いのちのバトン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.16
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本棚登録 : 137
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764094

作品紹介・あらすじ

親子関係にトラブルをきたしている人、障害のある子どもを育てている母親、自閉症児、そして末期ガンを患う人……大きな苦しみを抱えて孤独に陥った人のかたわらで、そっと耳を傾けるカウンセリング。痛む心に人と自然とのつながりを取り戻したり、悩みに支配された心の中の整理整頓を手伝うバースセラピストによる、心に沁みるエピソードの数々。読んでいるうちにしずかに心が癒される、奇跡のエッセイ集。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • 自分の悩みの小ささに気づきました。もっと、感謝できることがたくさんあるなと。

    でも、目を背けていた自身の問題にも気づきました。無視し続ければいずれ後悔しそうなことに。
    その問題にどう対処すればよいかはわからないけれど、ヒントを求めて、季世恵さんの本をもっと読みたくなりました。

    人が生まれること、人とともに生きること、人生を締めくくること。「生」に関わるあれこれを考えさせられます。季世恵さんがバースセラピストを名乗ることにも納得です。

  • 146.8

  • 1.この本がテーマとしている問題提起はなにか? どんな問題を提示し、どんな解決方法を提案しているのか?
    死ぬ事と生きる事は反対のようで反対でない。誰かの大切なものや想いを引き継いで人々は生きて、死んでゆくのである。人間の人生はその繰り返しでできている。心身の問題や家族の問題を抱えていても、考え方ひとつで幸せになれる。辛い境遇におかれてもそこに誰かが寄り添っていてくれればいのちのバトンは繋がっていく。

    2.この本はどのように始まり、どのように終わったか?
    筆者からみた患者さんとのやりとりが描かれて始まり、患者さんと向き合う中で、最終的には筆者の心を整理する形で終わった。

    3.あなたはこの本から何を学びたいか?
    私が生きてる理由って何だろうということが知りたかった。誰かの役に立てる訳でもないのに、守るべき存在もいないのに、ただ自分のために生きているのがもの悲しくて、そんな時どうしたらよいのか知りたかった。

    4.この本が同じジャンルの他の本と似ている部分、違う部分はどこだろう?
    論理に基づかない点、「こうしたらよい」という手本が載っている訳ではなく、すべてが実体験に基づいている。

    5.この本はなぜ重要なのか?この本のタイトルは内容と合っているだろうか?あなたが本のタイトルを付け直すとしたら?
    悩んでいる人や辛い境遇に向き合えない人たちが生きる、もしくは周りを生かす方向にマインドセットできる本だと思う。「いのちのバトン」以外のタイトルだとしたら、「かけがえのないたからもの」など

    7.この本のキーポイントやコンセプトはなんだろう?
    生きることと死ぬこと。どんな境遇でも周りの人とともに幸せになること。自然や大地も私たち人間の母親であること。

    8.本の書き出しをチェックして、作者は読者を引き込むためにどんなトピックを展開しているか?
    時系列に状況を描写することでイメージしやすくしている。

    9.本で扱われているビジュアル要素……チャート・地図・ラベル・グラフ・写真・図解から何を学んだか? それらの要素からどんな種類の情報を得ることができたか?
    あまり挿絵は多くなく、事実が淡々と述べられている。

    10.著者は読者に対してどう考えてほしいと思っているのだろうか?
    どんな時でも誰かが力になってくれる、だから「助けて」って言ってほしいと考えていると思う。方の力を抜いて周りをよく見て自然の中に自分がいる事をもう一度見つめ直してほしいと考えていると思う。

    11.人に勧めるとき、どの章のどんな情報を1番に取り上げるか?
    がんになり人工肛門をつけた岡田さんが筆者と一緒に山に登り一緒にお墓をつくって入ったこと。

    12.作者はこの本を面白くするためにどのような工夫をしているだろうか?
    筆者が引き継いだ命のバトンが筆者の関わった患者さんたちに広がっていく様子を時系列に示していると思う。

    13.作者の主張のどこに賛成できるか? その理由は何か?
    誰にでも「素敵なことを感じる心」が備わっていて、その人の心をときほぐすことで本来の心を取り戻すことができるという考え方。

    14.テーマを説明するために作者がどのような事例を出しているのか? 興味深かった例は?
    自分にとってもしかしたら今悩んでいることに近いもしくは将来悩むかもしれないような事例を出している。子どもを望まない妻が、夫が下半身付随になった際にパニックになり夫に対し元気になるような声かけができなかった事例で最終的に妻の心境が自然と変化したこと。この妻は本当は子どもを望まないのではなく誰かに愛されたい守ってほしいという気持ちに気付いて欲しかったのではないかと思う。

    15.この本を読んでいるときにどんな感覚になったか?
    セラピーというのは個人的には非科学的な精神療法という印象である。一方で薬物療法ではなく患者の心に寄り添い耳を傾けて状況を整理することが多くの人にとって助けになるように感じた。

