日本を滅ぼす消費税増税 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881814

作品紹介・あらすじ

本当に怖いのは恐慌型デフレだ!新自由主義=グローバリズムは経済社会にとって悪である。

感想・レビュー・書評

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  • 本書は新書でありながら、菊池氏のこれまでの主張を盛り込んだ上で、データ豊富でありながらわかり易くまとめられた珠玉の一冊である。

    かなり著者の主張はテレビや新聞で取り上げられる経済学者やエコノミストと開きがあるが、これは財務省の圧力にしたがってマスコミがキャンペーンを張って、反対派の主張を故意に取り上げないからである。

    終章にはしっかりとした提言があり処方箋まで述べられているから、総選挙を前にして、現実の各政党の公約(?守らない党もおおいが)と比較すると投票に対して大きな判断材料になる。

    これまでの言説による洗脳を排して、本書を純粋に読めば、どれも納得できる事ばかりである。是非一読してほしい。

  • 小泉首相の構造改革に納得がいかず、さりとて当時の「上げ潮派」の主張にも首を傾げる点があってモヤモヤしていた6年前、手に取ったのが菊池英博さんの「増税が日本を破壊する」(ダイヤモンド社)でした。これぞ王道と喝采したのを覚えています。
    しかし、菊池さんの主張は政界はもちろん、経済界でもほとんど顧みられることがありませんでした。それどころか、政権交代を果たした民主党はデフレ下で公共投資を大幅に削減し、デフレ下では「禁じ手」の消費税増税を強行し、さらに恐慌を招こうとしています。
    その菊池さんが「過去数十年間分析してきた日本経済に関する真実を、平易な言葉と表やグラフを使って知っていただきたいと思ってきた。本書はこの夢が実現したものである」(あとがき)というのが本書。読まずにはいられません。
    ちなみに本書に触発され、菊池さんの主張のほんの、ほんの一部を、自分なりに分かりやすくたとえ話にしてみました。以下の通りです。
    □□□
    二本柳さん(日本)の家では毎月、一定の給料(税収)を得て生活している。妻(財務省)は夫(国民、企業)に毎月2万円(公共投資など)のお小遣いを渡している。夫はその額に不満を感じている。「もっとくれれば仕事も頑張って給料も増えるし、何なら副業もして収入をもっと増やせるのに」(税収増)と。
    でも、妻(財務省)の関心はそんなことには全く向かない。何せ、我が家には100万円の借金(債務)があり、しかも給料(税収)だけでは足りず、毎月、借入(国債、財投債など)をして家計をやりくりするありさまだ。妻(財務省)は夫(国民、企業)に「こんなに借金のある家(他の先進国)は他にない」と言って脅しつけている。
    だが、二本柳家には、実は80万円の貯金(金融資産)があり、こんなに貯金のある家(他の先進国)もまた珍しい。妻が狡猾なのは夫には借金(粗債務)のことばかり言い募ることだ。
    他の家(他の先進国)の常識は、借金から貯金を差し引いた額(純債務)で家計を見ること。妻はこのことを十分すぎるほど知っており、他の家(他の先進国)には積極的に「我が家の家計は健全」と宣伝している。
    妻(財務省)は夫(国民、企業)から「我が家は家計が苦しいので」と言って2千円を食費(消費税)として徴収している。「今後は4千円にする」と言い、夫はますます意気消沈(デフレ進行)している。
    他の家(他の先進国)を見ると、たとえば小浜さん(米国)のところでは、夫を意気消沈させるのは絶対にならんと臨時のお小遣い(2009年の緊急補正予算)を4万円渡したことで、夫が意気消沈(デフレ進行)するのを回避した。
    夫は我が家は他の家(他の先進国)と比べても決して危機(債務危機)ではないのにと不満を募らせている。

  • 井手英策さんの「幸福の増税論」を読んだ後、思考を相対化する目的で、対極に位置するように見えるこちらの本「日本を滅ぼす消費税増税」を読んでみました。ただ、2012年とやや以前の本。

    読んでみたところ、意外と、菊池さんの議論は井手さんの議論と乖離しているわけではなかった。
    新自由主義や小泉構造改革への批判など、立ち位置が重なっていたのは意外な発見でした。
    分岐点となるのは、「消費税増税なしで、社会保障費が賄えるかどうか」。
    さらに言えば、菊池さんの、「緊急補正予算を各年20兆円支出を5年間実行することで経済が活性化して税収が増える、日本が成長軌道に乗る」という予測(図表6-1=182p)が、ありうると考えるか否かです。
    この100兆円の財源については、40兆円~は「埋蔵金」をあてる、その後は「景気回復で税収が増えるので自然増収を新規の政府投資に充てる」。残りは国債発行、とのことです。
    この点、井手さんは、他のOECD諸国の状況からして、一定程度豊かになった国においてはこれまでのような成長は見込めない、成長に頼らず維持していける仕組みを作るべき、と論じています。
    今後も「成長」に頼り続けられるのかがそもそも懐疑的、との立場からは、この本の議論は相当楽観的だという感覚がぬぐえませんでした。あまり説得力を持って受け止められなかった要因は、上記予測の根拠となる「図表6-1」の根拠がよくわからなかった、という点が大きいかと思います。

    「均衡財政を打ち破れ」。この議論も、「支出を増やせば増収して結局成長するのだ」という未来を信じることができればいいのですが、素人考えですが、通貨価値がダダ下がりして激しくインフレに傾いてしまった国々の例に思いをはせると、やはり躊躇せざるをえないものがあります。

  • 消費税云々というより、デフレの状態がいかに怖いかという事を、たくさんの資料から理論的に解説してくれる。10年前から「積極財政論」を提唱してきた筆者が、脚光を浴びる日も近いかもしれない。201311

  • 消費税増税を含んだデフレ政策が如何にあやまりであり危険なものであるかをわかりやすくとく

    僕にとって思っていたのと違ったのは
    消費税増税が新自由主義の側の考えだという点だ

    増税路線は大きな政府を招くので自由主義とは逆の方向だとばかりおもっていた


    ただ本書をよんだ後でも新自由主義がやはり一体なんだったのかよくわからない

    そこは答えを得て行きたい



    さて僕の消費税反対の考えはより強化されたのは確かである

  • 消費税を増やしたら、買い物しなくなるというのは本当だろうか?
    消費税が増えても、みんな必要なものは買うから、そんなに景気は悪くならないのではないか。
    むしろ将来の国家財政の方が心配。
    増税しいないでどうするのだろうか??

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著者プロフィール

きくち・ひでひろ
日本金融財政研究所所長・経済アナリスト。
1936 年東京都出身。東京大学教養学部卒業後、
東京銀行(現・三菱東京UFJ 銀行)へ入行。
ニューヨーク支店外国為替課、ミラノ支店長、
豪州東京銀行取締役頭取、
文京女子大学(現・文京学院大学)・同大学院教授などを
歴任。
著書に『消費税は0%にできる』『増税が日本を破壊する』
『そして、日本の富は略奪される』(どもにダイヤモンド社)、
『日本を滅ぼす消費税増税』(講談社現代新書)、
『新自由主義の自滅 日本・アメリカ・韓国』(文春新書)
他多数。

「2016年 『「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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