幽女の如き怨むもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (736ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062930949

作品紹介・あらすじ

戦前から戦後に跨る遊廓の謎。刀城言耶第六長編。

身を売られ花魁となった少女の壮絶な日記。得体の知れぬ幽女が彷徨う遊郭で連続する怪死。三つの時代を越えて描かれる妖しくも哀しき廓町。ミステリランキングで話題騒然となった"刀城言耶"シリーズ最新長編! 解説 皆川博子 装画 村田 修

闇溢れ出す遊郭。其処は涙と血と悲鳴の最早冥界。

十三歳で遊女となるべく売られた少女。"緋桜"と名付けられ、身を置いた世界は苦痛悲哀余りある生き地獄だった。戦前、戦中、戦後、三つの時代の謎の身投げの真相は"幽女"の仕業か、何者かの為せる業か。謎と怪異に満ちる地方の遊郭を舞台に、ミステリランキングを席巻した"刀城言耶"シリーズ第六長編、文庫降臨。

感想・レビュー・書評

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  • 身を売られた花魁の哀しい運命(T-T)
    さすが三津田作品。意外な真相、お見事です!



    花魁は華やかな世界で接客をするお仕事。
    13歳の少女には、憧れの世界だった。

    緋桜という源氏名をもらい、花魁となった16歳の桜子は、過酷な現実に失望する。

    正直、前半は読むのが辛かったです( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

    下働きは辛く、多額の借金に逃げ場がありません。
    かと言って足抜けは重罪で、下手をすると追い借金を科されます。

    戦前・戦中・戦後と、名前を変えて営業する遊郭で、『緋桜』という同じ源氏名を持った3人の遊女が絡む、怪死事件。

    時代を跨ぎ、戦時の遊郭の様子がとても詳しくわかります。

    特に遊郭内での遊女達の噂話や決まり事などは非常に興味深かった。

    17時に全員で神棚にお参りをするのですが、神棚に飾ってある御神体が『木彫りされた細長い茸のようなもの』笑

    遊女達が天気が良い時にお日様にお股を広げて寝る『お秘所の天から干し』。
    これをしておくと、冬場でも風邪をひかないらしい。ホントかな…(・_・;

    廓に現れる『幽女』の謎。
    刀城言耶がきっちり解き明かしてくれます。

    戦争前後の情勢に翻弄され、ミステリもまた時代を跨ぎ少しずつ真相が分かっていく話、大好きです!

    めちゃめちゃ面白いです!!(≧∇≦)


  • 刀城言耶シリーズ第六長編。戦前、戦中、戦後の三つの時代の遊郭を舞台に、連続する遊女の身投げ事件。刀城言耶が導いた解釈は、幽女と化したものの怨みによるものだった。この作品は最後まで本物の幽女の正体が明らかにされず、それ故に恐ろしさが残った。

  • 花魁テーマは大好き。
    ミステリ絡まなくても楽しく読める。
    多分、多くの人が犯人の見当はつくと思う。
    そう考えさせないようにする描写が、少し無理があるような。

  • 最後の謎解きはこんなもんかという感じ。ただこの作品はそこだけでなくいろんな楽しみ方がある。

    何よりも、知らない遊女の世界が濃密に描かれている。ノスタルジーを感じる年ではないが面白く読めた。
    出戻りする花魁の哀しみに心打たれ、敢えて、金儲けに徹底するやり手婆アに、そこはかとない優しさも感じた。

    解決編の肝に少し無理があるかな。

  • このシリーズは必ず購読しているのに、どうしてこれだけ見逃してしまっていたのか謎だが、一気に読み終えた。ほぼぶっ通しで6時間くらい。あぁ、やっぱりいい。記憶を消して初めから読み直したいくらい。同じシリーズの他の作品とは少し違ったホラーテイスト?味があった。こういったホラー系のものが苦手な人はこの作品から読んだらすんなり読めるんじゃないかな、っと思った。全くおどろおどろしい感じや、いわゆるホラーものを読んでいる時のようなぞくぞくするような怖さは全然感じなかった。
    まぁ、遊郭や遊女ものが好きなので、かなりはまった。

  • 作者の他の作品は読んだことがあったが、有名な本シリーズは初読。ストーリー面白くて引き込まれた。

  • ある花魁の生い立ちをなぞっていくようなお話。もちろん今までのように怪異はあるのだけど、背景情報から、さもありなんという気になった。
    ミステリーホラー感は薄いが、話としては面白く一気に読み進められた。

  • ★3.7
    初代緋桜の日記がとても重く、やりきれなくなる。読み物として勉強になることも多く面白かった。

  • 今回はちょっとホラー色薄めかな〜と思いながら、読み終わって本を閉じた丑三つ時。
    手洗いに立った私は、なるべく窓の外に目を向けないように不自然に顔を背けていました。だって………。

    …………窓のすぐ外側から、誰かの顔が覗いてるような、そんな気がしたんです…………


    キャーーー!!!!!(うるさい


    やっぱり三津田先生の刀城言耶シリーズは鉄板に面白い。程良く怖い。怖すぎないんだけど、なんか時間を置いてジワジワくる怖さがある。

    本作は「遊女」をテーマにした不可解事件。
    戦前、戦中、戦後。時代を経て三度繰り返される転落事件の謎を、刀城言耶が解き明かします。

    テーマがテーマなだけに、遊女になった少女目線で描かれる前半がかなり読んでてしんどいんですが、相変わらず抜群のリーダビリティでグイグイ読ませてくれます。

  • あの一行を読むために2週間を費やしたと思うと。(いい意味で)
    やはり夏は三津田信三に限る。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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