マイケル・ジャクソン (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880459

作品紹介・あらすじ

なぜマイケルは誤解されたか。ジャクソン家の人間関係、全盛期の混乱から、少年虐待疑惑の真実、「THIS IS IT」舞台裏まで。

感想・レビュー・書評

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  • 80年代、多くの人達がマイケルの歌にダンスに熱狂した。
    彼の完璧なパフォーマンス、圧倒的な存在感に夢中だった、はずである。
    でもいつの間にかマイケルを好きだということがだんだんと恥ずかしいと思うようになってしまった。
    あれほど好きだったはずだったのにマイケルのCDは埃をかぶったまま。

    何を隠そう、私もそんな一人だ。
    10代のころはあれほど夢中だったのにいつの間にか自分の現実世界が忙しくなって、繰り返し記事になる彼のゴシップにも嫌気がさしマイケルのファンであることは過去形になった。

    そんな中でずっと変わることなく彼のファンであり続けたのが作者の西寺さんだ。
    まあ、この記事の内容が半端ない。
    膨大な資料を読み込んでいるのがよくわかる。
    私もなんだかんだと言いながらマイケルを追いかけていたので目新しいことはなかったけれど、様々なアーティストとのエピソードなどは興味深く読ませてもらった。
    ここまで徹底してマイケル擁護するのは立派だなとも思う。
    ただ、やはりマイケルが変わっていることは紛れもない事実でどうせ書くなら彼の不可思議な結婚や子供たちの事にも触れてほしかったなと思う。

    なんて偉そうなこと書いちゃったけど、やっぱりマイケルはすごいのだ。
    ここからは自慢になるが(笑)、私はマイケルに会ったことがある。
    かれこれ15年くらい前の話になる。
    友人とフロリダのディズニーワールドに行った時のこと。
    ダウンタウンディズニーのある店に入り商品を眺めていると、友人の目が点になっている。
    何事かと思うと店内にはマイケルとそのボディーガードが!!
    店内は私たちともう一組の客がいるだけで、入り口はすでにシャットアウト。そう、貸し切りである。
    呆然自失の私はそのまま固まってしまったが、マイケルが店外に行ってしまってから我に返った。
    だーーーっとダッシュし、彼の背中に向かって
    "I'm a great fan of you. Can you shake hands with me?"
    と発する。
    マイケル、くるっとこちらを向いて握手してくれましたよ。
    大きな白い手、あったかかったな。一言も発してくれなかったけど。
    そう、間違いなくマイケルはいい人です!!(笑)
    ファンでいてよかった~。
    半分ファンをやめていたことはこの際棚上げに。

    気づくとディズニーダウンタウンのBGMはすべてマイケルのヒット曲が流れていた。
    にくい演出だな~。

    なんだかんだ言いつつ、マイケルと同じ時代を生きてこれたこちに感謝、かな。

  • 評論というカテゴリ付けをしてしまったが
    マイケル・ジャクソンという人を論じるというよりも
    彼の生涯をつぶさに紹介するというスタンス。伝記といっても差し支えない完成度。
    家族の話、80年代の栄光、疑惑と裁判、『THIS IS IT』という
    4本の大きな柱を基に書かれている。

    ジャクソン5のデビュー、ウッドストック、ビートルズ解散といったエピソードを
    生まれていない筈なのにまるで見てきたように生き生きと書き記す筆致に
    西寺氏のマイケル愛がダダ洩れになっているのを感じた。
    個人的にはずっと謎だと思っていた虐待疑惑の謎が解けたこと、
    『USA for AFRICA』とプリンスのエピソード、
    『THIS IS IT』の舞台裏を文章という形ではあるが堪能できたことが
    非常に満足。
    ライオネル・リッチーのインタビューは一読の価値ありだと思う。

