日本のロック名盤ベスト100 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883290

作品紹介・あらすじ

本邦初!これが真のオールタイム・ベストだ!!
 日本のロック「オールタイム・ベスト」1位~100位を、著者独自の「五つの指標」と「レコードじゃんけん」で完全ランキング。見事ランクインした次の名盤は、いったい何位に選ばれているのか!?

 佐野元春『SOMEDAY』、矢野顕子『JAPANESE GIRL』、山下達郎『SPACY』、荒井由実『ひこうき雲』、たま『ひるね』、X『BLUE BLOOD』、暗黒大陸じゃがたら『南蛮渡来』、大滝詠一『ロング・バケイション』、電気グルーヴ『A(エース)』、サザンオールスターズ『人気者で行こう』、PUFFY『JET CD』、宇多田ヒカル『ファースト・ラヴ』、ミスター・チルドレン『Atomic Heart』……

 そして、5位には矢沢永吉『ゴールドラッシュ』、4位にはイエロー・マジック・オーケストラ『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』、3位にはザ・ブルーハーツ『ザ・ブルーハーツ』、2位にはRCサクセション『ラプソディー』がランクイン!
 では、栄光の1位に輝いた名盤とは!?

【著者紹介】
 かわさき・だいすけ/1965年生まれ。作家。88年、音楽雑誌『ロッキング・オン』にてライター・デビュー。93年、インディー雑誌『米国音楽』を創刊し、執筆・編集やデザインを手がける。レコード・プロデュース作品も多数あり、2010年からは文芸誌『インザシティ』(ビームス)に短編小説を継続して発表。著書に『フィッシュマンズ 彼と魚のブルーズ』『東京フールズゴールド』(ともに河出書房新社)がある。
【著者メッセージ】
 ここのところ小説ばかり書いていたのですが、ひさしぶりに音楽の本を仕上げました。「ベスト100」チャートとレビュー100連発を第一部に、第二部では「米英のロックと比較し検証した日本のロック全歴史」を、すべて書き下ろしで記しました。なぜ日本のロックは、歌謡曲を仇敵としたのか。ニューミュージックやJポップという呼称によって、どんなふうに「貶められた」のか。「外来の文化」だったロック音楽が、どんな過程を経て「日本語の世界」のなかに移植され、花開いていったのか……リスナーズ・ガイドとして、文化史的読み物として、どんな角度からのご興味でも大歓迎です。ぜひ手に取ってみてください。

感想・レビュー・書評

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  •  ありそうでなかった本。
     アメリカの『ローリングストーン』誌などはしばしばこの手のランキングを発表しているが、日本にこのような網羅的名盤ランキングは存在しなかった(音楽誌の特集などで「日本のロック名盤ガイド」のたぐいはあっても、ランキングはつけたがらなかった)。

     著者が客観的視点から「名盤ベスト100」を選出した労力は買うし、意義もあるだろう。ただ、本書のランキングには大いに異論があるなあ。

     ちなみに、ベスト10は次のようになっている。

    1位/はっぴいえんど『風街ろまん』(71年)
    2位/RCサクセション『ラプソディー』(80年)
    3位/ザ・ブルーハーツ『ザ・ブルーハーツ』(87年)
    4位/イエロー・マジック・オーケストラ『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(79年)
    5位/矢沢永吉『ゴールドラッシュ』(78年)
    6位/喜納昌吉&チャンプルーズ『喜納昌吉&チャンプルーズ』(77年)
    7位/大滝詠一『ロング・バケイション』(81年)
    8位/フィッシュマンズ『空中キャンプ』(96年)
    9位/サディスティック・ミカ・バンド『黒船』(74年)
    10位/コーネリアス『FANTASMA』(97年)

     著者は、本書のランキングは自らの「パーソナル・ベスト」を記したものではない、とことわっている。「パーソナル・ベストならこんな順位にはならない」と……(著者の「パーソナル・ベスト100」も、本書で紹介して欲しかった)。
     個人的嗜好は抑え、「オリジナリティ」「影響度」「革新性」「ロック追求度」などの5つの指標で採点し、総合獲得スコアによってランキングを決定したというのだ。

     たとえば、第4位にランクされているYMOの『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』。
     作品のクオリティのみで選べば、YMOの最高傑作は『テクノデリック』だろう。だが、「影響度」を勘案すれば、最大のヒット作であり社会現象を巻き起こした『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』が選ばれるのは、まあ納得がいく。

     ただ、それでも納得できないセレクトも多い。
     たとえば、一風堂のヒット曲を集めたベストアルバム『ルナティック・メニュー』が、57位にランクされている。
     この手の名盤ランキングにベスト盤を入れるなんて、ルール違反ではないか? 一風堂のアルバムなら、『ラジオ・ファンタジー』か『リアル』を選んでほしかった。

     また、Charの作品でランク入りしているのが、趣味的なソロアルバム『Psyche(サイケ)』のみ(32位)だというのは、納得がいかない。影響度から言っても作品の質から言っても、あれは断じてCharのベストとは言えないだろう。
     ピンククラウド~ジョニー、ルイス&チャーはどこへ行ってしまったのか? Charのソロアルバムから選ぶとしても、名曲「SMOKY」を収めたファーストの『Char』こそ歴史的名盤だろう(「影響度」や「ロック追求度」から見ても)。

