精神医療ダークサイド (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882316

作品紹介・あらすじ

警告!
これはフィクションではありません!
ブラック精神科医たちの衝撃の実態
・通院歴もないのに突然、精神科病院に拉致監禁
・薬漬けで廃人状態にして18年間の監禁生活を強要
・自殺願望に悩む患者に首つり自殺の方法を教える
・「性行為でイクかどうか」を問診して、治療方針を決定
・大量の薬物投与と電気ショックで26歳男性の言葉を失わせる

(本書 序文より)
 精神科医は謙虚でなければなりません。分からないものを分からないと認め、少しでも分かろうと努力することが必要です。患者や家族と手をたずさえ、共同戦線で病気に立ち向かう姿勢が欠かせません。ですが、精神科医の中には分かったふりをする人が少なくありません。短時間の診察で誤った病名をつけたり、見当違いの薬をどんどん増やしたりして患者を苦しめます。
 本書では、こうしたブラックな精神科医たちが次々と登場します。儲け優先の製薬会社や、精神疾患の患者を露骨に差別する司法、何があっても見て見ぬふりの行政など、社会を形成する様々な組織や人々が、精神医療の暴走を後押しした事例も数多く紹介していきます。
 しかし一方で、本書に登場する被害者の多くが、最終的には高い技術を持った精神科医の力で救われていくことにも注目していただきたいと思います。精神科医は技術差が激しく、今の主治医がとんでもないブラック医でも、隣町には良心的で優れた精神科医がいるかもしれません。精神科ほど、セカンドオピニオンが大事な診療科はありません。
 精神的ストレスばかりが過剰に募る現代社会で、精神医療の重要性はますます高まっています。ブラックな落とし穴から逃れ、ホワイトな精神科医に出会うための手引きとして、さらには精神医療の仕組みを抜本的に見直すきっかけとして、本書を活用していただけると幸いです。

感想・レビュー・書評

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  • 精神科医療なのか?
    メディアの誠実さと疑う部分
    暗黒の部分は表面に出さないほうが社会のためである
    精神科診断基準は無いに等しい
    投薬は増えるだけ
    医師患者共に求める
    治療ではなく寛解もなく剥離である

    話題にしない
    黒白の判断はしない

  • 誰しも病気になったら病院で薬を処方されます。この本を読んで精神科における薬に頼りすぎた医療は果たして健全なのか考えさせられました。現代人は心の不調、不眠を患う人が増えています。精神は脳で起きているもので対処に難を要するのです。ただ薬の効果、副作用を含めて適切なものは何か、リスクに対する自衛としても誰もが他人事とは思わず知っておく必要はありそうです。

  • 安易な多剤大量処方で、どの薬が効いたのかも分からないし
    薬の副作用でふらつきが出ているのに症状が改善しない、悪化したと言って
    さらに薬を増やすとか、もう無茶苦茶です。
    ××教授系の「薬のカクテル」みたいなのもあるそうです。

    処方薬依存症。
    処方箋薬でも離脱症状が出るのに理解していない医師・薬剤師。
    アシュトンマニュアル
    1年以上かけて減薬する場合も

    p255、デパスも問題あり、とのこと。
    p275、ベンゾ系フルニトラゼパム、米国では麻薬扱い
    p283、いまも続くバルビツール酸系の睡眠薬処方

    発達障害や脳脊髄液減少症を理解していない精神科医
    なんでも統合失調症にしちゃう
    若い女性患者にだけセクハラ質問する医師

    睡眠薬遊びのためにすぐ投薬する医師を歓迎する高校生とか
    まーグチャグチャです。

    うつ病ロボットSAYAちゃん。患者役。
    救急医から警告

  • タイトル通り、精神科医療の失敗や悪事について〈のみ〉述べる、そういうコンセプトの本である。一口に言って、このコンセプト自体に高い危険性があり、問題が大きいと言わざるを得ない。

    現代日本の精神科医療において、良識のある医師が心の病に苦しむ患者を回復あるいは改善につなげる事例の数と、能力に欠けあるいは悪意すらもつ医師が受診者を現状より悪い状態にする事例の数とを比較した場合、どちらのほうが多いだろうか。
    正確な統計があるわけではないが、精神科医療の現実を知る者の大半は、前者のほうがはるかに多いことを認めるだろう(本書の著者佐藤氏も、そのことを認める旨の発言を、ある学会発表の場でなされていたと記憶している)。

    もちろん、精神疾患は身体疾患と比べてその原因の解明や治療法の開発が進んでおらず、またスティグマの問題などにより、「ダークサイド」がいまだ残存していることは否定できない。その意味で、「やはり精神科にかかるのは危険だ」という言い方には一定の理がある。しかし同時に、精神症状が現れた場合に、その改善に関する技法を最も積み重ねているのが精神医学であることは疑いを容れない。つまり、不十分な面はいまだ多いにせよ、精神医学そのものを否定しても仕方がないのである(
    医療全般を否定するなら別だが)。

