首無の如き祟るもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.22
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本棚登録 : 2027
感想 : 208
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766456

作品紹介・あらすじ

奥多摩の山村、媛首村。淡首様や首無の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。三つに分かれた旧家、秘守一族、その一守家の双児の十三夜参りの日から惨劇は始まった。戦中戦後に跨る首無し殺人の謎。驚愕のどんでん返し。本格ミステリとホラーの魅力が鮮やかに迫る。「刀城言耶」シリーズ傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • やばい…
    背筋がゾワッとした…((((;゚;Д;゚;))))

    ホラー好きの私としてはもう最高のラストです!
    三津田信三天才!!

    奥多摩にある媛首村では淡首様の祟りや首無の化物の言い伝えがある。
    古くからある旧家、秘守家の一族では、男の子が育ちにくい。
    双子の十三夜参りの日、恐れていた悲劇が起こる。
    これは事故か、首無の呪いか…。
    刀城言耶シリーズ第3弾です^ ^

    帯に、
    「本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト 1997-2016」「この20年間で最高傑作!」
    とありました。
    いやもう確かに。
    私のど真ん中を貫いてきました。
    前作、前々作とはまた違う、新たな驚きと面白さ!

    『首無しの如き祟るもの』のタイトルから、首無しという事は、ミステリー好きにはやはり色々推理しちゃうわけですよ。
    仮面的なマスク的なアレ系統かな〜とか。
    そうやって構えていても相手は何枚もウワテw

    1590年、豊臣氏により攻撃を受けた媛神城。
    淡媛は隣国に逃げるが山中で首を斬られ殺される。
    それ以来奇妙な出来事が相次ぐため、媛鞍山に石碑を建て祀られる。
    この媛首塚は淡媛と御淡の二祀神であり、淡首様と呼ばれる。
    以来、媛首一族・一守家の長男は成人する前に命を落とす事が多い。

    このような言い伝えが閉鎖的な村には数多く残り、その性質を最大限に活かしたトリックを扱い、かつ怪談話で登場人物の精神状態が恐怖に偏ってしまうという心理的なトリックも操ってくる。

    第二次世界大戦を跨がり事件が起こるのですが、徴兵制により出兵していく一族もおり、この戦前戦後の時代背景も重要な役割を担う。

    作中作形式で、作家目線であるのと、駐在の警察官、一守家の使用人の3人の目線で物語が進行していくのだが、なるほど、そう言われればそうだと納得する罠が仕込まれていて驚愕です。

    3作読んで思ったのが、山や村や一族の名称にとてもセンスが感じられ、由来の漢字に重要な意味が込められていたりする。
    とても美しい.☆.。.:*・°

    どの作品も素敵ですが、読むたびに面白さが上書きされていくので、この先どうなってしまうのか楽しみで仕方ない。
    読み終わってしまうのが寂しい反面、早く読みたい欲が疼いてたまらない〜!!

  • 傑作。
    媛首(ひめかみ)村では秘守(ひがみ)一族が村を束ねており、その一族は一守(ひとがみ)家、二守(ふたがみ)家、三守(みかみ)家と3つに分かれる。そして一守家がその中でも一番の権力を持っていた。

    そしてこの土地には淡首(あおくび)様という存在が祀られており、秘守家を守ってもいるし、祟ってもいる。秘守家の後継は何も問題がなければ一守家の男が後を継ぐことになっている。しかし、淡首様の祟りにより、一守家の男子は代々病弱で若くして亡くなることも多かった。一守家の長男、長寿郎も一族が見守る中成長していく。

    そして13歳の歳を迎えた時に行われる、十三夜参りという儀式の最中に長寿郎の双子の妹、妃女子(ひめこ)が死体となって発見される...。淡首様の祟りなのか、後継の長寿郎を狙った二守家か三守家の誰かが間違って襲ってしまったのか...。結局事件は未解決のまま時は流れる。

    そして10年後...23歳になった長寿郎の花嫁を決める婚舎の集いに3人の花嫁候補が出席する、しかしそこで候補の一人が首無し死体で発見されたのを皮切りに次々と首無し死体が発見され、連続殺人事件へと発展してしまう...。今回の事件も未解決のまま過ぎ去ってしまうのか。

    あらすじを簡潔にしてみたのだけど、実際は他の登場人物もいたり、事情は複雑。謎が謎を呼び、「もうわけがわからない...」という状態に。こんなに散らかってまとまるの!?と思うのだけど最後のまとめ上げは圧巻でした。ボリュームも多く、媛首村の歴史から秘守家の話、最初の事件から10年後の事件...そしてそれを振り返る語り手...とながーい時の流れがあるのだけど、このラストを作るためだったんだ!と納得の内容。ミステリーでもあり、ホラーでもあり1冊読んで2倍楽しめる。僕には刺さりまくりの作品でした。

  • ラストのどんでん返しがすごいです。
    最初から犯人探して下さい的なスタンスで、物語が始まります。
    身構えて読み進めたが、犯人はわからず、騙された〜!

