オタクで女の子な国のモノづくり (講談社BIZ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062820639

作品紹介・あらすじ

誰も気づかなかった「強いニッポン」の秘密を俊英コンサルタントが暴く。世界が認める日本のサブカルチュアの潜在力をいかに活かすか、その知恵がギッシリ詰まっている本。

感想・レビュー・書評

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  • 「いたれりつくせりトイレ」、「要するに、目玉オヤジ」、「日本の顧客を満足させることができれば、どこでも売れる」、「ゆらぎ型生産ライン」、「技術者という人種は、予算だけ与えて放牧しておくと、「定量的な機能優先」に走ってしまいがちです。」、「ディスプレイ行為」、「日本人はすべて左脳で処理」、「ガラパゴス論」

  • ”5月の研修にて講師の方が熱烈プッシュされていた一冊。
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    T:23日の帰宅まで電車の往復時間 → ○
    P:shukan…に使えるマーケの視点を3つ以上得る
    O:新任xx企画&送り出し、受け入れ準備中
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    <読書メモ>
    ・日本製品のオタク性・10の法則(目次より)
     法則1 擬人化が大好き
     法則2 個人カスタマイズを志向する
     法則3 人を病みつきにさせる
     法則4 寸止めを狙う
     法則5 かすがいの働きをする
     法則6 「恥ずかしさ」への対策になる
     法則7 健康長寿を追求する
     法則8 生活の劇場化を目指す
     法則9 地球環境を思いやる
     法則10 ダウンサイジングを図る
    ・このとき、日本企業が選ぶ道はいつも決まっています。付加価値を「くっつけ貼っつけ」し続け、必死で「やめないで頑張る」のです。(p.22)
     #製品の成熟期における日本企業の対応について。トイレを例に(笑)
    ★なぜ新幹線の種類はこんなに多いのか
     「外国人が日本で暮らして素直に驚くこと」についてはすでにいくつか紹介しましたが、その一つとして「モノの豊富さ」、とりわけ「モノの種類の豊富さ」があります。(p.67)
     #日本にずっと住んでいると意識できない指摘。★カスタマイズの意義
    ・このアフォーダブル設計のいい例が、JRの「Suica」の自動改札機でしょう。人間工学の権威である山中俊治氏がデザインしたSuicaの読み取り機は、初めて導入されたときから大きな混乱もなく運用され、高い評価を受けました。ひと目見ただけで、「ここにカードをかざせばゲートが開く」とわかるSuicaシステムは、マン・マシン・インタフェースの壁を乗り越えるための優れた特性をもっているのです。(p.80)
    ・「病みつき」を巧みに使って製品化に成功した例がすでにあります。マッサージチェアです。
     リアルプロには、押せば同じところを繰り返し揉んでくれる絶妙な機能「そこもっとボタン」がついている(p.96-97)
    ・本来ならば、そういった製品やシステムを設計したエンジニアたちは、このような体たらくを恥ずべきことだ感じなくてはなりません。人と人の間で摩擦を増幅させるというのは、製品や道具のあるべき姿とは反対のものです。また、そう感じるセンスが、エンジニアにとっては大事なのです。(p.118)
     #車に乗ると凶暴になる人を例に。
    ★言語社会心理学者で日本人の振る舞いに詳しい芳賀綏氏は、日本人のコミュニケーションの八つの特徴を、次のようにまとめています。(p.127)
     ?語らぬ(察する)
     ?わからせぬ(説得するのではなく、人物を信じてもらうことから始める)
     ?いたわる(空気を読む)
     ?ひかえる(自分を売り込まない謙虚な価値観を持つ)
     ?修める(農耕民族特有の特徴で、自分を田畑に見立てて、「掘り下げる」ことで価値を高めようとする。あるいは、すべてのことは修行であり、「道」だと見る)
     ?ささやかな
     ?流れる(自然現象に対する無力感から生まれる「事を荒立てない」行動をとる)
     ?まかせる
    ・もともと冷蔵庫は、保管中の品質劣化を抑制する「ゼロサム機能」が使命でした。ところがこのLED搭載の冷蔵庫には、ビタミンCを増やすという「プラスサム機能」が加えられています。画期的な発想です。(p.169)
     #★ゼロサム→プラスサムで市場を開拓!
    ・人は、往々にして自己陶酔しやすい、つまり「自分が可愛い」と思いやすい生き物なのです。(p.170)
    ・こうしてみると、女性的な細やかさや恥じらいの心情と、子供のような好奇心やファンタジー的な世界観が、日本のモノづくりの特徴の下地にあることがわかってきます。(p.213)
    ★つまり日本人は、小鳥のさえずりから雨だれ、あるいは風の唸り声まで、すべての自然の音を、言語を処理する左脳部分で扱っているのです。(中略)日本人は虫の音やせせらぎにも、風流=意味を感じることができるのです。
     #「日本語またはポリネシア語を母語として学んだすべての人間」の脳科学的な特徴。単語の意味を判断するのに母音を頼りにすることが影響している(他の外国語では子音なのだとか)。東京医科歯科大学名誉教授 角田忠信博士の学説。”