    本書で描かれるマイケル・ジャクソン像を見て思うのは
    子供である年齢のときから大人でいることを強要されたことで
    実際大人になったときに、子供時代を取り戻そうとしてたのかな、
    或いはある部分で大人になることを拒んでいたのかな、ということ。
    そしてものすごく純粋で優しいひとだったんだな、ということだった。
    だからこそ悪意に晒されてしまい、あんなひどい疑惑が生まれたんだろうと。
    それにしてもメディアの影響力は何処の国にあっても怖い。
    振り回されない自分でいたいと改めて思う。

    映画館で観たとき、エンドロールが終わった途端に拍手が起こった『THIS IS IT』。
    この本を読んでいたら、改めて観たくなった。
    というかこの本を読んだ後に『THIS IS IT』を観たかった。

  • マイケルは白人に憧れていて肌を脱色しただとか、子供にいたずらしただとか、そんな話を信じていた。しかし本書を読んだあと、自分がどれだけメディアに踊らされていたか、そして彼を軽視していたかを痛感した。読了後にはYoutubeで何度もマイケルの映像を見た。そして感動した。

    マイケルのことをよく知らない人こそ読むべき一冊。

  • なかなか面白く読めます。テレビでマイケルと小沢一郎の類似性を説いてたが、そんな奇を衒うことせんでも、これだけでも面白い。まじめにマイケルを研究している初モノではないか。

  • マイケルを「ひとりの人間として」描いた画期的な一冊。
    まず、作者のマイケル及びジャクソンファミリーへの愛と尊敬をひしひしと感じる。様々な疑惑やゴシップに対しては冷静な視点で、マイケルの内面については本人の言葉やごく近しい人の話で綴っている。
    マイケルファンも、これからマイケルを知ろうという方にもぜひオススメしたい良書。翻訳して海外でも発売してほしい!

  • 新書で、マイケルの生涯がコンパクトにまとめられているため、マイケルを知らない人が最初に読む一冊に持って来いである。

    1990年代から死を迎える2009年まで、メディアの偏向報道のせいで、奇人・変人のイメージを作り上げられてしまったマイケルだが、本書の様な本で、その誤解が解ければ、マイケルファンとしては嬉しい限りである。

    ”本書の最大の意義は、「少年虐待疑惑」を本格的に研究し、豊富な資料の中から導き出した結論を発表することにある”と著者が「はじめに」で書いている通り、全5章ある本書の1章分を使って、1993年の性的虐待疑惑(チャンドラー事件)の全貌を明らかにしている所が本書の最大の功績だと言える(ちなみに、2005年に起こった2回目の少年虐待疑惑については、詳しくは書かれていない)。

    また、同じく1章分を使って、映画「THIS IS IT」の舞台裏が描かれているのが、新書ならではと言えるだろうし、本書の特徴と言えるだろう。

    2009年のマイケルの死後、たくさんのドキュメンタリー番組が放送され、マイケルの少年虐待疑惑は仕組まれたものであり、完全に「白」であることは多くの人が知っているだろうが、その真相をこうして手に取りやすい新書で発売したことには意義がある。発売当初は、マイケルファン以外の一般の人や、にわかファンにも、多く手に取ってもらえ、マイケルの誤解を解く役割を果たしたことだろう。

    本書は既に、廃刊になっているが、マイケルの死後の2009年~2010年の空気感が映し出されているので、当時の雰囲気の記録としても、文庫本などの形で再販する価値はあると思う。その際には、ジャクソン家の相関図や、写真を増やした方がわかりやすくなって良いと思う。

