泣き虫しょったんの奇跡 完全版 サラリーマンから将棋のプロへ (講談社文庫)
- 講談社 (2010年2月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062765824
作品紹介・あらすじ
あきらめなければ、夢は必ずかなう!中学選抜選手権で優勝した男は、年齢制限のため26歳にしてプロ棋士の夢を断たれた。将棋と縁を切った彼は、いかにして絶望から這い上がり、将棋を再開したか。アマ名人戦優勝など活躍後、彼を支えた人たちと一緒に将棋界に起こした奇跡。生い立ちから決戦まで秘話満載。
感想・レビュー・書評
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将棋のプロ、棋士になる道は険しい。奨励会と呼ばれる将棋のプロを目指す者がしのぎを削る場所に入会し、そこで勝ち抜いていかなければならない。奨励会には、現在ではたいていの場合、小学生の間に、5級あるいは6級で入会する。その後、4・3・2・1級から初段・二段と昇級・昇段していった先には、最後にして最大の関門である三段リーグがたちはだかる。三段リーグは年に2回開催され、それぞれの上位2名のみが四段、すなわちプロ棋士になれるという仕組みである。すなわち、年に4人しかプロ棋士になれないのである。また年齢条件があり、26歳までにプロになれない者は奨励会を退会しなければならないという決まりがある。
本書の筆者、瀬川晶司は奨励会に入会するが、残念ながら26歳の年齢制限にひっかかり、いったんはプロ棋士の道をあきらめざるを得なくなる。その後、大学に進学し、就職し、アマチュアとして将棋を再開した彼は、アマチュアの世界でのトップ棋士となり、プロとの対局にも大きく勝ち越すようになる。一時はプロとの対戦の勝率が7割を超える状態となる。そのような状態の中、周囲の声にも押され、また、自らも望み、瀬川は将棋連盟に対して、例外的にプロ棋士としての途をつくって欲しいという嘆願書を提出する。その嘆願が通り、瀬川はプロ棋士6人と、3勝以上プロ編入認定という条件で対局を行い、無事に3勝をあげ、プロとなる。
本書は、瀬川の生い立ちからプロ棋士になるまでを自ら綴った物語だ。色々なドラマがあるが、私にとっての一番のドラマは瀬川の三段リーグ挑戦と挫折だ。26歳になるまで、ある意味で、将棋に人生を賭けてきた者が、その賭けに敗れる。これはかなり残酷だ。
瀬川の人柄か、三段リーグでの挫折以外の部分は、ほとんど暗さや悲壮感を感じない本。爽やかな読後感がある。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
プロ棋士になるための奨励会に入ったが年齢制限のために退会することになり、会社員として働いていた瀬川晶司さんが失意から夢を取り戻し、プロ編入試験に合格するまでのお話。
当時プロ編入試験で棋士になったのは、1944年に特例で受けられた花村元司九段しかいなかった。
制度化もされておらず、奨励会で三段リーグを勝ち残った人だけがなれる世界だったんだけど、年齢制限という大きな壁があり今までも沢山のドラマが生まれてきた世界。
この本にも三段リーグだけではなく、色んなドラマがあって何回か涙ぐんでしまう場面だったり、「えっ⁉︎」って思わず声を出してしまうシーンもあった。
そして、何より夢を追いかけていく姿に感動。
私でも知ってるような有名な棋士の方たちが沢山出てきて、その方たちのエピソードも面白かった。
将棋を知らない人でも十分楽しめると思うし、他の将棋の本もまた読みたくなったよ。 -
回り道をしたからこそ得られる強さがあるのだと感じた。人生に意味のない事などないのだ
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真っ暗な日々を過ごしていた時にお世話になっている方から何も言わずに手渡された本。
すごい人。
…何故だろう。なのに身近に感じるのは。
自分のの日々の仕事/夢で小さい何かができるのでは?
そんな風に思わせ、行動させてくれたこの本に感謝。将棋を全く知らない自分にも届いてますよ、瀬川さん! -
瀬川先生素敵
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次どうなる?どういう人生になる?これが途切れることなく数時間で一気に読みました。終盤、胸が熱くなり、込み上げてくる場面がいくつもありました。再挑戦できる世の中、やり直しができる世の中。しくみや制度を変えることで歴史は変わり、救われる人もいれば、立ち直る人もいます。こんな世の中になれば幸せが広がると思います。
読み終えた翌日、藤井聡太棋士が「名人」を獲得し七冠も達成しました。拍手! -
名作。瀬川プロの半生をふり返る。
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子供版を読んだ。普通の子が特別になるきっかけを与えた先生の話に感動した。
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2020年10月31日 読了