爆笑問題のニッポンの教養 平和は闘いだ 平和構築学

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062826181

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  • 「平和について考えてみよう!」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=074235

  • 三葛館一般 002||BA||23

    世界各地の紛争地で紛争処理や武装解除を行ってきた伊勢﨑氏。
    実際に戦火の真っ只中で活動を行ってきた当事者だからこそ、発言に説得力があります。
    日本がアフガンで行った軍事的貢献の大きさや日本が持つ憲法9条の世界的価値など、戦争を現地で体験していない我々が知ることのできない真実を教えてくれます。
                                  (ゆず)

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=53111

  • 「紛争屋」伊勢崎賢治さん。
    留学中、インドのスラム街でホームレスの居住権獲得運動を組織化してインド国外退去。
    その後国際NGOに身をおいて、紛争中の東ティモール、シェラレオネ、アフガニスタンで戦争犯罪者を説き伏せて武装解除に成功。
    現在、東京外国語大学で平和構築・紛争予防講座を教授。

    人間の生き死にに係わる様な緊張感のあることで、世の中の役に立ちたいと思ったのがきっかけだそうです。

    彼の「平和構築・紛争予防講座」は扮装当事国からの留学生ばかりですが、国連元上級幹部、母国再建を担う官僚、フリーダム・ファイターなど16名の少数精鋭が厳しいカリキュラムに臨んでいます。この厳しい選抜をパスして受講する日本人は一人だけだそうです。

    ここでは、なぜ紛争が生まれるのか、そういう政治的な状況を誰がどういう動機であおっているのかを理解する。理解したうえで、どういったアクションをとるかということを考える。で、一度紛争が起こった地域でも、再発予防はできる。あるいは紛争が起こったとしてもなるべく短く終結ができる。そのための学問をテーマにしています。
    平和の価値を説くのでなく、紛争を予防、終結させるための
    実践的な能力開発を行うのです。

    例えば和平合意では、双方が平和の価値を見出して銃を置くことは絶対に無い。双方疲れたときに初めて利害調整(政治的ポスト、国外逃亡ルート手配など)をして和平合意となるそうです。

    また武力は否定できないそうです。武装解除させるにも中立の武力が背景にあったからこそ成し得たと述べています。

    伊勢崎さんの話は、現場に居た人間だからこそ話せる、理屈じゃない、地に足がついた現実的な意見でした。特に「憲法9条と国際貢献」の話は目から鱗でした。

    ■憲法9条と国際貢献
    ●靖国問題や日韓問題で反感買っても日本が攻撃されないのは憲法9条の力が大きいと思う。
    日本みたいな、経済的/軍事的に強い国があえて憲法で戦争放棄していること自体が安全保障になっている。
    ●石破元防衛大臣はよく「よその兵隊に血を流させて、日本は何もやらないじゃ世界(実はアメリカ)に示しがつかない」というが、例えばアフガニスタンの軍閥達を武装解除させ国軍を組織しタリバン・アルカイダ残党と戦わせるという対米軍事協力で日本は最大の軍事的貢献を行った。
    アメリカは軍閥に信用されていない。アメリカと軍事協力をしているイギリス・フランスも然り。憲法9条で非武装の日本にしか成し得ないことだった。
    ●アメリカ国防長官のゲイツさんが、テロ特措法延長問題に触れて日本は何もしていないといったが、ゲイツなんかにわかるはずがない。アフガンで実際に戦闘に係わった米軍首脳部は、伊勢崎さんたちに絶対そういう口は利きません。
    だからゲイツさんに言われて、石破元防衛大臣も、ODAで100億円予算だした外務省も、何も反論できないということは、果たして彼等には本当に日本の国益を守る意識があるのか。
    ●国連における紛争処理の役割で歩兵部隊を出すことはワンオブゼム。警察を出す、非武装の軍事監視団を出す、政務に係わる民間の人間を出すなど紛争現場のニーズは他にもいろいろある。
    ●歩兵を出すことにこだわるのは”日本の国内政治のニーズ”。これは絶対にやっちゃいけないことだ。
    国内政治のニーズで他国に軍隊を送ることは、原理的には軍事侵略と変らない。
    ●国連平和維持軍に拠出すると外貨で報酬があるから発展途上国は派兵したがる。先進国は世論反響が強いからなるべく規模の小さい派兵にしたがる。なぜか日本は逆のことをしたがる。動機がまずおかしい。
    ●世界中の国が憲法9条を持つことが理想だが、現実難しい。しかし日本が9条を持ち続けることは日本だけでなく、世界にとって大変意味のあることだと直感する。

    小泉元総理も全盛期のブッシュもヒトラーも、広告代理店とかクリエイターが入ってアドのテクニックをさんざん駆使してセクシーに魅力的に魅せた。
    平和構築の講座では、アドのテクニックを平和に生かそう、戦争で使われるんだから逆に平和構築に使おうということも講義しています。

  • 平和構築学の教授との対談。
    実際に紛争地域へ行って武装解除をしていたなんて、誰も伝えていない。日本のメディアは自分たちで人間を現地に送り込んでいないから日々改案というのは正しいと思う。リスクも責任も取らず、軽いだけ。

  • 「平和構築学」という初めて聞いた学問でした。「平和学」とは結構違うようですね…

    話し合いで紛争を止めるなんて出来るのか、と思っていたけれど
    この先生はそれを実際にやっていたそうで。
    対立している人たちを、共通の感情でまとめるというのがなるほどと思いました。

    でも、その交渉には見守っている中立の武力が必要、という矛盾。
    論理的ではないように思えたけど、それは「平和」という存在が理屈じゃないからなのかもしれない。

    「平和」のためには「正義」を捨てなければならないというのが意外だったけれど、
    「正義」が実は脆弱なものだったと知って納得しました。
    たしかに、「正義」なんて人によって違うのだから。

    平和について考えたり行動したりすることって、未来のためって感じがするけど
    この先生は今を、自分が生きている時代を良くするために活動したいとおっしゃっていて
    人間らしいな、と思いました。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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