箱の中 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.28
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本棚登録 : 2376
感想 : 240
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062773256

作品紹介・あらすじ

痴漢の冤罪で実刑判決を受けた堂野。収監されたくせ者ばかりの雑居房で人間不信極まった堂野は、同部屋の喜多川の無垢な優しさに救われる。それは母親に請われるまま殺人犯として服役する喜多川の、生まれて初めての「愛情」だった。『箱の中』に加え、二人の出所後を描いた『檻の外』表題作を収録した決定版。

感想・レビュー・書評

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  • おびのりさんがブクログのベストユーザーズアワード受賞ユーザーさんのお薦め本で紹介されていた本。
    おびのりさんありがとうございます!

    BLということでは。私は一穂ミホさんの短編作品をちょっと読んだことがあるだけでほぼ初めて読みました。
    はっきりいって、とても面白く読めました。



    痴漢の冤罪で刑務所に入った堂野と同じ部屋の殺人罪を受けているけれどまるで幼子のような喜多川との関係は喜多川の堂野に対する並みならぬ優しさから始まります。
    二人の関係は刑務所内の公然の秘密です。
    でも、堂野は刑期を終え先に喜多川に住所を教えることなく出所してしまいます。



    以下ネタバレしていますので、これから読まれる方はお気をつけください。





    後から出所した喜多川は全力を尽くして堂野を日本中捜します。
    そしてついに二人の再会。
    堂野と一緒に暮らしたいと刑務所に居る時から言っていた喜多川。
    果たして堂野は年下の女性と結婚して娘の穂花がいました。
    そして堂野も喜多川と友人として付き合いたいと思い、自宅へ食事に招くようになります。
    喜多川も堂野の提案を受け入れ食事に招かれるうちに穂花に気に入られ二人は穂花が大人になったら結婚する約束までしてしまいます。
    また、喜多川は一度死んで、堂野の家の子どもに生まれ変わりたいと言い出し、本当に喜多川の純真無垢さに読むと泣けてきます。

    一体最後はどうなるのだろうと思いますが。
    堂野には妻子を捨てるのはありえないし、喜多川が泣くのもみたくないと思いました。

    多分にネタバレしているのでこれ以上はかきませんが…。

    喜多川が堂野をどうやって捜し出したかは別の短編になっていてミステリー感もあります。
    出所後の二人の関係も別の短編として収録されていて短編が3編です。



    おびのりさんご紹介ありがとうございました。
    おびのりさんが読まずにとばしていいとおそらくおっしゃっている場面は(はっきりどこと言われたわけではありませんが)男性が読むと嫌な感じがするのでしょうね。
    BLというのは三浦しをんさんの解説によると、女性向けの小説なんだそうですね。初めて知りました。

    木原音瀬さんの他の作品は機会があれば読んでみたいです。とてもよかったです。気持ちがあたたくなりました。

    • おびのりさん
      ひまわりMさん、これは後にした方が良いと思われる。
      ひまわりMさん、これは後にした方が良いと思われる。
      2024/03/18
    • まことさん
      ひまわりめろんさん♪

      まだ、読まれてなかったのですか。
      よかったですよ。
      『海の教場』はまだ図書館に行っていないので、もうしばらく...
      ひまわりめろんさん♪

      まだ、読まれてなかったのですか。
      よかったですよ。
      『海の教場』はまだ図書館に行っていないので、もうしばらくお待ちください。リクエスト票をだしてきます。(図書館に所蔵がないので)
      2024/03/18
    • ひまわりめろんさん
      まこっさん

      気長に春を待ちます
      まこっさん

      気長に春を待ちます
      2024/03/18
  • 告知1 : レビューほぼ放棄します。
    告知2: 本作後日談「なつやすみ」二人のその後を
       どうにか手に入れて、読後感に決着をつけ
       ます。

    放棄理由は、腐女子三浦しをん大先輩が、立候補か自己推薦か持ち込みかって、思われるBL愛溢れる素晴らしい文庫解説をされており、全面同意、全面降伏しましたので。しをんさんの「読んだか?」「むろん!」多くを語らずともなのです。

