探偵チームKZ事件ノート 天使が知っている (講談社青い鳥文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062853835

作品紹介・あらすじ

KZのメンバーは、スイスに行くことになった上杉に、それぞれの気持ちを込めたメッセージを送った。一方、秀明の数学最上級クラスで一緒の女子から告白された上杉の胸には大きな悩みが・・・。そんな上杉が超・国際的な大事件に巻きこまれるとは、KZの誰も予想していなかった。KZのメンバー+砂原のプロフィール満載のスペシャルカラー付き特別編。

感想・レビュー・書評

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  •  『裏庭は知っている』と『初恋は知っている 若武編』の間の、上杉君の物語。自分の手術のためにスイスへ渡って、検査の合間に国際問題と児童福祉問題を解決し、がんの少年と疲弊したスタッフの心まで癒してくるタフでクールな男である。
     意味ありげに出てきた中三女子は何だったのか。今後再登場するのだろうか。がんの少年との会話シーンがかっこよかった。

  • ▼大変に面白かった!娘(9)との付き合いもあり、読んでいるシリーズで、全体にそんなに悪くない。のですが、本作は今までで一番でした。

    ▼基本、日本の首都圏らしき町で、中学生女子アーヤと、4人のイケメン秀才男子の5人組が事件を解決するシリーズで、アーヤの一人称語りなんですが、「天使」は、言ってみればスピンオフ。

    ▼男子の1人「上杉」の一人称。上杉くんが、徐々に視力が弱まる。それは将来失明するかも、という目の病気だった。手術のために海外に行く。成功すれば治るが、失敗したら失明。その不安。答えはなかなか、ない。

    ▼検査&おそらくは手術?に訪れたスイス?の病院施設。超エリートの設定で、英語はペラペラ、仏語も少々という便利な設定で、その街の貧しい孤児たちを救う&テロリストを確保するという離れ業が段取りとしては描かれますが、折々描かれる、上杉くんの不安心理の描写が主題であり、秀逸です。

    ▼「なんで俺だけこんな不幸に」という答えのない不愉快。一方で病院施設は、それらの不条理と運命の風合瀬というか十字路である。余命永からぬ少年フランクとの会話が美味。
     いつも通りなジュブナイルご都合な冒険譚は差し置き、エリートな10代が世界と人生の多様性、そして自らの人生に謙虚さと理屈以上の蛮勇をアップグレードする説得力がありました。パチパチ。

  • 上杉くんメインのお話。念願の上杉くんが主人公のお話!ウヒャ〜と思う内容で面白かったです!

  • 上杉くん視点
    目が治ったし、フランクのイジワルもなくなってよかった。
    フランクの病気も奇跡で治りますようにっ!

  • 思い出したように読み進めてるKZシリーズやけど、面白いよ!
    そして今回は、彩ちゃんの話じゃなくて、スイスへ単身渡って目の手術をしてきた上杉クンのお話でした。

    せやから、タイトルがいつもとちょっと違うのね。
    冒頭で著者が「お知らせ」してくれるまで全然気づかなかったけれど、

    う、え、す、ぎ、クーーーーーーーン!!

    ちゅうお話でした。(´ω`*)

    (手術のために)単身でスイスへ行って事件に巻き込まれる・・・なんて、めっちゃ藤本氏設定やな!
    マルグリットのセリフが「いかにも外国の言葉を訳している」みたいな分かりにくい表現の仕方やったりしたのも、なんか「ここは日本じゃないのか!」と、思わせられるわ。


    などなど、ニヤニヤして読んだけれど、内容はわりとアッサリしてた。

    アッサリしてるけれど、KZらしく事件も起きて、知能と体力でそれを解決し、また、手術へ踏み切るまでの上杉クンの逡巡もちゃんと書かれていて、面白かったです。

    (私が小学生のときに読んでいたマリナシリーズに比べると)若干あっさりしているような気がするのは、あれか。読んでいる年齢が年齢やからか。

    それにしても上杉クンのキャラがつかめないわー。
    キャラがつかめないといえば若竹や彩ちゃんもつかめないけど、今回の上杉クンはいつものクールぶりはどこへ行ったんっちゅうくらい、普通の中学生やった・・・。

    主治医の先生の名前が「マクドナルド」やったらバーガーを連想してみたり、スコットランドのキルトに違和感を感じたり・・・。
    そういうところはさらっと流すのかと思ったら、上杉クンもひっかかるんや・・・。
    いつものKZなら、上杉クンがどうのこうのいう前に彩ちゃんや若竹がこういうのにチャチャをいれるからわかりにくかったけど、そうか、上杉クンも・・・。

    ここに彩ちゃんがいたら、
    「ガキね」
    とか、言われそう(笑)。

    そう考えるとやっぱり、KZで「ガキじゃない」のは、黒木クンと小塚クンだけなのか・・・(笑)。
    だって出国前の上杉クンとの電話も、すっごい、よかったもんなあ。
    二人とも「上手に言うなあ」っていう表現の励まし方で、すてきやった・・・。

    あと、上杉クンの「忍者マニア」な(笑)!
    これは地味にツボッた。そうか、忍者が好きか。ええね。
    似合うわ。
    彼の数学好きも忍者の影響を受けてのことらしくて、忍者って数学を使ってはったんか~。
    へえ、それは、知らなかったな。