  • "川口さんの講演を聞いたことがある。おもしろおかしく本書にかいてある内容をお話ししてくれた。日本人の持つ独特の間とか感覚をうまく製品に活かしているものに注目している。製造業も捨てたものではない。もっと自信を持てというトーン。
    本書でも、ウォシュレットのすばらしさをあげている。しかし、成田空港のトイレには、ウォシュレットがない。それは、外国の方々にあわせた作りだから。日本のトイレにはいろんなボタンがついていてわからないというのが、一般的な声だとかいわれている。ガラパゴス化していると言われていることの一端なのかもしれない。とはいえ、独自の発展をとげていてもいいではないか。北米のように、デファクトスタンダードを押しつけるくらいの標準化に向けた働きかけをするところがあればね。日本の標準化=世界基準に合わせる。北米の標準化=俺のルールに従わせる。この違いだね。"

  • 図書館でマーケティング分野の棚を眺めていたら、このタイトルが目に留まった。ページ数は230、40ページくらい。ところどころ画像や図が挿入されていて、文章と照らし合わせてなるほど、と思えるような構成になっている。

    日本の「オタクカルチャー」が集まる場所、この本にも書かれているようにわかりやすいのは秋葉原とか。本当に外国人が多い。友達同士で来ている人もいれば、家族で来ている人も結構いる。これは京都の歴史的、文化的な神社仏閣に外国人が集まるように、「オタクカルチャー」も日本の文化として組み込まれているからではないかと考える。そんな「オタクカルチャー」がどのように日本のモノづくりに関わっているのか興味を持ったのでこの本を読んでみた。

    "巷に漫画やアニメのキャラクターがあふれている"
    確かにそうである。広告、服、雑貨、周りを見渡せばどこかにキャラクターがいる。ご当地キャラとか、企業や製品のマスコットとか当たり前に存在している。当たり前すぎて気がつかなかったけれど、それって日本独自の文化かもしれない。

    著者の奥様はヨーロッパ生まれのアメリカ人だそうだ。だからそういった日本の外からの視点もこの本には含まれている。私も著者と同様に、日本にいては気がつかないことを彼女によって気づかされた。

    この本はモノづくりに興味がある人、日本の「オタクカルチャー」に興味がある人におすすめである。まず目次だけでも目を通してみてほしい。

  • 大人⇔子供、男⇔女、という軸での象限が気に入った。子供で女の子っぽい国というのは、なんとも腑に落ち、今後も注目していきたい。

  • ある事柄から導き出す結論が強引。無理やりか単なる自分の考えな場合が多い。
    キーワード的には隠し贅沢、完璧より一つ下の寸止めな商品に興味が湧いた。

  • howからwhatに変わりつつある企業の技術経営。日本製品の特徴は、贅沢すぎるほどの便利であり、モノとの擬人的な付き合い方。女の子っぽさ、子供っぽさ、オタク的なモノづくりが日本の未来を拓く。

    世の中の流れが、自虐的日本論から、日本ならでは・日本の良さ、というところに、変わってきたように感じます。

  • 日本で生まれた製品を棚卸して眺めることにより,それらに現れている日本的な文化,習慣,習性等を浮き上がらせる.また,これらの考え方は今後のものづくりの発展に大きく寄与すると考えられる.だからこそ,我々はオタク文化に悲嘆したり,海外の効率的で低コストなものづくりの波に飲まれて悲観したりせず,自身の国民性を本質的に理解し,積極的にものづくりに生かしていくべきだと述べている.

  • 逗子図書館にアリ

  • わかるわかるけど…

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著者プロフィール

盛之助代表取締役社長/「メガトレンド2016-2025全産業編」著者慶應義塾大学工学部卒、イリノイ大学修士課程修了。技術とイノベーションの育成に関するエキスパート。技術開発戦略を文化的背景と体系的に紐付けたユニークな方法論を展開する。戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルにおいて、アソシエート・ディレクターを務めた後に株式会社盛之助を設立。国内のみならずアジアや中東の各国の政府機関からの招聘を受け各種コンサルティングを行う。日経BP社 日経BP総研 未来研究所アドバイザーも務める。

「2017年 『メガトレンド 世界の終わりと始まり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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