スピンク合財帖 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 109
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062932509

作品紹介・あらすじ

主人・ポチと美徴さん、キューティー、そしてたくさんの猫さんたちと暮らす山奥の家にシードがやってきました。セラピードッグとして働いていた稀少なミニチュアプードルの黒犬で、最初はなにを考えているかわからなかったのですが、今では随分と変わりました。ポチは相変わらずで、前倒しに生きています。

感想・レビュー・書評

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  • 飼い犬スピンクの視点から町田家の日常を綴るシリーズの第2弾。

    『スピンク合財帖(がっさいちょう)』というタイトルが、じつによい。
    「合財帖」とは、小間物一切を入れる「合財袋」(がっさいぶくろ)をもじった造語だと思うが、本シリーズの〝おもちゃ箱をひっくり返したようなごった煮加減〟をよく表現している。

    内容は、第1弾と基本的には同じ。
    ただし、カバー写真でわかるとおり、町田家に三匹目の犬――トイプードルの「シード」――が仲間入りしている。

    二匹目の「キューティー・セバスチャン」(スピンクの弟)がそうであったように、シードもまた、かわいそうな境遇に置かれていたのを町田夫妻が見るに見かね、引き取ったものである。

    シードに出会い、引き取り、町田家の一員として溶け込ませるまでの過程が、この巻のメイン・ストーリーとなる。

    飄々としたユーモアで愉しませるエッセイだが、その底には町田夫妻の動物に対する豊かな愛情があり、ペット業界の現状に対する静かな告発があるのだ。

  • 町田康氏の飼い犬、スピンクの視点で語られるエッセイ(?) ポチこと町田氏の奇行は相変わらず…というかスピンク目線で書いてあるが客観的に見れている(あるいは事実と見せかけた創作の可能性もあるが)のはちょっとすごいなと感心もあり()

    繁殖犬→セラビードッグという経歴を持つミニチュアプードルの「シード」も仲間入り。ポチと美微さんの考える「犬の在り方」については個人的には「ちょっとそれは違うのでは…」と思う点はある。血統書付きの犬達限定の考え方になってしまうので、雑種の野犬の多い土地の人間としては少しモヤモヤ。しかし、セラビードッグという役職を持ちつつも劣悪な環境に置かれていたシードが夫妻に保護された事は良かったと思う。

    個人的にはスピンクシリーズは「犬との暮らし」という形だが、「猫」シリーズと比べると町田氏本人のエッセイ要素が強いように感じる

  • 『猫といっしょにいるだけで』を読了したら、町田さんの本書を読みたくなった。スピンクの語りで、主人・ポチのおかしな日常を描く。桂枝雀の落語を彷彿とさせるような表現に、思わず微笑んでしまう。新たな仲間・シードを12万円を支払ってまで引き取る「シードのこと」は、ペット産業の問題点をえぐった作品だった。

  • 2016-10-20

  • スピンクの口調が面白い。本当にわんこが思ったことをかいているような感じ。ポチとの掛け合いがたのしく、辛い過去をもつわんこ達に愛情いっぱいのご主人たちに感動。

  • 「スピンク日記」の続編です。スピンクとキューティーのほかにシードが加わり、ほのぼのかつドタバタな毎日が続いていきます。事件は数多あるのですが、事件の詳細よりもその際の主人ポチの様子などが仔細に語られていて、さすが犬は主人をよく見ているなと思わされます。犬のほうが優れていると言いたいわけではなく、どちらかといえば相対化している印象。スピンクがトレーニングに行くくだりではそれが崩れるかと思いきやそうはならず、ホッと胸をなで下ろしました。犬も人間もほかの生き物たちも、みな精一杯生きている。生きることはただただ素晴らしい。そんな生き物讃歌だと思いました。

  • 主人・ポチと美徴さん、キューティー、そしてたくさんの猫さんたちと暮らす山奥の家にシードがやってきました。セラピードッグとして働いていた稀少なミニチュアプードルの黒犬で、最初はなにを考えているかわからなかったのですが、今では随分と変わりました。ポチは相変わらずで、前倒しに生きています。

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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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