    しかるにこの本の構成では、おそらく、この分野の素人の読者の多くは、「精神科それ自体が危険と悪意に満ちており、自分が心の病にかかることがあっても、安易に(あるいは絶対に)精神科を受診することはやめよう」、そういう感想を抱くであろう。そのことはむしろ、社会にとって大きな損失であると考える。

    おそらく著者の佐藤氏は、実際に被害にあった多くの人を目にし、そうした人をこれ以上増やしてはならないという正義感でこの本を書いたのだろう。それはよくわかる。しかし、それによって精神科医療全体への信頼を低めてどうするのだ? 被害者を増やさないためにすべきなのは、特定の加害者を証拠とともに弾劾することではないのか? それがジャーナリストの仕事ではないのか。

    あるいは、精神医学界全体の体制や思想を批判したいと考えているのかもしれない。しかし、それにしては調査も論述も稚拙にすぎる。
    生理検査の所見によって病理を確定できない精神疾患では、診断は主に患者の主観的体験の記述に依存せざるをえず、だからこそ、その限られた材料の中で診断をつけ、治療方針を決め、場合によっては診断を途中で変更しつつ回復への道のりをサポートする、そういう技術の修練を精神科医は積んできている。そういう基本的な考え方や、それが奏功して患者が治癒した事例を一切紹介せず、どちらかといえば例外的な悪質例のみを取り上げることが、精神科医療全体への批判になりうるはずもない
    (悪質例は例外的ではないというならば、悪質例が全体のどれほどの割合を示すのか、推計くらいは示すべきだろう)。
    また薬物療法に関していえば、たとえばうつ病の場合、薬物療法は最小限にすべきという考えをもつ医師がいる一方で、典型的な例では抗うつ薬を規定量・規定期間服用させることが必要である、という考えの医師も少なくない。これは個々人の信念の問題でもあるが、両方を支持する学説が存在しており、つまりどちらが正しいか、現状ではわからないのである。そうであれば、両方の主張を取り上げたうえで、そのうちの一方を支持することを根拠とともに示さねばならないはずだが、本書ではそうなっていない。

    最後に、精神医学がかつて、そして一部では現在も過ちを犯していることは事実である。そのことに関しては、然るべき形で責任をとっていかなければならない。その点の弾劾としては、本書は意味をもっている。ただ、当該分野の知識がない読者も多い新書という形態で、この内容を出版するのはデメリットのほうが大きいと思う。

  • 統合失調症を対象にしていた精神科に、不安障害・うつ病など一気に精神科医の対処する問題は拡大した。その一方で精神科医のカウンセリング能力は低いところもあり、結果として誤診・過剰診断・多剤大量投薬・漫然投薬など「ダークサイド」の部分が顕在化している。

  • 読売新聞医療部記者である著者が、新聞連載の取材をもとに精神科医療の現状や問題点をとりあげたノンフィクション。

    安易な診断、過剰な処方、製薬会社のキャンペーン。一部の極端な例だと信じたいような怖い事例が続々とでてきて、愕然とした。
    鬱々している同僚や友人に「1回医者に相談してみたら?」とすすめたことが何回かあるのだけれど、それがよかったのかどうか考えさせられた。
    新聞連載のためか、煽るような書き方が目につくので、そこは考慮にいれて読まないといけないように思う。アシュトンマニュアルのことを知れたことはよかった。

  • 安易な統合失調症判断、それに基づく薬の過剰投与、これによる症状の悪化…。おそろしいことがたくさん書いてありました
    過剰投与がなくなるといいです。
    精神医療に関する読売新聞の取材をまとめたもの。

  • この本が書かれたのは2013年。あれから6年、少しは精神医療の現場が改善されていることを願いたい。でも実際はまだまだ患者の話を親身になって聞ける精神科医は少ない。真の精神医療を提供している医者は、いないように思う。

  • 精神医療業界で患者を金儲けの道具と思っている医師と病院が多いらしい。そこでは患者の人権を無視して薬漬けにして病人に仕立て上げている。こおん本ではそうしたブラックな医師や病院の実態を告発している。
    読んでいて、日本の精神病院とはこんなにもブラックなのかと驚くばかりだ。

  • 誤診や過剰投薬といった精神科医療の問題点と、その事例を数多く紹介している。兄の保護入院の手続きにてこずった経験から、拉致監禁と過剰診断の章については改善されているのではないかと思う。患者自身が日本語版のマニュアルを作ったという記述はメディカルコミュニケーションの必要性について考えさせられる。

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著者プロフィール

佐藤光展(さとう・みつのぶ)
1967年前橋市生まれ。立命館大学卒。神戸新聞社会部で阪神淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件などを取材。2000年元日、読売新聞東京本社に移り、静岡支局と甲府支局を経て2003年から医療部。『こころの科学増刊 くすりにたよらない精神医学』(日本評論社)、『統合失調症の人が知っておくべきこと』(NPO法人コンボ)などに寄稿。

「2013年 『精神医療ダークサイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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