     ほかにも、「ルースターズで『GOOD DREAMS』(25位)はないだろう」とか(私なら、ラストアルバムの『FOUR PIECES』か、逆にファーストアルバムを選ぶ)、「佐野元春なら『SOMEDAY』(17位)より『VISITORS』だろう」とか、随所に異論を挟みたくなる。

     ナンバーガールの最初のライヴ盤『シブヤROCKTRANSFORMED状態』が選ばれているが(94位)、私だったら絶対に『SAPPUKEI』を選ぶなあ。
     頭脳警察のファーストが選ばれているが(56位)、パンタのソロやパンタ&ハルのアルバムはなし。私は『クリスタルナハト』も『マラッカ』もベスト10級の傑作だと思うので、納得がいかない。
     また、私はPINKこそ80年代日本最強のロックバンドだったと思っているが、本書のランキングには影も形もなし。
     遠藤賢司の『満足できるかな』が36位にランク入りしているわりには、ロッカーとしての泉谷しげるは無視。『'80のバラッド』とか、歴史的名盤だと思うけどなァ。

     ……などと文句をつけていったら、まあきりがないのだが。

     そもそも、カヒミ・カリィや宇多田ヒカル、Perfume、PUFFYまでベスト100に入れているあたり、ロックの定義/範囲設定そのものが、著者と私ではかなり異なるようだ(「そこまで広げていながら、キリンジは完全無視かよ」とか、また文句が言いたくなる)。

     だがそれでも、心の中でいちいちツッコミを入れながら本書のランキングを眺めること自体、大変楽しかった。日本のロック好きが集まって、本書をサカナにあれこれ語り合っても楽しそうである。

     本書は、前半がベスト100アルバム・ランキングと各アルバムの解説、後半はそのランキングをふまえた日本のロック史概説という二部構成になっている(第2部のタイトルは、「米英のロックと比較し検証した日本のロック全歴史」というもの)。

     後半の概説も、これまた相当クセの強い内容だ。
     たとえば、冒頭で「日本のロックの歴史は一九七◯年に始まった」と宣言され、50年代半ばから60年代の“日本のロック”は歌謡曲に過ぎなかったと断じられている。ううむ……。
     著者の偏った主観が既成事実のごとく断定的に論じられ、私は随所で反発を覚えた(卓見もあるのだが)。

  • 電子ブック(LibrariE)
    https://web.d-library.jp/shobi_u/g0102/libcontentsinfo/?cid=JD201511000446
    ※ログインの利用者IDは学籍番号、教職員はFから始まる8桁の番号です。PWはメディアセンターからのメールをご覧ください。

  • 2022年7月~9月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00519310

  • 一部で書かれている順位よりも二部の世相をからめた歴史の考察が興味深かった。(特に「最初の失敗」やはっぴいえんどの歌詞の解説、アイドルシステムの分析)

  • 前半はランキング、後半は著者の視点からの日本のロック史という内容。

    はっぴいえんどの影響が、少なくとも筆者にとっては非常に大きいことが読み取れる。オウム事件に対するポップ音楽のスタンスなど、違和感を感じる論考もあるが、基本的には楽しめた。

    著者はJポップという言葉に強い違和感を持っているようだが、これには同意。

  • そもそも客観的なロックベスト100など、あまり意味がない。専門家数十人のアンケートをとればその数だけベスト100があるわけで、一人の業界人が「これがベストだ」といっても単なる参考程度と言えるだろう。そういうツッコミを承知で書かれた本だと認識して読んでみたが、やはり個人的嗜好があるように見える。年代的に自分と同学年の著者は同調できるところもあった。1位はっぴいえんど、2位RC、3位ブルーハーツ、4位YMOは妥当とも思えるが、100位以内に細野氏がからんでいるものが多いのは興味深い。

  • 1970年代以降の様々なジャンルの音楽が紹介されており、新たな発見や深い見識が得られる。
    後半では日本の戦後の音楽史が(多少批判的に)欧米の音楽との比較で語られ、そちらも面白く読めた。

  • 知らないアルバムが結構あった。

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  • なんか常備したくなる一冊(^^)十代の頃を思い出すリスト

  • 確かに本邦初、しかし、ロックの定義がイマイチ。宇多田ヒカルやperfumeを入れるところにやや著者の妥協が見える。歌謡曲やポップスで類書がどんどん出れば面白いのに。

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著者プロフィール

川崎大助
1965年生まれ。88年、ロック雑誌〈ロッキング・オン〉にてライター・デビュー。93年、インディー・マガジン〈米国音楽〉を創刊。編集/発行/グラフィック・デザインを手掛ける。レコード・プロデュース作品も多数。2010年より、ビームスが発行する文芸誌〈インザシティ〉に短篇小説を継続して発表。おもな著書に長篇小説『東京フールズゴールド』(河出書房新社)、講談社現代新書『日本のロック名盤ベスト100』、光文社新書『教養としてのロック名盤ベスト100』などがある。

「2021年 『僕と魚のブルーズ 評伝フィッシュマンズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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