    とはいえ、文庫に関しては、「檻の外」で完結パターンで、全く一文芸作品として成立しています。
    愛情を知らなかった男に与えられた、わずかな愛が、その男の中で人間を形成していく根幹となっていく。そして、育った愛に、理不尽な人生を救われる。人間ドラマとなっています。

    みんみん作品アドバイスありがとうございました。ストーリーレビュー語れなくて申し訳ない。
    ゆーき本さん、ステップアップして沼落ちしてきてね。
    そして、先程ひまわり師匠の本棚見てきたのですが、実は私も、この作品は、本とコさんのレビューからなんですよー。まさかのブクともかぶり。

    注意:土瓶さんひまわり師匠には、この作品はトラウマになりそうですので、お勧めしません。

    • ひまわりめろんさん
      わたしもそろそろ師匠は卒業でいいんじゃないでしょうか?
      7月からは大師匠でお願いします
      まぁわざわざ言わなくてもいいことかもしれませんがね
      わたしもそろそろ師匠は卒業でいいんじゃないでしょうか?
      7月からは大師匠でお願いします
      まぁわざわざ言わなくてもいいことかもしれませんがね
      2023/07/05
    • ひまわりめろんさん
      あ、あと当然「いいね」しませんw
      「いいね」と思ってないので「いいね」しません
      正直者か!
      あ、あと当然「いいね」しませんw
      「いいね」と思ってないので「いいね」しません
      正直者か!
      2023/07/05
    • おびのりさん
      大師匠了解しました。
      大師匠了解しました。
      2023/07/05
  •  初BL(ボーイズラブ)小説、木原音瀬さんも初読みでした。BLとは、(主に女性作者が)男性同士の同性愛を主軸に据えた、主に女性の読者に向けた物語、だそうです。

     正直なところ、BLと聞いただけで拒絶する自分がいましたが、本書を手にしたきっかけは、本作が「BL界の芥川賞」「三浦しをん氏絶賛(解説も書かれてます)」などと高い評価を得ていることが一つ。
     また、一般文芸で優れた作品を書く凪良ゆうさんも、もとはBLからスタートしたこと。加えて、折しもLGBT理解増進法が、擦ったもんだの末、明日6/23に公布・施行という機運も挙げられます。

     男性同士の関係の生々しい描写に、「やっぱりムリ」と言いたくなる部分もありましたが、華やかさや熱愛とは無縁の、痛く切ない現実的描写にぐいぐい惹きつけられます。
     BLというジャンルを超えた、高い文学性を認めざるを得ません。これほど深い世界を描くことができるのだと、感嘆するしかありません。

     「ダ・ヴィンチ」誌上での紹介が2006年、文庫発売が2012年。もっと早く読むべき一冊でした。男性・女性を問わず、BLはちょっと‥という方にほど読んでいただきたい傑作だと思いました。LGBT法ではありませんが、他人事感覚や差別意識は改めたいものです。

     読まず嫌いはもったいない! 未読の方、是非!

    • おびのりさん
      是非、読みます。
      是非、読みます。
      2023/06/22
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      おびのりさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます! 力いっぱいの読みます宣言、嬉しく思います。
      気長に感想をお待ちしてます(^ ^)
      おびのりさん、こんばんは♪
      コメントありがとうございます! 力いっぱいの読みます宣言、嬉しく思います。
      気長に感想をお待ちしてます(^ ^)
      2023/06/22
    • マメムさん
      初コメです。
      気になりますね。探してみます!
      初コメです。
      気になりますね。探してみます!
      2023/08/11
  • 純愛…!
    痴漢の冤罪で刑務所に入った男性。社会問題がテーマだと思いながら読み進めていくうちに、もしかしてこれはBL小説というものなのか、とようやく気がつく。漫画では読んだことがあったけど、小説では実は初めて。そもそも現代の男女間の恋愛小説自体をあまり好んで読まないのだけど、BL小説は男女間の恋愛より純粋に愛情が描かれていて好ましく思った。

