刑事の約束 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062934442

作品紹介・あらすじ

抜き差しならない状況に追い込まれた人たちの心を見つめ真実にたどり着く異色の刑事・夏目信人。『刑事のまなざし』に次ぐ第二短編集

感想・レビュー・書評

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  • 夏目シリーズ第3弾。短編5作品。
    夏目さん、ええわ。少し頼りない感じに見えるけど、実は凄いって感じが(凄い洞察力で事件の真相を暴く)
    更に単独行動多い一匹狼。
    こんな人が、組織におったら、困るんかもしれんけど、やっぱり組織の論理で動くのではなく、あくまでも、真実を追求する姿勢が好き。
    こういう人は、多分、出世はしない。本人も望んでないやろうけど。
    事件も真相を暴いても、人を傷つけるだけなら、報告しないとか、組織人としては、どうかと思うけど、人としてはええと思う。
    なので、捜査一課の人も、洞察力とかだけでなく、人としても一目置いてるんとちゃうかな?

    でも、人を信じる事を信条にしている夏目さんに、人を疑う仕事は、キツそう!
    でも、頑張れ!

    娘さんが、良い方向に向かっているのが、嬉しい!(^_^)v

  • 人間の心奥を鮮やかに描き出す、夏目刑事シリーズ第3弾、短編の5編それぞれに重いテーマが。
    結果は同じでも、「ミルフィーユ」のような重なりがある加
    害者の心理を、丁寧に解きほぐす夏目刑事の捜査手法は、本作でもいかんなく発揮されている。
    夏目の同類とも目される志藤検事がまた登場するが、彼の背景はいろいろありそう。次回作あたりに、期待したい。
    表題作では、夏目一家に大転機が訪れ、こちらの行方も注目される。

    • azu-azumyさん
      hongoh-遊民さん、こんにちは。
      私の本棚を紹介してくださいり、ありがとうございました。
      hongoh-遊民さん、こんにちは。
      私の本棚を紹介してくださいり、ありがとうございました。
      2016/09/14
    • honno-遊民さん
      lalamama1さんも海外在住ということなので、情報交換他、話が合うと思い、紹介してみました。よろしく。
      lalamama1さんも海外在住ということなので、情報交換他、話が合うと思い、紹介してみました。よろしく。
      2016/09/14
  • 夏目信人シリーズ、第三弾。
    短編集、5話が含まれています。

    どの作品も、表面的には大したことが無いように見えますが、その深層に、人間のある感情が横たわり、その感情を理解するとことで、真相が見えてきます。

    どれも味わい深い作品ですが、特に、表題にもなっている『刑事の約束』では、長い眠りにあった娘の目覚めが描かれており、ウルウルものですね。

  • 夏目刑事シリーズの第3弾。珠玉の短編5編を収録。第2弾は長編であったせいか物語の凝縮度が低いように感じたが、本作では第1弾と同様に非常に濃い人間ドラマを堪能した。

    異色の刑事・夏目が見つめる様々な人びとが背負う罪、感情、夢、希望、絶望…今回、夏目の眼は人びとを見つめるだけでなく、自分自身にも注がれているように感じた。殺伐とした現代に起こり得る事件をテーマに描く、様々な人間の姿と救い。これだけ高い水準の作品を書き続ける薬丸岳は並みの作家ではない。

    表題作の『刑事の約束』の他、『無縁』『不惑』『被疑者死亡』『終の住処』を収録。

    ライター・湯水ゆかりの解説が的確に薬丸岳と作品の本質を捉え、表現しており、非常に好感が持てた。

  • 夏目刑事シリーズの短編集。
    娘さんが!
    そこの展開は予想していなかったのでびっくりした。
    夏目刑事の素晴らしい人柄に尊敬する。

  • 初めて読む作者。夏目刑事シリーズ。この本の前に何冊もある様子。連作短編集。
    無縁…少年が万引き・催涙スプレーで補導される。しかし、決して名前住所を言わない。背景には亡くなった女性芸能人が関係していた。

    不惑…夏目の同窓会と、同級生の殺意。

    被疑者死亡…前科のある男性が再び警察に追いかけれれる途中で事故死。彼が殺害したことは間違いないが、理由がわからない。

    終の住処…高齢女性が支援センターの男性を怪談から突き落とす。

    刑事の約束…刑務所から出所したばかりの女性が殺害される。娘は拒食症。かつて夏目が事件の捜査を行い、気にかけていた少年は娘と同じカウンセラーにかかっていた。

     夏目は昔法務技官という仕事をし、刑事になったらしい。娘が通り魔に襲われ、10年間寝たきりで入院している。事件は夏目が以前の作品で解決した様子。
     今作は娘の意識が戻った場面があって、シリーズとしてはターニングポイントかな。あと、心に傷を負った青年が復讐のため罪を犯してしまったことも、後に続くのかな。
     初めて読んだ作者だけど、夏目が細かな心遣いで捜査していて、読んでてしんみりしてくる。最後の少年が犯人だったこともじっと向き合う様子が描かれていて、頼もしいと思った。

