- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062884365
作品紹介・あらすじ
私たちが生きる日本。これから先、どんな未来が待っているのだろうか。
2017年3月27日、今年もまた新年度予算成立のニュースが流れた。一般会計の総額は前年度に比べ7000億円以上増えて過去最大の97兆4547億円。予算規模が過去最大を更新するのは5年連続になる。一方、新規国債発行額は34兆3698億円。一般会計の歳入全体に占める国債発行の割合を示す国債依存度は実に35・3%に達する。
毎年途方もない額の借金を積み重ねながら歩み続ける日本の未来がどうなるのか、不安を挙げればきりがないが、一つ確かなことがある。私たちが生きていくのは「縮小の時代」だということだ。
これから日本は、かつて世界のどの国も体験したことのない未曾有の人口減少社会に突入していく。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2050年には日本人の数は1億人を切り、その半世紀後には5000万人を切る。これは大正時代の人口とほぼ同じである。出生率がさらに低下することがあれば、2100年の人口は3700万人にまで低下するという。これは明治時代の人口とほぼ同じ。しかもその4割が65歳以上だ。これらは国が想定する未来図であり極端な悲観論ではない。私たちの未来に何が待ち受けているのか? NHKスペシャル取材班が総力を挙げて、少子高齢化に悩む全国の地方自治体を取材した。一足先に超高齢化に突入した地方で見た衝撃的な現実とは・・・…
感想・レビュー・書評
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人口減少、自治体破綻、環境問題・・・。過去の近視眼的な政策や金儲けのつけが回ってきたのだろうが、あまりにも衝撃的な未来にぞっとする。
夕張市の鈴木市長の姿勢に脱帽。
子どもの医療費無料化の自治体サービスの格差に触れての言葉が印象的だった。
「命に関わる医療でこれまでの格差が広がるのは何か間違っている。夕張市民は夕張市民であるとともに、日本の国民。国が一定の指針を出して、地方でも都会でも同じ水準のサービスが受けられるように、ある程度の財政措置が必要ではないでしょうか?」
自治体のあり方は、国のあり方の問題でもある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ほとんどの自治体が、人口増加に合わせて拡大してきたインフラを今後、大幅に縮小していかなければ財政がもたなくなっている。現状の公共インフラをそのまま維持し続けるのはほぼ不可能。地方の若者たちをブラックホールのように吸い上げることで、繁栄を生み出してきた東京でさえも。地方からの流入は確実に減っていく一方で、より深刻な状況を生み出す問題が既に始まっている。かつて高度成長期に東京へ集まってきた人々が一斉に高齢世代にさしかかっている。高齢者の集中は、介護施設に入ることができない、待機老人の劇的な増加、介護を受けたくても受けられない介護難民の出現、それに伴う介護離職の増加。などなど、様々なひずみを近い将来もたらす。縮小ニッポンの未来図を映し出す象徴が島根県。住民と行政が協働する社会というスローガンの下、住民に一定の自治を委譲することで、結果として行政サービスの一部を住民組織に担ってもらうという仕組みで光明を見出している。北海道の夕張は、課題から目を背けることで大きな不幸を住民にもたらした。課題の先送りは何も生み出さない。しかと肝に銘じたい。
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内田樹の「撤退論」を読んで以来、人口減の日本の在り方を考えているので、積読していたこの本も読んでみた。
東京オリンピック前の本ではあるが、人口減少の具体的な都市の実例が出ていて、今読んでも衝撃は同じ。
いや、出生率がこの時よりも下がったので、さらに悪化していると考えた方がよさそう。
東京の豊島区は池袋のある若者の街、と言うイメージだったが、低所得の若者が仕事を求めて流入することで人口を保っているだけで、実のところは、数十年後は彼らが単身高齢者となり、区の財政を圧迫するであろうということ。
東京ですら!
また、限界集落で暮らす高齢者のためのインフラ整備に莫大なコストがかかり、自分が暮らしたい地域で暮らす事が今後不可能になってくること。
「雪国の場合、市町村道1キロの維持に年間90万円かかっています。例えば、メインの道路から5キロ入ったところに高齢者が一人で暮らしている場合、その人のためだけに年間450万円の支出が行われていることになる。ゴミ収集や水道管のメンテナンスの費用もかかります」
夕張市の場合、老朽化した住宅、入居者のほとんどいない団地の水道管や浄水槽のメンテナンス、除雪や道路修理の今後40年維持するインフラコスト場合488億円。財政破綻した時の借金を上回る。
地域医療は、身寄りのない老人の居場所も考えなくてはならなくなる。
今後解決困難な問題が一気に顕在化する。
「プラン75」の映画の世界が現実味を帯びてきそう。
少子化を食い止めるのも、少子化を飲み込み撤退していくのもどちらにしても、道は険しい。
どうする?