  • BL(ボーイズラブ?)というジャンルの小説があるらしい。BLに興味があったわけではないけど、刑務所の中の話ということで読んでみました。
    痴漢の冤罪で実刑判決を受けて刑務所に入った主人公が、房の中で知り合った男性と特別な仲になってしまう話です。
    痴漢の冤罪って結構多いらしい。取り調べの過程で、罪を認めて罰金を払えば釈放されるので、あきらめてそうする人も多いとか?「自分は何も悪いことはしていない、やってないものはやってない!」と頑張り続けて、仕事も恋人も失い、信じてくれた家族は住んでいる家を追われ、妹は婚約を破棄され…何もかも失って刑務所の中でただ、自分の心だけを信じ、刑期を終えて外に出るのを待つだけの日々。徹底的に管理され、自由のない毎日。気が狂いそうになる主人公。最初しばらくは、その辛い日々に共感してしまい、怒りさえ覚える。こんなこと本当にあるのかな…。まさか痴漢の冤罪で本当に何もやっていない人が、最高裁まで争っても無罪を証明できず、実刑になるなんてこと、ないと信じたい。
    そんな日々の中、心を開いた相手に騙されたり、懲罰房に入れられたり、最悪な状況がさらに続く…。
    一人、黙って助けてくれる同年代の男。ぽつりぽつりと語られる彼の生い立ちは、どうも、完全に育児放棄され、閉じ込められた部屋の中に食べ物を投げ込まれて育ったようだ。当たり前の暮らしというものを知らず、刑務所にいれば安心して三食当たり前に食べられるのだからいい、自由が欲しいという考えもない、という男。
    主人公は同情でも愛情でも親切心でもなく、「いや、そうじゃなくて!」てな感じで優しく彼に本当の世界を教えようとする。本を読むことを進め、絵を褒め、人に何かしてもらったらありがとうって言うんだよ、とか、見返りがあるから人に親切にするだけじゃないんだよ、とか、当たり前の人の心をもって接する。
    すると男が、異常に主人公になついてきて、それが究極の愛に発展してしまうのだ。
    同性愛を題材にした作品に人気があるのは、同性愛そのものというよりは、同性であっても惹かれ合うところに「究極性」を感じるからではないだろうか。性とか、立場とか、何もかもを超えて本当に人間として愛するということ。
    ちょっと性描写はきわどすぎるところもあったけど、心揺さぶられました。

  • 病院ってなんでこんなに待ち時間が長いんだろうなぁ。次男の頭痛が頻繁にあるから 仕事を午前休もらって 今 待合室。てか、仕事休んじゃえばよかったな。午後から出社とかめんどくさいな。行きたくないな。 次男とブルーロックの話と伊坂幸太郎の話をしたけど、終了してしまい 今はお互い携帯いじる。



    「箱の中」
    あわなかったな…。
    あわせて収録されている続編「檻の外」は読まずに そっと本棚に戻す。
    あとがきは三浦しをんさん。
    BLについて熱く語ってた。
    次は三浦しをんさんの作品読むのだ。

    • おびのりさん
      うん。入門前に、川端康成の伊豆踊り子のラスト3ページぐらいを受け入れてからは、どうだろうか?
      うん。入門前に、川端康成の伊豆踊り子のラスト3ページぐらいを受け入れてからは、どうだろうか?
      2023/07/03
    • みんみんさん
      さて…おびさんには次何オススメしようか笑
      守備範囲広すぎだし笑
      さて…おびさんには次何オススメしようか笑
      守備範囲広すぎだし笑
      2023/07/03
    • ゆーき本さん
      ラスト3ページが大切なんだ!!
      ラスト3ページが大切なんだ!!
      2023/07/03
  • 作者の本を読むのはこれで2冊目。
    BL界の芥川賞と謳われているらしい。
    「美しいこと」が良かったのでこちらも手に取ってみたが
    あまりハマらず。

  • 木原さんの作品は前に表紙買いをしたのがとても良くて、その後もう1冊読んだ。それらは一般作だったのだけど、木原さんがBL界で有名な作家さんだということを後から知った。
    そして、BLカテゴリでは有名らしいこの本を読んでみたのだけど、ボーイズラブというのも様々なのだろうな、というのが第一印象。
    いわゆる「萌え」のようなものはほとんど無く、どちらかと言うと読んでいて苦しくなる、同性愛者の苦悩みたいなものが大半だったように思う。
    「BL界の芥川賞とも評される」と言われる理由がとてもよく分かる。

