秀吟百趣 (講談社文芸文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062902502

作品紹介・あらすじ

漱石、白秋、子規、茂吉、万太郎、兜太、寺山修司…明治以降の名歌・名句全百三首を鋭利な批評眼で簡潔に解説・鑑賞する魅力の詞華集

感想・レビュー・書評

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  •  現代短歌の巨人塚本邦雄による、短歌・俳句のアンソロジーである。
     本編では与謝野晶子、北原白秋、斎藤茂吉、正岡子規、夏目漱石・・・と、名だたる才人たちが星を撒くように散りばめられており、目にも鮮やかである。

     様々なタイプの俳句、短歌が犇めいているが、一際艶麗でドラマティックな岡本かの子の短歌には、甘い毒を食らったかのような酩酊感を覚える。
     
    「うつし世を夢幻とおもへども百合あかあかと咲きにけるかも」
    「櫻ばないのち一ぱいに咲くからに生命かけてわが眺めたり」
    「ふたたびは見る春無けん狂人のわれに咲きける炎の桜」

     儚い夢現を血で染まったような赤い百合が引き裂く。
    幻想的で、なおかつ、その幻想の世界を打ち破るかのような激しさがある。かの子にとって、美とは力であり、また全ての生命の源泉が美だったのではないだろうか。

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著者プロフィール

1920年生まれ。2005年没。歌人。51年、第1歌集『水葬物語』刊行、以後、岡井隆、寺山修司らと前衛短歌運動を展開。現代歌人協会賞、詩歌文学館賞、迢空賞、斎藤茂吉短歌文学賞、現代短歌大賞など受賞。

「2023年 『夏至遺文 トレドの葵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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