ABC<阿部和重初期作品集> (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763158

作品紹介・あらすじ

周到に張りめぐらされた言葉が、不穏な予感を暴発させる-デビュー以来、日本文学の最先端を疾走し続ける阿部和重の危険な作品世界は、いまや次々に現実となっていく。今だからこそ読みたい初期の傑作6作品。3人のゲームクリエイターによる語り下ろし特別座談会"阿部和重ゲーム化会議"を巻末に収録。

感想・レビュー・書評

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  • 新潮から出ている「ABC戦争」と「無情の世界」がそのまま合わさっている作品集。特に「鏖」とかもう何回も読んでるんだけど面白すぎる。
    全作品にやにやしぱなっしで読み切った。
    無人島に1冊持ってくならこれ。

  • *「ABC戦争」:こんなに文章読みにくいページターナーってありますか?実質スケールの小さい『オーガ(ニ)ズム』では?とも思う。ああ戦争ってこんな感じで始まるんだろうなあ、突如「記録残しとこ」と思い立ち鉛筆握る人があらわれたりして…。だからと言って、鋭い寓話で終わらず、きっちり「なんなんだよ(苦笑)」と思わせる展開が好きでした。
    *「公爵夫人邸の午後のパーティー」:レザボアドッグスっぽい。女子高生ジュンコが制服に毛皮のハーフコート羽織ってバイクにまたがる場面が映画的なかっこよさに満ち満ちてうっとりした。
    *「無情の世界」:これを一番先に読んだ。端正さ?で言えば一番なのかな、短いし。どの作品もそうだけど、スラップスティックな意識の流れがとても面白かった。
    *「鏖(みなごろし)」:あっ、そんなみなごろし?という結末。わたしの愛してやまない「ミステリアスセッティング」につながる何かを感じた。挿入歌Have You Never Been Mellow(笑)。ミステリアスセッティングのときは、ここでキンクス流すの反則では?(大好きです)ってなったが、今回はいや反則何が悪い?と開き直れます。ファミレスのシークエンスはやっぱりタランティーノっぽくて退屈しながらワクワクした。
    『オーガ(ニ)ズム』のときも、スラップスティック加減に黒沢監督の『ドッペルゲンガー』『セブンスコード』あたりを想起したのだが、この初期作品集もそんな感じでめっぽう楽しかった。増大する自意識VS無駄遣いされる血や痛みや肉体、っていうのが今のこの自宅生活に妙にはまってなんだか癖になりそうなので、再読も含めて阿部作品を初期からたどってみようかとも思ってます。
    それにしても、黒沢監督前/後で、自分の映画・小説の感受性が大きく変わったのを実感していて、この年齢になって新しく好きと思えるものが増えるのはほんとうにありがたい(そのいっぽうで許容できないものも増えたから実質プラマイゼロなんだけど)

  • 2009/04/15:「ABC戦争」「公爵夫人邸の午後のパーティー」「ヴェロニカ・ハートの幻影」のみ読む。

  • 恐ろしく読みづらい。
    ので、読む気になれないのでギブアップ。

  • ABC戦争は最初っから読みにくく、わざとまわりくどく書かれた文章であり、書いた本人(阿部和重ではなく、作品に想定される筆者)はこの文章をどこかの媒体に発表することを想定せず書きなぐったのだという印象さえ受ける。もちろんこの難解な上に別に変わったことは言っていない文体・表現の仕方に意味がないのなら、読む必要はない。しかし、意味があるからこそこの作品は読まれていて、しかし僕にはその意味がわからないからもどかしい。

    ABC戦争に出てくる「〈戦争〉とは、それを語るものをも−〈戦争〉をおこなうものたちが追いやられるところとはべつの−「悲惨」な場へと送り込むなにかのようである」という言葉があるが、僕は安直にその中の〈戦争〉を〈文学〉に置き換えてみた。
    悲惨、つまりエンターテイメント作品ならわずか数ページで行うような内容の事件の始まりを100ページも割いて、まわりくどく書くという悲惨、それをこの小説では表して、文学を皮肉っているのかと思うのだ。それなら、この下手な文体にも説明がつく。
    最後の手記の作者と筆者の会話になにかの鍵があると思うのだが、それを使うことによってどの扉が開くのか僕にはわからない。そもそも扉なんてあるのかな。

  • ABC戦争はちょっと辛かったけど、最後の三本「トライアングルズ」「無情の世界」「鏖」がとても良かった!「鏖」は映像化のキャストまで勝手に考えてしまいました。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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