爆笑問題のニッポンの教養 万物は渋滞する 渋滞学

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062826075

作品紹介・あらすじ

車、群衆、アリ、魚、お金、会議…あらゆる「流れ」のメカニズムがわかる。

感想・レビュー・書評

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  • 300円購入2020-04-17

  • 帰省ラッシュの時期に時事ネタで読みました。
    NHK「爆笑問題のニッポンの教養」で放送した「渋滞」について渋滞学の第一人者である西成先生と爆笑問題の掛け合い本です。
    渋滞学は、結果としてはすごくわかりやすいんですが、この結果を導き出すまでの適切なモデル作りとか難しんですよね。
    そこら辺は西成先生の別著書にはありますが、本書では簡単に結果を説明しているので難しいことを考えずに楽しく読めました。

    【なるほどな点】
    ・高速道路で速く行こうとすると追越車線に行くが、混んでいるときは、結局みんなが(追越車線に)行くから追越車線の方がより混雑する。
    ・渋滞を減らすためには、3台以上前を見て運転する、速度計を頻繁に確認し定速で走行する
    ・列に並ぶ前に1分間観察し、待ち人数÷1分間に来た人数でおおよその待ち時間が解る。
    ・インドでは2車線の道に5台並んで走っている。
    ・「急がばまわれ」「損して得取れ」
    ・数学を思考するときは、一人になり、自らの体温を低く、深く沈める。
    ・マナーとはルールではなく、その場の空気に合わせるってこと。
    ・「日本人よ、空気を読むな、流れを読め」

  • 渋滞学というのは、車の渋滞だけでなく、アリの渋滞や、体の中の血液の渋滞、経済のお金の流れの渋滞、情報の渋滞など、ありとあらゆるものを対象としているというのは、驚いた。

    ちょうど、WIREDの2017年2月発行号で、フンボルトは、科学が専門化する前の科学者だったという記事を読んだところだったので、渋滞学に取り組む西成先生も、フンボルトのような学際的な研究者なのだろうと思った。

  • 渋滞学というと、交通渋滞のイメージしかありませんでしたが、その汎用性は高く、行列待ちから経済まで、殆どの学問に関連するもこだということに驚きます。
    流れを良くするだけかとおもいきや、反対に流れを止める事もできる(ウィルス感染拡大防止等)のは瞠目です。
    合成の誤謬という経済学用語があって、個々人がそれぞれの合理的な行動を取ると全体的に損をするという意味ですが、渋滞学と関係しています。

    間の取り方が重要で、適度にスペースがあるとスムーズに進むというのは全てに共通していて、そのためには利他的な行動が求められる。正に『情けは人の為ならず』が証明されたわけで、これは社会心理学でも言われていた事が裏付けられたように思います。
    全体を俯瞰し、誰もが快適に過ごせるようにするのは政府の役割だと思いますが、うまく機能していないように感じます。この学問には是非力を入れていただきたいです。
    僕の評価はA-にします。

  • 渋滞を研究している人との対談。奥が深い。

  • 大学の交通経済論という講義で「赤信号を1秒縮めただけで渋滞が解消する」って教わりました。面白い講義でした。
    一台が1秒ブレーキ踏むと、後ろの車は1秒以上踏み、後ろに行くほどやがて完全に停止してしまいます。これが自然渋滞です。
    私の体験上、走行中、3~10台前の流れを見て、良さそうな車線を走ればスイスイ走れます。前の車がブレーキ踏んでも自車のブレーキ踏む必要が無いときも判ります。
    本著は、渋滞を人、血流、マネー、情報、空気・・・と万物に拡大して考える"渋滞学"を研究してる西成さんのお話です。

    ・皆が車間距離40m取ると渋滞が無くなることを解明してます。
    ・行列の待ち時間は「並んでる人数」÷「1分間に加わった人数」で判ります。(10人並んでる列に並び、1分経って後ろに2人加わった場合、10人÷2人=5分が待ち時間)

    滞らないよう流れを読むのがいいみたいです。
    空気を読み過ぎると人は動けなくなっちゃうそうです。
    「日本人よ、空気を読むな!流れを読め!」

  • 数学で割り切れない部分と、数学を使う部分とのバランスが非常に重要

    複雑系とは。

  • 2008年購入。4年かかって消化。
    車間距離40メートルを保つ。3台以上前を見て運転する。10秒間で5台くらいしか通過できない。行列は1分間観察する。行列の長さが変わらない場合、行列の人数を1分間に来る人数で割れば待ち時間が計算できる。

  • 渋滞学の権威(というより開祖)との対談。
    渋滞を車だけと考えず、行列ができるものをすべて渋滞と考えると、その応用範囲は実に広いことになる。
    待ち時間×人の到着数(人数/分)=待ち人数の計算式から、自分があとどれくらい待つことになるのかがわかる。

  • 渋滞が発生する仕組みを科学した本です。
    NHKの番組(爆笑問題のニッポンの教養)を文字起こししたものです。

    渋滞学について一番わかりやすい入門本になっていると思います。

    渋滞が発生する要因は、

      ・ 車間距離が40m以下
       ちょっとのことでブレーキを踏んでしまい、それが後続車に伝搬する
      ・ 1台しか前を見ないで運転している
       全体の流れが分からないので徐々に速度を調整できずブレーキを踏んでしまう

    だそうです。では、何故車間距離が詰まるかというと、緩やかな上り坂に気が付かず速度が遅くなって詰まったり、トンネルでの速度ダウン、踏切手前の一時停止等々で要は速度を落とすからですね。

    つまり、渋滞を起こさないためにはブレーキを踏まない、ブレーキを踏まないためには車間を空ける、車間を空けるためには3~4台先を見て流れをつかんで運転し、ちょっとずつ譲り合うことが大切とのことです。

    ★★★

    それから、「行列待ち時間速算法」が載っていました。

     10人並んでいる行列に自分が並びました。そこから1分間測るんです。で、自分が並んだあとの1分間に、自分の後ろに何人並ぶかを数える。そうですね、自分が来てから1分間に2人並んだとしましょう。すると、自分が着いてからサービスを受けるまで、10割る2であと5分。

    式にすると、
     待ち時間×人の到着率(人数/分)=待ち人数
    なので、待ち時間が逆算できるというわけです。

    ディズニーランドの行列も、食券チケット待ちも全部この式で行けるそうです。便利ですね。

    ★★★

    さて、仕事で考えてみると「アジャイルを導入したんだけどイテレーションでやると決めたことが終わらなくて次のイテレーションに回されて結局全体として上手く進まない」なんてことありますよね。

    あれも、渋滞なんじゃないかと思いました。とすると、イテレーション間には適度な間隔が必要で、全体の流れを見ている人も必要となります。

    もっと大きく、プロジェクトもそう。ある製品のテストが終わったら間断なく次の製品のテストがやってくる。一見、効率的に思うけど、実は一歩引いてみると渋滞が起こっているかもしれません。

    テストが終わったらテスト結果のレビューをして是正処置を取るという間をおいて次のテストに進んだ方が全体としては早く仕事が終わるのではないでしょうか。

    本書は、「車、群衆、アリ、魚、お金、会議、漫才の笑」等々、様々な渋滞を取り上げて面白く解説しています。お勧めです。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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