ロボットとは何か-人の心を映す鏡 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880237

作品紹介・あらすじ

英国コンサルティング会社SYNECTICSの「生きている天才100人」調査で日本人最高位の26位に選出(2007年)。石黒研究室が参加する「Team OSAKA」は、「ロボカップ世界大会」サッカー競技ヒューマノイドクラスで4連覇を達成(2004〜2007年)。自身のアンドロイド「ジェミノイド」とともに、欧州最大のメディアアートの祭典「アルスエレクトニカ2009」でフィーチャードアーティストとして展示を行う(2009年)。

感想・レビュー・書評

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  • ヒューマノイド研究で、自身そっくりのアンドロイドを作ったことで有名な石黒浩教授による、ロボットの存在を通して人間性というものを探る一冊。

    一貫して、「人間とは何か」に向き合っています。
    タブーを超えないように葛藤しつつ、心の実体、命の実体、「人間性」の正体などを、ロボット作りから探る石黒先生の文章に引き込まれます。
    そこに明確な解は出ないでしょうが、多くのヒントがあります。
    そして、「ロボットでなく自分にできることは何か?」という問いに対するヒントもあると思いました。
    今まで自分になかった疑問が多く生まれます。かなり面白いですし、読みやすいので、本当にオススメします。

  • 半分自伝的でさらっと流し読みしてしまった。ちょっと真理に対する理解が近似し過ぎな気もしたけど、結構同感。もっと深くまで考察した上での結論かも知れない。あと、「悪用できない技術は偽物である」ってのは名言だと思った。

  • 研究は、最も基本的問題を探ることである。

    最新の研究は、絶望と向き合うことである。


    研究は、自分に耐えることが必要である。


    石黒先生は天才ではなく、誰よりも探究心が強く、誰よりも考えている。


    ・そして彼は自分に正直で素直で矛盾を作らない。自分に妥協はしない。


    研究に没頭するだけでなく、研究者のあり方や位置付けをしっかりわきまえている。


    不可能と思う時点で、真の研究はできない。


    人は、人を知るために生きている。



    研究テーマ間の繋がりがはっきりしていて、まるでストーリーのようである。



    最終目的が明確であるからこそ、今必要なことを選択できる。






    『私は天才などではない。単に一つのことを誰より考えてただけだ。』

    アインシュタインの言葉が頭をよぎる。



    私は、本書から

    ・研究という営みはどういうことか?

    ・天才はいない。天才らしき人はそれなりの行動をしている。

    ・物事を考えることはもっともっとできる。突き詰めて考えることの本当の意味。


    以上3点を強く感じた。

  • 人間でないものを通じて人間を理解しようとする試みとしてのロボット研究のありようを,解説している。僕が院生の頃書いたレポートで展開した思考実験に似た記述を見つけた時は,失ってはいけない魂を再確認できた感があります。福岡伸一氏のような技巧的な文章は特に見当たらないですが,研究者の姿勢であるとか,その哲学を持つに至る来歴とか,学ぶことが多い一冊だと言えます。

  • 548-I
    閲覧新書

  • ロボットは何か?を考えるとどうしても人間とは何か?になってしまう哲学的なロボット(ジェミノイド)に関する話。
    もちろんその開発にあたっての話もふんだんに盛り込まれている。

  • ふむ

  • 「ロボットも心を持つことができる」と考えている石黒先生。
    心とは、自分でもどこにあるのかわからない、実体のないものである。だから、「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけである」という言葉からこの本は始まる。
    でも私は、人間には心があると信じている。
    ロボットがどんなに人間に似ても、どれだけ精巧にプログラミングされても、心を持つことはないのだからそれが人間とロボットとの違いだと思ってきた。
    でもこの本を読むと、ロボットに心を持たせることができるのではないかと思わされる。
    心とは何か、それを突き詰めて考え、それが解明されれば、ロボットに心を持たせることはできるのかもしれない。

  • 外連味溢れる愛すべき教授。なにが素晴らしいといえば、専門外の部分での不用意な発言である。しかも、それが、最もらしくて、とても刺激になる。新書というフォーマットを熟知した著作と言える。新書は論文ではないから、自分の思い、思い込みを発表することは適しているし、みんな論文なんて別に楽しくないから読みはしないのだ。

  • 借りて読んだ。
    平田オリザさん演出のロボット演劇の章を興味深く読んだ。もう10年近く前に第1刷が発行されているが、ロボット演劇のシリーズは去年(2018年)にも再演されたようなので、次の再演情報を得たら観に行こうと思う。
    エピローグはいろいろとつっこみどころ満載なのだけれど、10年も経てば世の中もいろいろと変わるので、細かくは触れない。その後、石黒先生の考え方が何か変わったのか、研究内容はどう移り変わったのか、気にはなっている(けれど、たぶん追わないだろうな)。

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著者プロフィール

石黒 浩
ロボット学者、大阪大学大学院基礎工学研究科教授(栄誉教授)。1963年滋賀県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了(工学博士)後、京都大学大学院情報学研究科助教授、大阪大学大学院工学研究科教授を経て、2009年より現職。ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。オーフス大学(デンマーク)名誉博士。遠隔操作ロボットや知能ロボットの研究開発に従事。人間酷似型ロボット(アンドロイド)研究の第一人者。2011年大阪文化賞受賞、2015年文部科学大臣表彰及びシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム知識賞受賞、2020年立石賞受賞。『ロボットとは何か 人の心を映す鏡』(講談社現代新書)、『どうすれば「人」 を創れるか アンドロイドになった私』(新潮文庫)、『ロボットと人間 人とは何か』(岩波新書)など著書多数。

「2022年 『ロボット学者が語る「いのち」と「こころ」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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