珈琲の世界史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884457

作品紹介・あらすじ

ヒトが何かを食べるとき、その食べ物に込められた「物語」も一緒に味わっている――そんなセリフを聞いたことはないでしょうか。

 コーヒーはまさにその最たる例です。カップ一杯のコーヒーの中には、芳醇なロマンに満ちた「物語」の数々が溶け込んでいます。その液体を口にするとき、私たちはその中の「物語」も同時に味わっているのです。コーヒーの歴史を知ることは、その「物語」を読み解くことに他なりません。歴史のロマンを玩味するにせよ、知識欲の渇きを潤すにせよ、深く知れば知るほどに、その味わいもまた深まるというもの。一杯のコーヒーに潜んだその歴史を、この本で一緒に辿ってみましょう。

 先史時代から今現在に至るまで、コーヒーが辿った歴史を、起源に関する最新仮説なども交えながら、できるだけわかりやすく本書にまとめました。近年話題の「スペシャルティ」「サードウェーブ」「純喫茶」なども、じつは混乱の多い言葉なのですが、それぞれの歴史をきちんと知れば、「なるほど、そうだったのか!」と目からウロコが落ちて、すっきり理解できることでしょう。
 
 「イギリス近代化の陰にコーヒーあり」「フランス革命の陰にもコーヒーあり?!」「世界のコーヒーをナポレオンが変えた?」「コーヒーで成り上がった億万長者たち」「東西冷戦とコーヒーの意外な関係」……などなど、学校で歴史の時間に習ったいろんな出来事が、じつは意外なかたちでコーヒーとつながっていることに、きっと驚かされるでしょう。

――「はじめに」より、一部抜粋


<目次>
 序章 コーヒーの基礎知識
 1章 コーヒー前史
 2章 コーヒーはじまりの物語
 3章 イスラーム世界からヨーロッパへ
 4章 コーヒーハウスとカフェの時代
 5章 コーヒーノキ、世界にはばたく
 6章 コーヒーブームはナポレオンが生んだ?
 7章 19世紀の生産事情あれこれ
 8章 黄金時代の終わり
 9章 コーヒーの日本史
 10章 スペシャルティコーヒーをめぐって
 終章 コーヒー新世紀の到来

感想・レビュー・書評

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  • 珈琲を取り巻く歴史。
    カタカナの人の名前や地名を覚えるのが苦手な僕は、世界史の本となると特に理解がぼんやりとなる。
    なんとか読了。

    でも、この本読んでサードウェーブまでの流れがよくわかった。これで、また珈琲の味わいも深まるなぁ。

    当分、週末は豆屋巡りが続くものと思います。

  • もともとは、日本で珈琲が飲まれだしたのはいつだろう?という疑問から手にとってみた本。珈琲について、その起源や種類だけでなく、これまでの伝播の歴史や政治的、経済的状況などなど、ありとあらゆる情報が詰まってて、網羅的とはこういうことか!と圧倒される本。といって、読みにくいわけでなく、基本的に好きなことについて語られてるので、楽しく読める。
    しかし、読んでる途中で、先に書かれてたことを忘れちゃうので、時々確認する作業が発生。読んだことを全部覚えていられるアタマが欲しい。
    珈琲飲んで、覚醒したらいいのかしら。

  • コーヒーの歴史っていろんな歴史につながっていて面白い。コーヒーに興味のある人はもちろんですが、コーヒーを媒介にした世界の歴史を俯瞰するという新たな視点で、読むのも歴史好きには、堪らない本でしょう。

  • 序盤「世界史むずかしい……」とめげそうになったけど、近世に入ってからの部分は面白く読めた。
    基本はやっぱり侵略と植民地ありきの歴史ではあるけど、生産国側もただ搾取されるだけじゃなくちゃんと儲けるための考えを巡らせていたんだなぁ。

    スリランカのコーヒー産業のエピソードが、特に印象に残った。
    ラクで都合のいい説を信じて病害を防ぎきれずに壊滅、今の世の中では決して他人事ではないですよねー……。
    それで農地が空いたからこそ多種多様で美味しいスリランカ紅茶が生産されてる今があるっていうのは歴史の妙だなぁと思いつつ、当時スリランカで作られてたコーヒーってどれだけ美味しかったんだろうって想像を巡らせるのも楽しい。

    あとはやっぱり日本のコーヒー事情。
    質の高いコーヒーが輸入しにくい時代から技術を磨いて美味しいコーヒー出してた昔ながらの喫茶店のマスターたち、リスペクトしちゃうよね……。
    そんな昭和の自家焙煎コーヒーを飲みに、老舗の喫茶店に行きたくなってきた!

  • 先史時代から現在にいたるコーヒーの歴史を辿る

    歴史をきちんと知ることで近年話題の「スペシャルティ」「サードウェーブ」もすっきり理解できる

    著者はバイオ系の研究者
    近著『コーヒーの科学』(ブルーバックス)が理系の入門書とすれば、本作は歴史好きな文系のためのコーヒー入門書

  • 思ったよりコーヒーの歴史に入るまで時間があり挫折しちまいました

  • 新書本のあるあるタイトルで一番のブームは「~の世界史」と、個人的に思う。読んだ記憶をたどると、砂糖の世界史、帳簿の世界史、傭兵の世界史、奴隷船の世界史などなど。で、珈琲だ。

    著者は医大教授でありながら、コーヒーにハマりすぎて、多くのコーヒーに関するセミナーを開催し、書籍も発表している。そんなオタク教授が最初に断言。コーヒーの歴史を知っていれば、コーヒーをおいしく感じるのだ、と。

    そんな前フリの本書でまず語られるのが、世界最初のコーヒー。10世紀のエチオピアで存在していたことが確認できる。やがてコーヒーはイスラム世界で拡散され、トルコのオスマン帝国やヨーロッパでアルコールの代替嗜好品としてもてはやされる。そして、コーヒーを飲む場所、カフェが作り出され、人々の憩いの場となる。

    また、コーヒーの流通拡大にはフランス革命や産業革命、ナポレオン治世が密接に関わっていたことも本書では紹介される。最後はスタバ、サードウェーブなどの現代の最先端コーヒー事情について。

    総じて、アルコールや食物と違い、コーヒーには世界を変えるほどのパワーはなかった。が、世界の大きなうねりにうまく乗っかって、自らの存在感を高めてきた。歴史におけるコーヒーとはそんなイメージだ。

  • 種が気になるようになったかも。

  • 内容的には面白いのだが、なぜこの書体にしてしまったのか・・・文字ばかりで、少しは図やイラストを使えば半分の文書量で倍の情報が入っていただろうに。。。
    新書ではない形で出版されるのを期待。

  • コーヒー好きなら読んでも損のない本。ロブスタ種やアラビカ種、モカ、などよく見る単語の成り立ちや、コーヒーが世界的な飲み物になる歴史を知ることができて良かった。理系の作者らしく、淡々と進む傾向にあるため少し読みづらいが、それでも良かった。

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著者プロフィール

滋賀医科大学医学部医学科 病理学講座(微生物感染症学部門)准教授。
1969年、長崎県生まれ。京都大学大学院薬学研究科修了後、博士課程在籍中に滋賀医科大学助手へ。博士(医学)。2020年より現職。専門は、がんに関する遺伝子学、微生物学。講談社ブルーバックス『コーヒーの科学』などコーヒー関連の著書も。

「2022年 『最小にして人類最大の宿敵 病原体の世界 歴史をも動かすミクロの攻防』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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