違うけど、
    「スカイ・クロラ」シリーズの、空での戦闘シーンを思い出しました。
    あの空中戦の描写も素晴らしかった。
    疾走感があります。
    今回は、その戦闘に、ある「タイムリミット」が設けられます。
    それがまた、物語に躍動感を与えていました。

    それにしても・・・
    「デボラ」は真賀田四季が100%ベースとなっているもの。
    今回、その反対勢力が出現します。
    それは、四季の頭脳をベースとしていないのか・・・?

    森博嗣文学においては四季の頭脳は絶対的なもので、
    「デボラ」は絶対的力を持っていると思っていたので、
    デボラの反対勢力がこれほど力を持っていることに驚きました。
    これから、その勢力とどう対峙するのか? しないのか?

    今回、ほとんど出てきませんでしたが、
    前作で活躍し、日本にやってきた「たなか」とその娘との今後も気になります。

  • Wシリーズ(って言うんだね)の4冊目。
    前作あたりでこの世界に慣れてきて、漸く面白くなってきたところ、今回は再稼働させたナクチュのコンピュータがハギリにアクセスしてきて…という滑り出し。
    『「よくわからない話だ」そうとしか言いようがなかった』という件りがあるが、これまで同様こちらもハギリと一緒に悩み思索しながら付き合う。
    バーチャルな電子空間の中でのコンピュータ同士の勢力争いがリアルな世界と反転しようとする狭間を垣間見せる物語、既にして人工知能が人類の知能を追い越している状況ではあるが、コンピュータが行う思考に対し、人類しか出来ない発想があることも確認する。
    前作にあった“人間の人間的判断”の考察が深められながら、人類にとって人工知能が天使になるか悪魔になるか、お話が深耕されて行く様が興味深い。

    ウグイ、なかなか可愛いぞ。

  • さいこーー!!
    ウグイ好きすぎる!!!!

  • え、ウグイ・マーガリ可愛すぎ

  • 既存の「人間」という定義から我々が徐々に離れていることを、一個ずつ証明されている感覚。
    信じる神も持たず、続く子孫もいないから歴史も持てない、さらに、電子空間と反転している、していく可能性の浮上。

    ーー我々ははたして本当に生きているのか。
    永久に動き続けるものはない。ただ、エネルギィが供給され続ければ、ものは動く。だが、動くことは生きている証ではない。
    すべてを諦め、すべてから手を引き、生きることをやめてしまうという選択が、残されている道なのだろうか。何百年も生きられるとしたら、最後にはその選択をするのだろうか。

    電子空間に存在するものがいる、というのは正直、怖いという感情が先に立つ。現代では想像できないから。知らないという感情と、恐怖や嫌悪はとても近い。だからこそ、人は理解できないものを拒絶し、迫害する。その距離を埋めることができたら人は認めることができるかもしれないけれど。

    生きるために人間であることを諦めるというのは、つまり、生きるために死ぬようなものなのか。
    人間は人類が脅かされることに怯えるあまり、トランスファやウォーカロンが生きているということを認めることができない。しかしその結果は巡り巡って、自分達は生きているといえるのか?というパラドックスに陥っている。
    「存在しているものを生きているというのだよ」と話すヴォッシュの言葉を、純粋に受け入れられたら楽になるけど、簡単には難しい。
    まぁでも、この一連の思考全てがトランスファにとっちゃ「無限ループに陥るため、演算に適しません」ってことなんだろうな。

    サリノの扱いを見ると、肉体が死なないって厄介だなとしか思えなかった。
    命の価値が、どんどん軽くなっていく。

    それにしても、この巻までずっとウグイもアネバネも人間じゃないと思ってた。ハギリ博士がずっと他者や読者を騙してるのかと…

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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