    痴漢の冤罪で闘った挙句実刑を受けて刑務所に入った堂野は、刑務所で同じ部屋のメンバーであった喜多川と出逢う。元々無愛想でほとんど言葉も発さなかった喜多川が、とあるきっかけで堂野に懐くようになり、堂野が刑期を終える少し前に(半ば強制的に)性的関係を持ってしまう。
    堂野は刑務所を出た後は痴漢冤罪被害者の互助会で活動しながら、愛する人と出逢い、いわゆる普通の暮らしを手に入れた。
    しかし遅れて刑期を終えて出てきた喜多川は、堂野を忘れることはなかった。

    堂野と喜多川の刑務所時代「箱の中」、喜多川が数年かけて堂野を探す「脆弱な詐欺師」、そして2人が再会を果たす「檻の外」の3部構成。
    元々は「箱の中」だけの作品だったらしい。確かに、この1つだけならよりBL作品らしい雰囲気があったかもしれない、と思う。
    そこに後の2つが加わったことで、より深みのある文学作品に昇華されているように感じた。

    喜多川は不幸な生い立ちから重い犯罪を犯して、おそらくキャラクターを見ると発達障害のような何かを抱えている設定なのだと思う。不器用でぶっきらぼうだけど、とても純粋。だからこそ初めて自分に手を差し伸べてくれた堂野を愛してしまった。これがおそらく女性だったなら、喜多川はその人はことの同じように愛したのだろうと思う。
    堂野は元は異性愛者。どちらかと言うと地味で真面目に生きていた人間が、刑務所で過ごすというしなくても良い経験を通して、真っ直ぐに自分だけを求めてくる喜多川と出逢ってしまった。

    異性愛より同性愛の方が純粋で美しく至高…というイメージはおそらくこういう作品からは切り離せないものだと思う。そういう部分にご都合主義的なものを感じるところはあるものの(実際は同性愛だってドロドロしてる面はあると思うので)物語としてとても面白かった。
    実際喜多川のような男は脅威だけど、でも細部を見ると、相手のことをすごくよく考えた上で動いて気持ちを伝えてくる人間でもあるので、堂野のことを本当に心から想っているのが分かる。
    そこまでの愛情を持てる相手って、人生を通してもなかなかいない。
    もがきながらも距離を縮めていく様子が苦しく、自分の本心と社会性をバランスよく保つのはどんな場合でも難しいと考えてしまう。
    だからこそ喜多川の真っ直ぐさが胸にくる。
    こんな風に自分に正直に生きるのは難しいと分かるからこそ憧れる。読み応えのある作品だった。

  • めちゃくちゃ良かった。
    男性同士の生々しい描写もあるけど、人を想う純粋でピュアな気持ちと、狡くて醜い気持ちとが丁寧に描かれていて、正直、こんなに心を揺さぶられるとは思っていなかった。今年読んだ本の中で一番かも。

  • 痴漢の冤罪で服役した主人公が、殺人の罪で服役中の喜多川と出会い、そこから心の交流が生まれ…二転三転しつつも一緒に生きていくことを選ぶ話。

    主人公・堂野に関して言えば痴漢の冤罪というこの物語のスタートから、嫁の不倫の影響による愛娘の死と、なんと人生ハードモードなことかと読みながら同情心がみなぎってきます。

    喜多川の人生も、それはそれは幼少期より波瀾万丈ですが、愛されたことを知らないがゆえの純粋さと、どストレートな愛情表現に不思議と癒される感じがありました。

    堂野の気持ちが揺れたのは、自分が大事にしてる存在(娘)を同様に(自分以上に??)大切に考えてくれてるのが喜多川だったがという所にあるのかな、と思ったり。
    結局嫁は自分が可愛い感じでしたし。

    ふたりには幸せになってもらいたい^ ^

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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