    16.この本で最も重要な一文はどれかその理由は何か?
    「ほんとうの奇跡」だと思う。末期がんの患者が生き延びることだけが奇跡とは限らない。わかりあえなかった姉妹がお互いに許しあえる瞬間が生きている間におとずれたこと、そういう奇跡をもっと大切にしたいと考えたから。このバトンを受け取った娘はどんなに救われただろうと感じたから。。

    17.本の内容を振り返って、自分にとって一番刺さった箇所はどこか?
    チック症の女の子が筆者の家族とのふれあいをとおして母親への固執を弱めていった箇所。私にとって個人的に家族との関係性が今の自分を作っていると感じているため。 

  • 不治の病や過酷な状況にあって、人は自分や過去を責め、壊れていくが、どんなときでも小さな幸福を見つめ、少しでも前に進む。そうすることで、死、からはじまる何かが生まれる。過酷な状況ではない自分からは正視し難い状況でも、心を前向きにできるのが本当にすごいし、尊い仕事だと思った。

  • この本を読み終わるまで何度泣いたことか、泣き過ぎて人様の前で読めない。
    昔『普通の人々(オーデナリーピープル)』という俳優のロバートレッドフォード監督の映画があり、映画の初めに『普通に見える家庭でも事情はそれぞれに異なる•••』と始まる。本当に何も問題の無い家庭はまず無い何か抱えている。それとともに誰か支えてくれる応援してくれる人がいたら何とか人は生きていけるものだが•••
    志村さんはそんな応援団員の一人として、絶望の淵にいる人に寄り添って来た人。
    自分が産んだ子供を幼い時無くしたり失ったりする女性は世の中少なくない。私の姉も生まれて間も無く少し目を離した隙に寝返りを打って窒息死してしまい次女を亡くした。彼女のせいではなくても、何で、何で•••と自分を責め続けたに違いない。本の中には子供を亡くして不治の癌になって絶望を味わっている女性の事が書かれている。私の姉も次女を亡くし、60歳で癌で亡くなった。自分のお腹を痛めた子供をなくした女性の気持ちは男には分からない別次元のものと思う。大好きな姉だったのでとても悲しいのは勿論だったが、もっと志村さんのように寄り添う事ができなかったのかと涙が止まらない•••

  • ダイアローグ・イン・ザ・ダークを日本で立ち上げた方の奥様の本。
    仕事を通じて出会った方々とのストーリーを話にしているので、非常に読みやすい。
    一つ一つの自分の目の前で起きる出来事を大切にして過ごそうと感じることができる1冊。

  • 皆さんは日頃、人の生死に関わることがあるだろうか。人の生死に関わってみると、人がいかに尊いかを理解し、また感動を覚えることも少なく無いと思う。だが、医療関係者や、身近にそういったような境遇の人がいない限り生死に関わることはまず無いだろう。この本は、そんな人たちのための、あたかも人の生死に立ち会ったかのような体験をさせてくれる本である。
    「いのちのバトン」は小説家が書いたのでは無く、重篤な病気を持つ患者や精神を病んでしまった患者などの気持ちを、少しでも軽くすることを仕事とする「セラピスト」という職業の方が書いたものである。だからといってはなんだが、皆が想像するような上手い言い回しなどは無い。しかし、数々の患者と関わり、生死の現場に立ち会ってきた体験から来る言葉は一つ一つが現実味を帯びていて、自分もそこにいるかのように、物語に引き込まれていく。
    私はあえてここまでしか書かない。興味が湧いたら、是非手にとってみてほしい。

    そんぷー

  • いのちの誕生と死。
    どちらも両極端なところに存在しているのに、どこかつながりがあると感じています。

    【感想・コメント】
    バースセラピストという仕事をしている著者。
    患者さんのセラピーを行った時の7つの生死の実話。
    バースというのは「誕生」と「死から生まれるもの」の二つのこと。
    色んな形の幸せ。奇跡とは病気が治ることだけではない。
    今の自分の環境がどれだけ奇跡的なことなんだろうと思います。
    風が気持ちいいとか、キンモクセイがいい匂いだなあとか、口に入れたものを味わって
    美味しいなあと感じること一つ一つを幸せと感じたいと思います。
    大事な人が病気になった時は絶対もう一度読み直したいです。
    その人に対する接し方や考えが絶対に変わると思います。

  • ちょっとした幸福を積み重ねて毎日を過ごそうと思った。

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著者プロフィール

1962年、東京都生まれ。バースセラピスト。一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ代表理事。ダイアログ・イン・ザ・ダーク理事。心にトラブルを抱える人のメンタルケアおよび末期癌を患う人へのターミナルケアが医療者からも注目を集めている。視覚障がい者、聴覚障がい者、後期高齢者とともにダイアログ=対話のソーシャルエンターテイメントを開催するダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」を主宰。著書に『さよならの先』『いのちのバトン』他、茂木健一郎氏や内田也哉子氏との共著もあり。2023年2月に最新刊『エールは消えない -いのちをめぐる5つの物語-』(婦人之友社)が発売。

「2023年 『暗闇ラジオ対話集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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