ふしぎなイギリス (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883177

作品紹介・あらすじ

本稿には、2つのテーマがある。メインテーマは、近代合理主義を育み、世界に議会制民主主義などのお手本を示したイギリス人がなぜ、世襲制の君主制を支持するのかという「エニグマ(謎)」を読み解き、グローバル化する世界における国家、社会とは何なのかについて考えることだ。民主主義の機能不全とアイデンティティの問題は今後、各国に共通する悩みとして深まっていくだろう。グローバリゼーションの最先端を行くイギリスの抱える事情は、多くの国にとって他人事ではないはずだ。
 サブテーマは、イギリスとアメリカという「2つのアングロサクソン国家」が主導してきた世界の在り方だ。(中略)
 このサブテーマは一見、メインテーマである「王室を通して見たイギリスという国家、社会」とは別次元の話しに思えるかもしれない。しかし、この2つのテーマは密接につながっている。なぜなら、市場経済と自由な社会を両輪とするグローバリゼーションを含め、20世紀以降の世界の歩みは、英米両国の共同プロジェクト的な側面が強いからである。
 本稿は、イギリスとその王室を通して、グローバル化する世界の一側面を描くことを試みたものだ。グローバル化時代のガバナンス(統治)を考える一つのヒントとなり、同じように立憲君主制を敷く日本にとって少しでも参考になればという思いを込めて。
(はじめにより)

感想・レビュー・書評

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  • 近代合理主義を育んだイギリス人が世襲の君主制を支持しているのはなぜか? イギリスは本当にEUから離脱するのか? 毎日新聞ロンドン特派員を長らく務めた“イギリス通”が大英帝国を読み解く「知的ミステリー」。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40226325

  • 今でも世界を制しているのはアメリカではなく、イギリスではないかと考えています。我々が現在正しいと考えている政治体制としての民主主義を作ったのは、イギリスです。しかし、今日の民主主義を確立した国であるのにも関わらず、イギリスには成文憲法がありません。

    翻って、現在、日本の国会では集団的自衛権の法整備にあたり、成文憲法の「解釈」を巡って論争中ですが、成熟したイギリスの国会のあり方を知ってしまうと、国家の安全保障そのものよりも憲法解釈が議論の中心となってしまう日本の国会のありようが、実に滑稽に見えてしまうのは、気のせいでしょうか?

    つづき
    http://naokis.doorblog.jp/archives/wonder_of_United_Kingdom.html【書評】『ふしぎなイギリス』?〜成文憲法はないが成熟した民主主義国と安全保障の中身よりも憲法解釈が議論される国
    http://naokis.doorblog.jp/archives/Royal_Family_of_United_Kingdom.html【書評】『ふしぎなイギリス』?〜女王と内閣の関係および王室が愛される理由

    <目次>
    序文
    第1章 ロイヤル・ウェディングの記号論
    第2章 柔らかい立憲君主制
    第3章 女王と政治家 サッチャーの軌跡
    第4章 階級社会とブレア近代化路線
    第5章 アングロ・サクソン流の終焉
    第6章 イギリス経済の復元力
    第7章 スコットランド独立騒動が示した連合王国の限界
    第8章 激動期の連合王国
    第9章 ソフトパワー大国への脱皮


    2015.05.30 新書巡回で見つける。
    2015.06.06 読書開始
    2015.06.10 読了

  • 毎日新聞の特派員として、ロンドンに駐在した経験のある筆者が、自分の体験と照らし合わせながら、イギリスの魅力や現状について解説していくという内容。イギリスの現状についてを主に取り扱っていて、同国について概説的に知るのにはぴったりだと思う。文量はそこそこだが、非常に読みやすく、久々に読書に没頭することのできた一冊だった。
     章の間毎に挟まれるコラムもおもしろく、箸休めにうってつけだ。イギリス王室、サッチャー及びブレアの政策、イギリスの現在の政治について知りたい人への入り口として、文句なしに勧められる本だと思う。
     ただ一点、発行時期的にEU離脱表明についてまで話が及んでいないところだけが惜しまれる。

  • なるほど勉強になりました

  • ダイアナ妃とサッチャー首相の頃から今までのイギリスの政治、社会の変化のお話。筆者は元欧州総局長。
    章と章の間に挟まれたコラムがなかなか面白い。

  • イギリスという国に今まであまり興味がなかったけれどがぜん面白くなりました。王政と民主主義が〝うまくやる”社会。

  • イギリスの最新事情が網羅されている。政治、経済、社会、そして王室。

  • 王室ウォッチャーでも何でもない硬派なジャーナリストが、英国に住むうちに見えてきた「王室をキーワードとして読み解く」イギリス評。ダイアナ妃死去、ブレアとブッシュ、ダイヤモンドジュビリーを迎えたエリザベス女王といったあたりの時期を書いているが、サッチャーをはじめとする前時代
    、ウィリアム王子たち次世代まで視野に入れて、こういった捉え方があるのかとなかなか新鮮だった。こういう本が各国バージョンであると、時事ネタを読み解くのに助かるのだが。
    2015年7月新着。

  • なんでイギリスの王室のあれこれに
    日本の報道がこんなに食いつくのだろう、
    と思ったことがこの本を読んだきっかけ。

    そもそも世界情勢に全く疎いので、
    書いてあることに「へえ〜」と感心するばかり。
    イギリスの歴代首相のリストを作って、それを片手に読み進めると尚面白い。
    特に、サッチャー首相時代、
    二人の女性が国を背負っていた事が非常に興味深い。
    サッチャー氏の葬儀にも参列した女王、この二人がどんな話をし、どんな関係を築いていたのかは当人同士でしかわからないが、強い女に萌えます。

    最後に著者は「クオリティ•オブ•ライフ(生活の質)」に関して述べている。
    日本で幸せに暮らすために私たちは
    日本の政治や社会というものをどう動かしていけばいいだろうか。若い世代がもっと政治に関心を持ち、参加していくにはどんな方法があるだろうか。

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著者プロフィール

笠原敏彦(かさはらとしひこ)
毎日新聞編集編成局編集委員。1985年3月東京外国語大学卒。同年4月毎日新聞社入社 徳島支局、大阪本社特別報道部勤務。95年4月外信部配属 97年10月~02年9月ロンドン特派員。ブレア政権の政治・外交、ダイアナ後の英王室、北アイルランド和平など英国情勢のほか、遊軍記者としてアフガン戦争、コソボ紛争などを現地で長期取材。2002年10月 外信部副部長。04年米国務省のIVプログラム(研修)参加。05年4月~08年3月ワシントン特派員 。ブッシュ政権の外交を担当。大統領の外遊先約20カ国に同行。主な課題はイラク戦争、北朝鮮核問題など。08年大統領選前半も取材。08年4月外信部副部長。09年4月~12年3月 欧州総局長(ロンドン)として欧州7支局を統括。12年4月~外信部編集委員。13年4月~ 編集編成局編集委員(オピニオンG統括)

「2015年 『ふしぎなイギリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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