女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.65
  • (27)
  • (62)
  • (54)
  • (6)
  • (5)
本棚登録 : 982
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062935838

作品紹介・あらすじ

旅の途中で道に迷ったサエバ・ミチルとウォーカロンのロイディは、高い城壁に囲まれた街に辿りつく。高貴な美しさを持つ女王、デボウ・スホの統治の下、百年の間、完全に閉ざされていたその街で殺人が起きる。時は2113年、謎と秘密に満ちた壮大な密室を舞台に生と死の本質に迫る、伝説の百年シリーズ第一作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • どうして年齢が進まないのか、どうしてある人物を見てはいけないのか、というところが気になって読んでました。さすがは森博嗣で、理屈がありますね。このシリーズも楽しみです。

  • 登場人物の描写が細かくて、イメージしやすく夢中で読めました。この街のシステムは誰が何のために作ったのか、住人が信じる宗教的な思想、女王の異様な若さ、全てが不可解で不気味でした。
    人を殺すことが許されている世界。
    殺された人間は神の手によって永い眠についたとされる。

    サエバ・ミチルとともに行くロイディはウォーカロン。二人の住んでいた日本はシステムが発達していて、怪我や病気がすぐに治せる世の中。
    それとは対象に女王の街は医者らしい医者はおらず、治療しないまま亡くなる。
    価値観や思想の違いがあり、どちらが本当に幸せなのか考えさせられました。


    ウォーカロンってなんなの!?
    って思ってたらロボットのことなのかな?
    他の作品にも出てくるみたいなので、また読んでみようと思います✨

  • #読了 2024.4.6

    WWシリーズの読みたい本があったのだけど、どうやら続きものみたいで。調べてみるとその前にWシリーズとこの百年シリーズを読んだ方がいいみたいなのでここからスタートすることにした。

    普段は舞台が現代のものしか読まないからSF系は久々だった。めちゃめちゃ良かった◎
    死生観とか法哲学とか。「理解を超える科学は宗教に見える」って言葉を何かで見かけたけどそんな感じもした。科学なのか神様なのか。

    現実の現代において「自分の身を守る」というのは自責と言われてもいいほど当たり前のことで、それは時に「人を疑う」こととイコールであり、理由の有無問わず悪意を向けられることはありえることだ。
    それを、なぜ人を疑うの?と性善説全開で詰め寄られ、その上それが成り立ってる文化の国(?)を目の当たりにすると、自分の"当たり前"に自信が持てなくなる不思議。同時にそれが異様に宗教ちっくに見える。。破綻したことを言ってるわけではないのだけど。うまく飲み込めない。まさに文化の違い、価値観の相違なのだろう。

    悪意は無くなればいいと思っているけど、いざほんとになくなると、人工的というか、人間味に欠けるというか、妙な気持ち悪さ。
    悪意がある方が人間味を感じることへの悲しさよなぁ。

    高い壁の中の街ってのが、進撃の巨人のアニメのかんじで私は脳内再生されたけど、高さは違えどあんなかんじかね?

    「モモ(ミヒャエルエンデ)」や「旅のラゴス(筒井康隆)」などが好きな人、そして"価値観"の話が好きな人は楽しめると思う。
    自分の当たり前の感覚を疑う感じは、テイスト違えど考えさせられる点では村田沙耶香さんの作品好きな人もいいかも。


    ◆内容(BOOK データベースより)
    旅の途中で道に迷ったサエバ・ミチルとウォーカロンのロイディは、高い城壁に囲まれた街に辿りつく。高貴な美しさを持つ女王、デボウ・スホの統治の下、百年の間、完全に閉ざされていたその街で殺人が起きる。時は二一一三年、謎と秘密に満ちた壮大な密室を舞台に生と死の本質に迫る、伝説の百年シリーズ第一作。

  • 「脳が浸る」という言葉が相応しいほどの森博嗣ワールド。ミチルの一人称視点で進む物語は未来のテクノロジイによってより可視範囲を広げている。
    先進技術が存在する未来の文化人類史的舞台で起こる事件。未来から見たらおしゃれでイケてるゴミ箱すら貝塚扱いなんだろうなと思った。人間としての終わりは未来にあるのだろうかと考えてしまった。

  • 2002/01/29

    森氏の理系頭にはいっつも驚かされる。
    「真実」と「罪」の定義はあやうい。またもや視界のないところにトラップ。

  • ミステリーというより、命の価値観が異なるスコシフシギな世界に迷い込んで、生きること、復讐すること、罪などなど。改めて主人公と一緒に考えるような物語だった。

    未来の技術に託してコールドスリープさせるので基本、「死」ではなく「眠りにつく」という捉え方の世界。だから近しい人が眠りについても淡々と受け入れる人の描写がある。ミチル同様、異質に思えるけれど、例えば他の物語で登場人物たちが「来世でまたね」的なことを絶対絶命の場面で言ってたら、異質さではなく何やら泣けてくる……かも。来世も遙か未来の科学技術も不確かな約束事なのに。

    来世は証明しようがなくて信じる信じないが個人の判断に委ねられる。有るんだかないんだか、て感じだ。科学技術よりも遥かに不確かで、口にする登場人物たちも心の底から来世を信じてるとも思い難かったりする。不確かさにすがるしか他に道がない儚さに胸が詰まる。何より「命が終わる」こと前提だ。
    一方の、ルナティックシティは「眠らせといて未来で治そう」(かたく信じてる)。儚くない。事務処理感すらある。名残惜しさがない。命が終わらない。

    でも、一緒に過ごせなくなるなら、寂しかったりつらかったりするもんじゃない?人間だもの。
    あと、未来の技術に期待するあまり、みんな、だんだん大した怪我や病気じゃなくても、できるだけいい条件で眠りについて、未来で楽しく過ごそうってならないの?
    などなど、読んでて思わず思考が良き道に行っちゃう話だった。

  • Wシリーズのために8年ぶりくらいに再読。
    これ2000年に初版刊行って本当に????
    なんかどんどん物語の世界に現実が近づいていないか??
    森先生すごすぎないか???え???

    全く内容を覚えていなかったけど、血か、死か、無かを読んだあとだったので、色々衝撃。
    ロイディってウォーカロンだったの....
    ウォーカロンてWで初見かと思ってたのに...
    20年前の伏線をどんどん回収してくのさすがだし、物語が古臭くなく近代的な未来として想像できるのすごい...

  • 死生観、宗教、哲学、メカニズム、人間、脳、躰、機械、神。
    一言でいうと、めちゃくちゃ森博嗣。

  • 久々の森博嗣作はやっぱり難しかったです。読み終わってもまだ、1回では理解できないことが多くありました。どこかにこんな街があるかもしれないと思わせられるけど、行ってみたいかと言われると遠慮したいなと思います。面白かったです。

  • 上品で現実を感じさせない森博嗣ワールドがやっぱりちょうどいい。面白くて先は気になるけど、感情移入しにくい設定だから穏やかに読める。まだ百年シリーズは1冊目だから、内容は2冊目3冊目を読み進めていくうちに理解が深まるはず。

全53件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森博嗣の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×