八月の犬は二度吠える (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778718

作品紹介・あらすじ

『八月の犬』。それは京都を彩る『大文字』に「ヽ」を足し『犬文字』にする極秘作戦。

京都の浪人寮で出会ったかけがえのない仲間たち。1982年、戌年の夏、6人の大学生は青春の熱狂を計画にぶつけた。しかし実行直前、山室の秘めた恋心が悲劇を呼ぶ。友情と『八月の犬』は消えたかに見えた。

そして24年後、再会した瀕死の親友は、仲間の再結集と計画の完遂を山室に託す。彼の願いはただ一つ。

――『八月の犬』をやろう、それで俺を送ってくれ。

夢中になれることだけ考えていたあの頃。家族を持ち、守るものができた今。もう一度、燃え上がることはできるだろうか。
真夏の計画はふたたび動き出す。友に奇跡を起こすために。

感想・レビュー・書評

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  • 青春時代の仲間、病気、再結束みたいな、あらすじを読んだだけで、おおよその、というかそれ以外なりようがない展開は読めてしまうので、プロット的に何か面白いかといえば、微妙だった。さほど登場人物たちと世代が変わらないので、学生寮でつるんでた頃から20年以上経って、それぞれがそれぞれの人生を送っていて、精神を病んで引きこもり中年になっていたり、うだつの上がらない塾講師、ガチガチの地方公務員になっていたりするのが、今っぽいなと思った。
    ただ、自分は引きこもり中年に近いので、実際にいきなり昔の友達とかに押しかけて来られたら、えらい迷惑だわ〜と思った。

    この本を読んでよかったことは、エリザベス・キューブラーの「死ぬ瞬間  死とその過程について」という人が己の死を受容していく過程を書いた本の存在を知れたことにある。この手の本をいくつも残しながら、本人が自分の順番の時はえらく取り乱したらしいところも興味をそそる。

  • 2016/11/11 500ページもあっという間に読めた。作者と同い年、愛媛出身、大学時代を京都でと共通項多い。馬鹿なことを一緒懸命やった若い頃。懐かしい。

  • 『八月の犬』。それは京都を彩る『大文字』に「ヽ」を足し『犬文字』にする極秘作戦。1982年、戌年の夏、6人の大学生は青春の熱狂を計画にぶつけた。しかし実行直前、山室の秘めた恋心が悲劇を呼ぶ。友情と『八月の犬』は消えたかに見えた。そして24年後、再会した瀕死の親友は、仲間の再結集と計画の完遂を山室に託す。

    「大文字焼き、戌年の来年だけ、
    犬文字焼きになったら面白くないか?」
    P120より

  • 京都の 大文字焼きに「`」をつけて、犬文字焼にしようなんて面白すぎ。
    五山の送り火は死者のために守り継がれきた大事なもの。
    それに「`」をつけようなんて、なんと冒涜した行為だろうかとも思うのだけど、読んでいてワクワクした。
    24年後に再開した彼らは、それぞれの事情を抱えており、あの頃のように無茶を出来る立場ではなくなっているのにそれでも友の為に犬文字焼きを再開するべく奔走するには胸を打たれる。
    とても読了感のよい作品だった。

  • 『八月の犬』。それは京都を彩る『大文字』に「ヽ」を足し『犬文字』にする極秘作戦。
    京都の浪人寮で出会ったかけがえのない仲間たち。1982年、戌年の夏、6人の大学生は青春の熱狂を計画にぶつけた。

  • 『八月の犬』。それは京都の『大文字』焼きに「ヽ」を足し『犬文字』にする極秘作戦。1982年、戌年の夏、6人の大学生は青春の熱狂を計画にぶつけた。しかし実行直前、山室の恋心が悲劇を呼ぶ。消えたかに見えた友情と『八月の犬』。しかし24年後、再会した病床の親友は、仲間の再結集と計画の完遂を山室に託した。

  • 「大文字焼き」を「犬文字焼き」にする、というのは駿台予備校の英語の山口たすく先生(名前を覚えていたことに自分でびっくり)が言っていたことだった。
    同じアイディアを具体的に小説にした感じ。
    予備校で出会った人達が主人公、というのもあまりない話でなかなか面白かった。
    5浪して医学部を諦めた吉村とか、優秀だったのに就職に失敗して精神を病んでいしまった久保田とか
    笑えない苦しい感じが現実味を出しているのだろうか?

    こんなふうに、24年もブランクがあっても
    その人のために何かしようと思えたり、
    集まろうと思えたりする仲間がいるのはちょっとうらやましい

  • 読んでる途中で、夏目漱石の『こころ』を思い浮かべた。勿論、ストーリーは全く違うのだけど。
    私よりひとまわり以上上の先輩達は、こんなに面白い青春をおくっていたのか。
    大泣きはないが、途中鼻がむずむずするよ。

  • この方をテレビで見ますが、こうも素敵な感性と文才のある方だと思いませんでした。社会的はマナーはちょっと抜きにして、心を打つ内容で感激しました。

  • 家族に仕事、老い、そして死と、様々な問題を抱える中年期にあって、心の支えとなるのは、馬鹿馬鹿しくとも輝かしい、青春時代の思い出なのですね

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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