  • 万引き事件を起こした少年は、得体の知れない女とひっそり暮らす無戸籍児童だった。憐れむべき存在かと思えた少年はしかし、刑事・夏目の捜査で予想外の相貌を見せる(「無縁」)。割りきれない事情が、時にやりきれない犯罪を生む現代。絶望がしのび寄る乾いた世の中に、わずかな希望のありかを探る傑作短編集。

  • 【希望が、希望と出合えますように。】

    植物状態の娘を持つ刑事・夏目信人(なつめのぶひと)。夏目は5つの事件に対し、誰も気づけない手がかりから鮮やかに謎を解いていく。抜き差しならない状況に追い込まれた事件関係者たちの心を見つめる夏目が、最後にした“約束”とは……
       

    刑事 夏目シリーズの3作目。
    今回も短編集で安定の面白さがあった。
    題名にもなっている最終話の『刑事の約束』は、夏目シリーズ1作目の『刑事の眼差し』と関係の深い話になっているので、合わせて読む事をおすすめしたい。

    様々な理由で犯罪を犯す人達の心理を、夏目の鋭さで暴き、遺族や関係者にささやかな救いを与えることができるのは、自らも犯罪被害者である夏目ならではないだろうか。


    こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
    ・社会派ミステリーが好きなひと
    ・スキマ時間に読みたいひと
    ・少年犯罪が題材の話が好きなひと

  • 薬丸岳さんの”夏目シリーズ”の第3弾の短編集です。「無縁」、「不惑」、「被疑者死亡」、「終の住処」、「刑事の約束」の5話が収録されており、どの話も良く練られたストーリーで読者を飽きさせる事が無いです。夏目刑事の、感情を前面に出す事の無い淡々とした捜査と推理が大好きなんだよな~♪

  • 面白かった
    「刑事のまなざし」「その鏡は嘘をつく」に続く夏目シリーズ第三段
    5編からなる短編集です。
    今までの物語同様、単純な謎解きではなく、人の心の複雑さをあぶりだす人間ドラマとなっています。この手の作品は大好き。
    しかし、第一作、第二作に関連している人物が出てきているようですが、ほぼほぼ前作の内容を覚えておらず、その辺は楽しみ半減でした。残念。

    ■無縁
    DVD販売店で万引きをした少年の物語。
    少年は得体のしれない女性と暮らす戸籍のない子供。
    黙秘を貫く子供の正体は?
    なぜ戸籍がないのか?
    家族とは?深い...

    ■不惑
    ホテルで結婚式のビデオ制作する男の物語。
    同じ場所で開かれた高校の同窓会に出席した夏目はその男の企みを感じます。
    自殺未遂で13年間眠り続けた婚約者の原因を作ったのがその結婚式の新郎。
    新郎を殺害するのか?
    その真相は奥深いものでした。

    ■被疑者死亡
    殺人容疑で逮捕状をとって、踏み込んだアパートから逃げた男はトラックではねられて死亡。
    被疑者死亡で書類を検察に送れば終わると思われた事件を掘り下げます。
    そこにあったのは、ろくでもない男なりに守りたかったもの。哀しい物語でした

    ■終の住処
    老婆がケアマネージャを階段から突き落とす事件。
    老婆が持っていた桐のタンス。そのタンスを巡る秘密。

    ■刑事の約束
    植物人間だった夏目の娘に反応が..どうなる?
    って思いがらも、本編では重い話が..
    空き地に停まっていた車から発見された刺殺された女性の死体。その自宅を訪ねると、拒食症の娘が。
    女性は覚せい剤で最近まで刑務所で暮らしていた。
    そして、数日後、娘が自首。
    なぜ、娘が母親を殺したのか?
    そこには、「刑事のまなざし」で登場した人物との接点が..
    これは、深い。
    「刑事のまなざし」のオムライスを読み直さなければ..

    ということで、いずれも良い作品でした。

    とてもお勧め。
    順番通り読み進めましょう。
    そして、どうせなら一気に3作を読みましょう(笑)

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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