    ただ、個人的には作中作の形式の物語なので、没入感が薄れてしまいました。。

  • 刀城言耶シリーズ第三長編。そして最高傑作。読む以前から評価は聞いていたが、ここまでとは。ページを捲るごとに現れる謎、謎、謎。どんでん返しに継ぐどんでん返し。全ての謎が解け、真相が明らかになったとき、最高にスカッとした。読んでいない人は絶対に読むべきである。

  • とにかく凄い。ここ最近読んだ中ではNo. 1です。
    謎が謎を呼びとにかく謎。
    いやー全く気付けなかったです。

    謎は最終的に刀城?がすっきり解決してくれます。


    このシリーズ終わり方が本当に好き。
     

  • 確かに推理が二転三転し、最後にどんでん返しという形ではあるが、首なし死体が続くということでどうしても先が読めてしまった。
    井戸や風呂場で首なしと遭遇する場面の描写はゾッとしたし、ホラーとしては良かった。
    作中、事件を振り返ることが何度もあってなかなか話が先に進まず、読むのに時間がかかった。
    各キャラクターは個性があり面白かった。

  • たった一つの誤認により、全ての謎がスルスルっと解けていく。しかもその真相の元となる伏線が本当に巧妙。質はもちろんだが、数も尋常じゃない。
    そして終わりかと思いきや、もう一度のけぞらされる。
    そしてそして今度こそ終わりかと思いきや、みたびひっくり返される。
    まさにどんでん返し。

    二つ目の犯人は斧高という説を唱えること自体が(それを受けた反応が)伏線になるというのも見事。

    K.M氏の某作品のせいで兄弟間の性別の入れ替えにはあまり驚くことが出来なかったのだが(見破る根拠は秀逸あうぎる)、それでも性別誤認と入れ替わりを駆使したトリックには脱帽させられる。
    「毬子の死体に偽装するために裸にした」
    「服を手に入れるために蘭子を殺した」
    というのも巧い。
    他にも「編者の記」や首無し死体講義など、見どころを挙げたらキリがない。

    少しご都合主義なところもあるものの、伏線回収や終盤のどんでん返しは素晴らしく、「首無し死体のよる入れ替わり」トリックの最高峰といえる。


  • 2021/1/28

    ホラーテイストミステリー。

    ホラー要素が最後に全て種明かしされて冷める感じがこの手の話のありがちなパターンですが、この作品はそれが上手いこと回避され謎のまま終わっててすごいと思います。

    ミステリー要素の部分も真相が二転三転してついていくのが大変なくらい。読み応えありました。

  • 東西ミステリーベスト100から62位の本作を読了。本格ミステリの定番と言える"首無し死体もの"です。

    結露として僕にはハマりませんでした。☆×2.7くらい。

    首無し死体(と成りすまし)、名家での本家と分家の対立、双子、隠し子、密室殺人、田舎の因習、探偵(推理作家)、作中作、叙述トリック、アナグラム等々色々と本格ミステリーの"あるある要素"がふんだんに盛り込まれています。


    、、、とこの辺の"アイテム"は横溝正史(=本格ミステリ)の真っ当な後継作品として位置付けられるでしょう。


    ただ、肝心の謎解きパートがイマイチスッキリしないまま終わってしまった印象です。


    双子の男女入れ替わりは設定としてちょっと無理が有る気がします。加えて細かい描写で、"〇〇がこうゆう行動を取ったのは✕✕だったから"、、、と色々と説明しているのだけれど、何かピンと来ず。


    あと長いです。戦中の事件の冒頭が擬古文みたいになってて重かったです。

  • 本当は★★★★★★。
    久しぶりにミステリらしいミステリを存分に堪能しました。

    関東の奥多摩の奥深く媛首村(ひめかみむら)での神事で起こった事件。それを機に過去からの因縁に呪われたように発するさらなる事件。さて、その真相は。

    「淡首様(あおくびさま)」という祟り神を祭り、「首無(くびなし)」という怪異を畏れる村で起こる殺人。横溝正史的な世界観のフレームでありながら、骨子は新本格という傑作。
    『首無の如き祟るもの』というタイトルから、ミステリがお好きな方なら「ははぁーん、あのネタかな」と察するところはおありでしょうが、そう一筋縄にはいかないところが嬉しい。
    一応、僕もセオリーに則っていろいろ考えるのですが、それではあれとあれが繋がらない。ご丁寧に作中でも探偵小説講義として、ひとつひとつの可能性を検証し潰していってくれるのが歯痒くもあり面白い。

    しかし終盤、オセロの単純な一手によって、真っ黒だった盤面がパタパタと音を立てて、一面真っ白に裏返ってゆくような快感。やられました。

    ホラーとミステリのバランスも絶妙ですが、おどろおどろしいムードが単なる雰囲気作りではなく、ミステリの肝に必然的にリンクしているのがいい。解釈としては怪奇的に思えるエンディングも、きちんと考えればロジカルであるのもすばらしい。

    『宝石』『ロック』『ぷろふいる』や『江川蘭子』など、探偵小説好きにはわくわくするキーワードもいっぱい。雰囲気、伏線、トリック、どれをとっても抜群。
    三津田信三のこのシリーズ。遅ればせながらいいものに出会いました。ドキドキしながら追っかけてみようと思います。

    • 峨眉書房さん
      ミツバチのささやき、実は私も入手できていません。もし先に観られたら、是非感想お聞かせ下さい。★6つ。良いですね~ミステリらしいミステリ。この...
      ミツバチのささやき、実は私も入手できていません。もし先に観られたら、是非感想お聞かせ下さい。★6つ。良いですね~ミステリらしいミステリ。この本の題名もメモさせて頂きます。何冊も教えて頂きありがとうございました。
      2012/11/16
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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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