ビスケット・フランケンシュタイン〈完全版〉 (講談社BOX)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062838474

作品紹介・あらすじ

時は世紀末──半信半疑で語られ続けた大予言が大いなる肩透かしとなった時代、異変は人知れず始まっていた。少女たちの肉体を腐敗させ、死へ至らしめる奇妙な〈病〉から生まれた〈美しき異形〉は、数奇な運命に導かれ、悪意と善意の境界線を歩き続ける。甘美なる〈死〉を漂わせながら……。

感想・レビュー・書評

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  • 日日日さんの小説が読みたくて、Sense of Gender賞 大賞に輝いたこちらの本を購入。

    恐怖の大魔王の予言が外れた時代、人類を滅ぼす死の病が産声をあげる。
    人の体を別の物質へと変えてしまう病。その患部を寄せ集めてできた少女が主人公。
    奇跡か、呪いか、その少女は動き出し、自らの人生を歩む。

    生きるためには『目的』が必要だった。
    最初は名を求めて、居場所を求めて…最後、終末に、少女は何を求めるのか?

    セクシャルマイノリティ、家族愛、他者との繋がり、ネットワーク、孤独、人間…。
    短編集ながら、章ごとに考えさせられるテーマが魅力的な作品。




    以下、重大なネタバレを含む感想。
    読了した方、ネタバレ大丈夫な方向け。
















    誰にも望まれずに生まれたビスケが、繋がりを、愛を、求めて動くが、徐々に孤独になっていくから切ない。

    世界でもっとも残酷な人間賛歌。

    荒廃し、衰退した、死を待つ人類にとって、ビスケの選択ーーーキメラを生み出す事は、残酷なのだろうか?

  • グロ描写と戦闘シーンが蟲と眼球シリーズ好きとして懐かしい…いつものひひひだ…と思わせるテンションだった。
    ジェンダーとか繁殖とか…そういうのテーマでも書いてたんだなひひひ…。
    この人もほんと色々挑戦してんなあ…すごい…。

  • 面白かったけど、専門的な言葉が多くて理解できないところも多かった。biscuit-Cまでは何となく理解できていたのだけど、そこからは理解することを諦めて(笑)雰囲気を楽しんだ。参考文献を見ると、日日日さんがこの物語を書くのにどれだけこだわり、苦労したのかがわかる。だからこそ、理解できなかったことが少し悔しい。

  • つぎはぎの怪物の物語。
    舞台は1999年から。世界では、人体が腐敗していく病が徐々に拡がりつつあった。
    腐敗し変質した細胞は特殊な性質を保有しており、元の細胞とは全く別の物質と化して生命機能を蝕んでいく。
    病の研究の為に集められた患者の遺体…その患部を繋げ合わせることで奇跡的に誕生した生命、それが主人公のビスケである.。

    こういう設定が好きなので、読むのが非常に楽しかった。
    遺伝子の到達する地点についてや、人間の「意識」に対する錯覚について等、生命科学からの着想が良い。
    書くのにすごく苦労しただろうなと思う。

    完全版ということで追加された章「つめあと神経質」が非常にわかりづらくて、最初は読むのに苦労したけれど、こういう章を入れてくるチャレンジ精神みたいなものに「いいじゃん」などと思ってしまう。
    もっとがっつり取り組んで、長編シリーズとしてやってくれたら、絶対読んでいたのに。

  • 体が人体とは異なる物質に変質していく奇病に罹った少女たちと、滅び行く人類の物語。病んでいてどろっとしていてでも甘くてかわいらしい。日日日のこの手の作品が好きな人は絶対読むべし。

  • 人間の遺伝子に変化が起きて病気が発生し、徐々に人口が減っていく話。患者の死体から作られたフランケンシュタイン、ビスケが主人公で、彼女は、自分の孤独や人々との出会いや別れを通して、自分なりの結末にたどり着く。短編集なんだけど、それぞれに人間にとって逃げられないテーマが据えられていて、話もそれの議論によってなりたっている。久しぶりに感動した本だった。

  • SFと言うにもバトルや恋愛と言うにも甘いが、舐める分にはとても美しいキャンディー

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著者プロフィール

高校在学中に第8回角川学園小説大賞・優秀賞をはじめ、合計五冠の新人賞に輝く。ライトノベル、一般文芸とジャンルにとらわれず執筆を続け、著書に『狂乱家族日記』(エンターブレイン)『私の優しくない先輩』(講談社)。TVアニメ化もされた『ささみさん@がんばらない』(小学館)も執筆。

「2020年 『桃瀬さん家の百鬼目録2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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