どう心構えする? -
これはホラー以上にホラーですが創作ではなく、これから日本という国自体が直面する問題を真正面から描いた絶望ジェットコースターの姿図です。2025年に団塊の世代が一斉に後期高齢者になる。これから人口減少の断崖絶壁を目隠しした状態で降りていかなければならない僕たちは、そこから目を逸らして東京オリンピック迄の景気のいい話でごまかしてはいないだろうか。一時的なカンフル剤として日本国内にあるお金をぐるぐる回して好景気だと言っているだけなのではないか。既に始まっている地方の自治体の消滅の危機に対応するのは結局現地での自助努力でという事になりそうだし、都市部で吸い上げたお金を地方に配分する現システムも、日本の人口減少によって機能しなくなる事は明白のようであります。
最近TVで良くやっている「日本の技術凄いぜ万歳万歳」というものもそろそろ止めて、これからどうしたらいいのか真摯に考える時期に来ている気がしました。
相当なパンチ力のある本で、これからの先行きがどんどん不透明になっていく中でどれだけ希望見いだせるのか。もう綺麗ごとや右から左へお金を動かして誤魔化すことは不可能な段階に来ている事がよく分かります。
大都会の大都市である豊島区が消滅可能性都市になっている事を示し、既に破綻したレアケースとなっている夕張市に破綻後の日本国の未来を見せ、地域での組織運営の良モデルケースとしての島根県雲南市で未来の日本の在り方の一端を垣間見せる。
最終的に答えなんていうものは未来にしかないし、一市民としては自分の家族やその周囲の人達と協調しながらなんとか乗り越えていくしかない事態です。怖い未来ですがオカルトではなく純然たる事実です。知らなくても未来は来てしまいますが、みんな読んだ方がいいと思います。 -
自衛隊増強だの、オリンピックだの、お金をかけるよりも、女の人が、子供を産みやすい環境を整えて、人口増加を図るあらゆる政策をすべきだと思う。待った無し。日銀がどんなに金利上げようと思っても、貯蓄に走りたくなると思う。不安だから。安心してお産できる環境を!
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「縮小ニッポンの衝撃」(NHKスペシャル取材班・著。講談社現代新書)
読了。honto電子書籍にて。
切り取られた一部とはいえ、事実、現実がここにあった。
サービスと競争にあふれる東京にいると分からないこと。
市民は消費者は、お客様ではなく、生活に我慢を強いられる状況。
1票の格差の真反対で、家賃や物価や選択の結果とはいえ、行政サービスの不平等が起きているが、
本書が訴えたいのは、その先の「ほとんど全員我慢」の時代。
しかも、給料のような定期収入ではなく、年金や貯蓄で生きていく人々に襲いかかるコスト増。
なんでも手に入る自由な時代は終わった。豊かさを求めるなら、どれかに絞り込まざるをえない時代に入っている。
本当は高齢者を支えられる現役世代が増えればいいのだろうけどそうじゃない。
いいことも多い日本社会、歴史、現代、明るい色の未来側面の側面もあるだろうけど、
対策が遅れている側面も小さくない。
すぐに、後送りにせず、取り組んで、知恵を絞って、コストや選択肢(多くない。なんでもありではない。バラ色ではない)をちゃんと示して、国民市民ひとりひとりが日本全体の将来を考えて、選択しないといけないんだと思う。 -
人口減が招く、今の、そして未来の日本の姿。
人口が減ると言うことは、税収が減り、公共サービスが低下し、インフラを整備する人も予算もなくなる。
国土強靱化、地方創生という言葉が空しく響く。口減に対する具体的な「処方箋はない」と。それも執筆陣が取材した結果の答えなのだろう。
しかし、せめて、何かしらの提案のようなものがあってもよかった。 -
人口減少始まった日本。これから何が起きていくのかを、単なる数字を追って説明するのではなく、既に起きている現場のルポルタージュから探ろうとするもの。日本の20年後を先取りしている地方の現場だけでなく、首都圏近郊の実態にも迫ります。NHKの番組の書籍化なので、やはり映像も見たいところ。過度に悲観的になることもないと思うが、これから向かう未来を認識しておくことは大事かな。
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人口減少と超高齢化社会
そんなに遠くない未来に
今さらどうやっても逃れられないんでしょう
地方ではすでにそれが始まっていて
自治体や住民の取り組みも取り上げられている
これからの自治体や住民にとっては
参考になりえるんだろうなと
もう縮小は止められないんだろうな