県立! 再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884778

作品紹介・あらすじ

小学校・中学校では「うまくいかなかった」子どもたち――そんな彼らのために設立された“やりなおしの高校”(再チャレンジができる学校)で繰り広げられた教師と生徒の葛藤、魂のぶつかりあい・・・・・・。日本に本当に必要なのは進学校だけじゃない。苦しい生徒に寄り添い続ける、こんな学校なんだ! 卒業後の居場所かつて「底辺校」と呼ばれていた高校を「生徒の居場所となる学校」に変えていく――すべては教師たちの情熱から始まった。実話を元に描いた感動の物語。

引用1
〈これから語るのは、この、全国のどこにでもありそうな学校の、およそ9年間にわたる激動の歴史だ。いわゆる「底辺校」「課題集中校」「教育困難校」などと形容される高校で、教師たちが文字どおり全力で、身体を張って、命を賭けて生徒たちを懸命に支え続けてきた闘いの記録である。
全国各地の「課題集中校」で教鞭をとる方々、あるいは高校教育全般に携わる方々の中には、衝撃の現実がこのような形で公表されることにショックを受ける方もおられるかもしれない。だが、私はそれでも事実を極力オブラートにくるまない形で記すべきだと考えた。貧困、生活保護、虐待、ひとり親――生きることさえままならない、多くの課題を抱えた子どもたちを、一介の県立高校が学校をあげて正面から支え続けたとき、絶望の中から一筋の希望が見えてくることがある、その希望をどうしても全国の人々に伝えたいと思ったのである。〉

引用2
〈困難な境遇で生きざるを得なかった子どもたちを、彼らと接する最前線の高校はどう支え、どう正規労働に就かせ、最終的に納税者としてカウントさせていくのか。高齢化・人口減少が不可避であるこれからの日本において、こうした子どもたちへの対応は、もはや教育問題の範疇を超えた、日本にとっての死活問題でもある。いまや7人に1人の子どもが相対的貧困状態とされるこの国において、教育を一部のエリートや進学校のものだけにしておいていいわけがない。そして、幸いなことに、日本にはまだ、こうした困難な状態におかれている生徒を懸命に支え続けようとする、諦めの悪い教師たちが全国に多数いるのである。これから綴る物語は、そんな教育者に対する、私なりの精一杯のエールでもある。〉

感想・レビュー・書評

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  • 大丈夫、働けます と同じ、生徒のために学校を変えていく話。
    学校図書館と学校司書も重要な存在として登場。

  • 教育に携わりたいと考える全ての人に読んで欲しい。

    ・生徒にリアリティのある授業
    →労働法、生徒のほとんどがアルバイトをしている

    ・支援教育の始まりは対話

  • 24時間テレビのドラマの原作。生徒に寄り添い見捨てない教育がここにある。一人残らず救うことは現実的に厳しいがそれを目指し献身的に生徒に向き合う教師たちがここにいる。良本!

  • 2021年の24時間テレビのドラマに感動した。その原作がこの新書であることを知り、手に取ることにした。
    自分は教育に携わる人間として、さまざまな家庭があることを承知していたが、この槙尾高校は想像を絶する家庭ばかりであった。ある程度の進学校に勤めてはいるものの、人とうまく関われない、大人に反抗的な態度をとるなどといった行動は、根本は同じであり、徹底的に子供と関わり合うということが重要であると痛感した。教育に関わるすべての人に読んでいただきたい。

  • ドラマを観て気になって読んだ。本当にこんな学校があるのかと読みながらずっと信じられなかった。教師たちが本当に素晴らしい。

    生徒の立場も、教師の振る舞い方も勉強になった。

    ①どうして非行に走るのか、どうして不良になるのか
    →困った生徒は困っている生徒。
    自分が大切にされた経験がなければ、自分も他人も大事な存在だと思うのは難しい。自分を受け入れてくれる存在がいない。

    ②朝起こしてもらえないから遅刻する、というワードが印象的
    →普通の家庭なら、遅刻しそうになったら起こす。

    ③生徒を個別で見る、対話

    ④生徒が変わる瞬間に立ち会う
    ⑤インバイト
    ⑥どんな学校に飛ばされるか本当にわからない

  • 24時間テレビは1秒も見なかったのだが、番組内のドラマ番宣を見て、あれ、この本持ってたな、と思い出し、本棚から出してきた。2年くらい前だったか、著者の黒川さんのお話を偶然にも聞く機会があり、その場でこの本を買ったのだった。

    一気に読んだ。
    つらかった。そして、よかった。この高校に入って、無事やり直せた子は本当によかった。なんて素敵な高校なんだ。

    社会からはみ出す、なんてそんな軽い言葉では言い表せない、暴力や貧困に自分の意思とは関係なく襲われている子どもたちを救う仕組みを、この高校がやっているようなことを、もっと社会がつくっていかなければならない。連鎖を断ち切らなければいけない。

    どうか、やさしい社会になりますよう。子どもたちに罪はない。ほんとにない。

  • 4.3

  • 出会いが全てを変える
    こんな先生方に出会える人生は幸せだと思う

  • 「困った生徒」は本当は「困っている生徒」なんだーーー。

    本書のキーワードのひとつだが、納得すると共に、反省させられる言葉でもある。
    わかっていても対応の難しさに困惑することも多々ある。

    校長、教頭、生徒指導、進路指導、教育相談、そして図書館司書。
    題材になっている高校においては、全てが生徒を中心とした構想、組織編成となっている。
    そこには数々の困難や苦難があったと拝察する。
    でも、誰しもが目の前の生徒を支援したい、という一心で繋がっていた。
    これが、この高校における一番の財産だ。

    現在、子どもたちを取り巻く環境は、驚くほど多種多様になってきている。
    何度聞いても信じがたい環境、耳を覆いたくなる環境に置かれている子どもたちも少なくない。

    親が親としての教育を日常において受けにくくなった現代。
    社会全体の教育力が下がっている。
    この現状をどう打開すればよいのか…
    表面的なセーフティーネットを構築するだけでは歯止めは効かない。

  • 生徒も希望しない、教師も転勤したがる県立高校を再生する。校長が、生徒指導、教育相談、進路指導などに力量のある教員を引っ張ってきて、生徒と向き合う教育を行う。人事権を校長が持っている県立高校だからできることだと感じた。

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著者プロフィール

黒川祥子(くろかわ・しょうこ)
ノンフィクション作家。1959年福島県生まれ。東京女子大学卒業後、弁護士秘書、ヤクルトレディ、業界紙記者などを経てフリーランスとなる。おもに事件や家族の問題を中心に執筆活動を行っている。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社文庫)で第11回開高健ノンフィクション賞受賞。その他の著書に『熟年婚 60歳からの本当の愛と幸せをつかむ方法』(河出書房新社)、『「心の除染」という虚構 除染先進都市はなぜ除染をやめたのか』(集英社インターナショナル)などがある。


「2018年 『県立! 再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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