    しかし上杉クンが最後にミシェルを抱きしめて
    「ん、俺もだよ!」
    っていうところなんかもうどうこれ。将来的に上杉クンとミシェルは恋に落ちたな・・・、とか、思ったわ。
    年の差婚。上杉クンがミシェルを好みに育ててやな・・・とか・・・(笑)。

    いやいや、上杉クンは彩ちゃんともびみょうな距離感でしたよね。
    あのときも天使絡みで彩ちゃんに甘えてたんやけど・・・。何やろう、天使は上杉クンのテーマなのか。


    彩ちゃんモノローグやと、自信がさすぎるというかややひくつなところが目に付くんやけど、上杉クンはさすが

    「自分が正しいって信じてるから、どう言われても構わない」

    っていうポリシーなので、読んでいても気持ちがよかった。

    これは、私自身がひくつというか、自信がなくてうじうじしてるので、彩ちゃんは似すぎていて読みづらいんかもしれへんわ。
    やっぱり、小説はこうやって「なりたい自分」が活躍してくれてるほうが面白いよね。

    上杉クンだってこの状況はなかなか受け入れられないようで、しょっぱなの数章は
    「なんで、オレがこんな目に遭わないといけないのか、納得できない」
    というような言葉がたくさんあったのに、それがだんだんと変わっていくのね。

    「もしかして自分も荒れてて、物事を悪いように捉えているのかも」

    と、気づくところは、だからどうっていう結論がないのが、却って、いいな、って。

    確かに上杉クンは荒れてたかもしれへんけど、それは彼にとっても「事実」な、だけで、だったらこうしよう、っていう「事実」だけやねんな。
    そんなふうに考えてしまっていた(過去の)自分に対して、誰を傷つけたとか迷惑かけたとか、そんなことはいちいち考えないんやなあ、と、思った。

    やっぱり、私の考えることっていちいち無駄なのかも。笑

    反省はしたほうがいいやろうけど、それは次にいかすためのものやもんね。
    ほんで、すべての出来事を拾い上げて反省して次にいかそうとしても、それも欲張りすぎかも・・・。

    黒木クンと小塚クンの励まし方だってそう。
    こういうたら上杉クン本人がどう思うか、よりも、自分が伝えたいことを伝えたというその信頼関係ももちろんいいなと思うし、信頼関係を結ぼうと思ったら、自分をしっかり持っていないとあかんもんね。

    とりあえず、まんべんなく、なんとなく、その場しのぎで、流れればいいや、と、いう気持ちでは、見た目はうまくいってるかもしれなくても、それは見た目だけなんやなあ。

    それでいいということも世の中にはもちろんあるけど、そういうことを
    「無責任」
    と、いうのだと最近知りました。@40才


    生きるか死ぬかの病気なんかに比べたら、今の私の境遇なんて笑っちゃうようなもんだけれど、それでもやっぱり、受け入れたくない、避けたい、逃げたい。放り投げたいって、いまだに思ってる。

    往生際が悪いなあ。
    向き合っていかなきゃいけないのにね。

    でも、こんなにもひとつのことを考えてるのも久しぶりだ。ほしたらだんだん見えてくるものがある。
    やっぱり、人って、「わからないもの」が一番怖いんやな。私はこの先がどうなるかわからないから、怖い。ひとつずつぶつかっていったら、
    「案外、こんなもんやったのか」
    と、思えたらいいなと思う。ぶつかっていく勇気がいる。笑顔でぶつかっていける勇気がいる。


    ところで、「大空と」は東大で「若き血」は京大ですか。

    (調べろと)

    (2017.01.09)

  • いつもとは違うけど
    これもkz
    先に読んだ本よりも前の話
    こんな時間を過ごしていたとは
    確かに変わるだろうなぁ
    こんな時間を重ねていたのならば
    生き方が変わる
    年齢を飛び越える
    自分の生き方を変えるとき
    こういう物語もある時

  • 『裏庭は知っている』と『初恋は知っている 若武編』の間の話。
    上杉視点。

  • 人間は平等でないのが現実、の下に共感。
    自分を受け入れて全力を尽くす、それが大切。

    病気の子供たちの施設、考えさせられます。

  • 女性は男性より価値がある、だから女性は大切にしなければならない。
    でも、「大切にする」のと、「女だから仕方ない」と決めつけるのは全く別の話なんだと思うのです。
    その辺りが歪んでしまっているせいで、言葉と行動が一致しない人たちが、このシリーズには多い気がします。
    今回の事件はバイオハザードなんだけど、それにしては簡単に処理でき過ぎてる気がします。
    対象が児童・生徒だからって、「子供だまし」で良いって訳じゃないのにな、というのも、このシリーズ読んでていつも思うことです。

  • 初めての上杉くん視点の話でした。

    KZの話ではなく、上杉くんが手術の時に遭遇した単独での話なので、星4にしましたが、「Create my own life」の言葉は心に刺さりました。

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著者プロフィール

千葉県生まれ。大学では心理学を専攻。ゲームとまんがを愛する東京都在住の小説家。性格はポジティブで楽天的。趣味は、日本中の神社や寺の「御朱印集め」。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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