中世・ルネサンスの音楽 (講談社学術文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062919371

作品紹介・あらすじ

グレゴリオ聖歌、ルネサンス期のポリフォニー・ミサ曲が、なぜ今われわれの心を打つのか。騎士世俗歌曲の調べは、いかに音楽史の底流を流れ続けたか。バッハ、ベートーヴェンまで数百年-ヨーロッパ音楽の原点、多彩で豊かな中世・ルネサンス音楽の魅力を歴史にたどる。「音楽史小辞典」「年表」「関連地図」に、ミサ通常文とその訳を付した決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 大学時代、皆川先生の講義の教科書でした。前のを読み潰したので、あらためて電子書籍で買いました。今も素敵な内容のままです。
    中世・ルネサンスの音楽の素晴らしさをもっと多くの人が感じてくれれば、この世はもっと素晴らしくなるのに。

  • 中世・ルネサンスですが、古代の音楽にも少し触れられています。楽譜が印刷され、演奏が録音されるのが当たり前の世界にいると忘れがちですが、昔の音楽の記録の少なさに、音楽は言葉以上に「消えて」しまうものなのだなあと実感。
    そしてヨーロッパの音楽は本当にキリスト教会の歴史と密接に結びついているんだなあ。巻末も、用語集やミサ通常文とその訳などがまとまっていてありがたいです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「言葉以上に「消えて」しまうもの」
      楽譜が残っていても、当時の楽器が残っていても、実際の音は残らないですものね。
      オルゴールのような自動演奏...
      「言葉以上に「消えて」しまうもの」
      楽譜が残っていても、当時の楽器が残っていても、実際の音は残らないですものね。
      オルゴールのような自動演奏の機械って、いつ頃出来たんだろう。ってフと思ってしまいました。。。
      2013/01/16
  • 音楽の歴史との対応を確認するのによい入門書。巻末には地図や年表などがまとめられており親切な構成。

  • MT6a

  • 引用。

    第一章 キリスト教と音楽
    ハイライト(イエロー) - 位置271
    神は人間の前には目で見える姿で 、現われない 。しかし 、それに代わって 、神はみずからの意志を言葉をもって語り 、人はその神の言葉を耳を通して聞くのである 。ここでは 、目で見るのではなく 、耳から聴くという関係が重視される 。
    ハイライト(イエロー) - 位置284
    「ムジカ ・ムンダ ーナ 」とは 「宇宙の音楽 」を意味する 。天体や地球 、つまりマクロコスモスの作り出す音楽であって 、これは耳に聞くことのできないムジカである 。同様に 、 「ムジカ ・フマ ーナ 」は 「人間の音楽 」 、つまりわたくしたち人間の精神および肉体 、ミクロコスモスを律する音楽で 、これも聞くことのできないムジカである 。結局 、現象として鳴り響き 、耳に聞くことのできる音楽 、つまりわたくしたちのいう 「音楽 」とは 、最後の 「ムジカ ・インストゥルメンタ ーリス 」ということになる (本章扉参照 ) 。
    第二章 中世世俗音楽の隆盛
    ハイライト(イエロー) - 位置570
    十一世紀から十三世紀にかけて 、ゴリア ールと呼ばれた 、放浪の下級聖職者ないし学生たちが横行していた 。彼らは今日ふうにいえば 、就職にあぶれ 、反体制的心情をもつにいたったインテリ層で 、既成の道徳や秩序を無視した愛の歌や風刺の歌 、酒の歌などをラテン語によって大胆にうたいあげていた 。それらゴリア ールの歌曲のいくつかは 、 〈カルミナ ・ブラ ーナ 〉の名をもつ歌曲集によって 、今日に残されている 。
    ハイライト(イエロー) - 位置651
    中世騎士世俗歌曲の旋律には 、教会旋法 (第一章参照 )ふうの動きと併せて 、長調あるいは短調への傾向をみせるものが多数存在して 、すでに十二 、十三世紀に長調 、短調的なものが顕在していることを証言している 。とくに注目すべきことは 、これら中世世俗歌曲には 、ド─ミ─ソとか 、ソ─シ─レというように 、旋律を三度の音程の積み重ねのうえに構成してゆく傾向が著しい 。すぐれた音楽学者クルト ・ザックス (一八八一─一九五九 )の見解によると 、ヨ ーロッパの旋律が三度を中心に構成されることが 、長調 、短調の確定に結びつく大きな要素であるという
    第三章 多声音楽の展開
    ハイライト(イエロー) - 位置835
    最近の西洋史学では 、 「ヨ ーロッパ的なものの成立 」は 「中世的なものの成立 」とほぼ同義的に受けとめられている 。ロ ーマ教会とフランク王国とが強い連携を保ち 、地中海的なものを洗い落としてゆくところに 「ヨ ーロッパ的なものの成立 」を認めようとするわけで 、それは十世紀前後に始まり 、十二世紀のころにクライマックスを形づくることになる 。それは社会の組織の面でも 、教会制度でも 、文化の諸相においても 、同様である 。たとえば 、言語についていうと 、フランス語 、ドイツ語 、英語などの俗語による文書や文学作品が姿をあらわしはじめるのは 、十世紀前後のことである 。それ以前は 、それら俗語は会話のための言語として民衆の間で使用されていたのだが 、十世紀前後にいたって 、文書のうえに書きとめられるようになってきた 。音楽についても 、まったく同じ状況であったとみることはできないだろうか 。
    ハイライト(イエロー) - 位置1016
    モテトゥスとは 、最初はオルガヌムないしクラウズラという典礼音楽──実はオルガヌム自体がもともとはグレゴリオ聖歌に対するパラフレイズなのであるが──に対するパラフレイズとして始まったが 、やがてそのパラフレイズが一種の自己目的をもつようになる 。
    ハイライト(イエロー) - 位置1045
    中世の音楽家たちは 、彼らのすぐれた職人芸で 、すでに存在している素材──教会によって 「聖 」とされたグレゴリオ聖歌をあらゆる形で改編し 、変形させ 、パラフレイズし 、しかもそれらのすべてを相互に結びあわせて 、偉大なる総合体を形成してゆく 。この 「総合 」と 「パラフレイズ 」こそ 、中世のヨ ーロッパ音楽の創作のひとつの基調となったものである
    第五章 ルネサンス音楽を作った作曲家たち
    ハイライト(イエロー) - 位置1496
    オケゲムの音楽デュファイの次の世代を代表するフランドル楽派の作曲家といえば 、まずヨハンネス ・オケゲム (一四一〇ころ─九七 )が重要である 。彼は三代のフランス国王に仕え 、ポリフォニ ーの大家として知られていた 。その 〈ミサ ・プロラツィオ ーヌム 〉は 、二つずつの声部がそれぞれ対になって 、同一の旋律を異なったリズムで歌ってゆく 。しかも 、それが 〈キリエ 〉に始まり 〈アニュス ・デイ 〉まで 、各章各節ごとに同度 、二度 、三度とだんだんに音程を拡げ 、最後は八度のカノンにいたる 。バッハの 〈フ ーガの技法 〉の十五世紀版とでも呼ぶべきだろうか

  • 新書文庫

  • すごいに尽きます。下手な音楽史読むよりこれ読め!!!!!!!!!!

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著者プロフィール

訳:音楽学者(1927- )。1951年東京大学文学部西洋史学科卒業。1955-58年アメリカに、62-64年にドイツとスイスに留学。著書:『洋楽渡来考――キリシタン音楽の栄光と挫折』(日本キリスト教団出版局、2004年)など。


「2013年 『イェッペセン 対位法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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