  • 読んで、すっかりマイケル・ジャクソンのファンになった。

  • 日本におけるMJ研究の名実ともにトップを張る著者が、MJ急逝後の1年以内に発刊。MJの一生を俯瞰で眺めるだけでなく、雑誌にちりばめられていた、各人のインタビューを丹念にピックアップしており、MJファンは必読。ただ時系列をなぞっただけでなく、エピソードの肉付けが非常に面白い。
     特に1993年第1次児童虐待疑惑(21億円の示談金を支払って終結させたため、かえって児童虐待の疑いを世界中が深めていった案件)で、幻覚麻酔の技術を持つ児童の父親とその言いなりになる弁護士が組んで、児童の記憶操作を行いゆすりの告発をしかけたという暴露が、2004年に当該弁護士の秘書によって出版されていたという話にショック。アメリカの弁護士はとんでもないことやるんだなー、いまその暴露本を大河で取り寄せ中。
     あとMJがジャクソン家の5男なんですが、長男ジャッキーが1984年に不倫を知って激怒した本妻にクルマでひかれて骨折した際の不倫相手というのが、LAレイカーズのチアチームの振り付けを担当していたポーラアブドゥルだったというのも衝撃。ポーラアブドゥルはその後にJJの振付師となり、自らも全米ナンバーワンヒットを連発したスターになりました、がポーラアブドゥルの経歴からはこの不倫話はけっこう黒歴史扱いされているようで初めて知りました。
     それからG&Rのスラッシュがレコーディングに臨んだ際、MJが思いついたときにすぐ録音できるようにMJが立ち寄るどの部屋にも同じ機材がレンタルされており、無駄に莫大なレコーディング費用がかけられていることに呆れたらしい。「どのタイプのギターもあります、どのギターで弾きたいですか?」とスタッフに聴かれて「俺のもってきたギターに決まってるだろバカ」と答えたとさ。生まれついてのスターの経済感覚の差に呆れたとさ。

  • 2010年に刊行されたもの。仕事上の必要で読んだ(今年はマイケル・ジャクソン没後10年なので、あちこちのメディアで関連企画が動いているのだ)。

    「マイケル・ジャクソン研究家」でもあるノーナ・リーヴスの西寺郷太が、熱いリスペクトを込めて書き上げたマイケルの生涯。

    マイケル没後に続々と増えている新しいファンを主な対象に、彼について「基本のき」から教える意図で書かれており、生い立ちや家族関係から説き起こされている。
    新書一冊という好適なボリュームで書かれた、決定版「マイケル・ジャクソン入門」だ。

    いまも一部では真実のごとく語られている、少年に対する性的虐待疑惑についても一章が割かれ、マイケルの無実が論証されている。

    全編を通じて、マイケルの深い孤独に胸をつかれる。
    子ども時代からスターであったマイケルには、普通の子ども時代がなかった。「キング・オブ・ポップ」となってからのさまざまな行動は「失われた子ども時代」を取り戻そうとする試みでもあったのだ。

    エイミー・ワインハウスのドキュメンタリー『AMY』を観たとき、「才能にさえ恵まれなかったら、長生きして普通の幸せが得られただろうに……」と思ったものだが、本書にも同じ感想を抱いた。

    並外れた才能は、ある意味で「呪い」「宿痾」に近いものだ。それは、選ばれたる天才に宿命的孤独をもたらす。

  • キラキラで喋ってたことが中心ではあるけれど、それぞれ深堀され語られている。

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著者プロフィール

西寺郷太(にしでら・ごうた)
1973年東京都生まれ京都府育ち。バンド「NONA REEVES」のボーカリスト、メインコンポーザーを務める。音楽プロデューサー、作詞・作曲家として、V6、岡村靖幸、YUKIなどへの楽曲提供・プロデュースを行うほか80年代音楽研究家として、マイケル・ジャクソン、プリンス、ジョージ・マイケルなどのオフィシャル・ライナーノーツなども数多く手がける。
著書に『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』(新潮文庫)、『マイケル・ジャクソン』(講談社現代新書)、『ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い』(NHK出版新書)、『プリンス論』(新潮新書)、『始めるノートメソッド』『伝わるノートマジック』(スモール出版)、監修『MJ ステージ・オブ・マイケル・ジャクソン』(クレヴィス)などがある。
現在、『GOTOWN Podcast Club』を配信中。

「2020年 『ディスカバー・マイケル THE BOOK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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