厭魅の如き憑くもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763066

作品紹介・あらすじ

神々櫛村。谺呀治家と神櫛家、二つの旧家が微妙な関係で並び立ち、神隠しを始めとする無数の怪異に彩られた場所である。戦争からそう遠くない昭和の年、ある怪奇幻想作家がこの地を訪れてまもなく、最初の怪死事件が起こる。本格ミステリーとホラーの魅力が圧倒的世界観で迫る「刀城言耶」シリーズ第1長編。

感想・レビュー・書評

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  • おもしろいっ!!!!

    魅力的な要素が沢山詰まったホラーミステリー。

    閉鎖された村
    対立する一族
    宗教
    不気味な言い伝え
    背筋がゾワッとする文章
    怪死事件
    衝撃のラスト

    こんなの間違いないに決まってるっ(*´﹃`*)

    戦後の昭和、神々櫛村に存在する2つの旧家、
    憑き物筋の谺呀治家と、非憑き物筋の神櫛家。
    この村には昔から神隠しや奇妙な言い伝えが存在する。
    怪奇作家の刀城言耶は、村に纏わる奇怪な言い伝えや憑き物落としについて調べるため現地を訪れるも、謎の怪死事件が起きてしまう。

    まず1番に、ホラーなんです。
    私、ホラー大好きなんです。
    夥しい血やグロテスクな殺戮魔も好きなんですが、これは後ろを振り向くのが怖くなる鳥肌ホラーです。
    神々櫛村の地形やいびつな道筋で、何かが見え隠れしたりしなかったり…
    逢魔が刻から人気がなくなり、しーんと静まり返った道の前方に女の子が…
    あの世界観…!((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

    そして、ちゃんとミステリーなんです!!!
    ここです!わたしが惚れたトコ!

    大抵、この手のホラー映画って、ラストは霊媒師や霊能力者が大決戦してお祓いして終わりません?
    これ、違うんです。
    ちゃんとミステリーなんです。
    そこが魅力なんです!

    これ以上は申しませんが、私の中でTOP10に入れたい作品です^ ^
    今まで出会えなかったなんて…。
    危ないところだった…ふぅ。

    • Kaniさん
      わぁ!!嬉しい\(^o^)/
      ホラーお好きですかっ?!
      これ、ホラーもミステリーも、程よい塩梅なんです。
      是非あの世界観を堪能していただきた...
      わぁ!!嬉しい\(^o^)/
      ホラーお好きですかっ?!
      これ、ホラーもミステリーも、程よい塩梅なんです。
      是非あの世界観を堪能していただきたいっ♡
      2022/04/13
    • akodamさん
      師匠お薦めの作品、読まない理由が見当たりません!
      ありがとうございます^ ^
      師匠お薦めの作品、読まない理由が見当たりません!
      ありがとうございます^ ^
      2022/04/13
    • Kaniさん
      師匠なんてとんでもないっw
      私の事はお気になさらず、評価はいつも通り素直な心で付けて下さいねっ^ ^
      今朝早速、続編ポチっちゃいましたw
      本...
      師匠なんてとんでもないっw
      私の事はお気になさらず、評価はいつも通り素直な心で付けて下さいねっ^ ^
      今朝早速、続編ポチっちゃいましたw
      本日中に届くハズ…
      Amazon様々ですわ〜
      2022/04/13
  • 三津田信三さんが好きで、ずっと気になってた人気シリーズ刀城言耶(とうじょうげんや)第一作目!

    寂れた村で起こる怪異事件を軸に物語が続きますが、途中途中で本物の怪異に出会ったりとホラー感もあり、読み応えがあって面白かったです。
    なんとなく横溝正史っぽいかな?と思いました。

  • 探偵は作家刀城言耶。憑き物信仰の因習の残る村。死体がカカシ様姿の連続殺人事件。刀城の推理で事件は解決するが,合理的に解けない謎を"怪異"として残すのが一興。

  • 「わたしをぉ、殺したのはぁ......おまえだよっ!!!」
    「ぎゃー」

    こんな怪談が子供の頃に流行ったが、犯人指名のシーンで次の頁をめくった瞬間、この感覚に似た驚きと恐怖を味わった。

    神々櫛(かがくし)村。
    代々、憑き物筋でありながら同時に憑き物落としを取り仕切る谺呀治(かがち)家と、それに対抗し村を二分する力を持つ神櫛(かみぐし)家。
    村中の至る所に立てられ畏れ崇められている「カカシ様」
    そして正体不明の最も忌まわしき憑き物、厭魅(まじもの)。
    神隠しの噂の絶えないこの村を怪奇小説家の刀城言耶(とうじょうげんや)が訪れた時、不気味な連続怪死事件の幕が上がる。

    『首無の如き祟るもの』が抜群に面白かったのでシリーズ一作目に手を出したのだが、これがまあ怖い。初期の作品なので文章に若干の読みにくさは感じられるものの、それがより気味の悪さを引き立てているのかもしれない。
    村の名前や屋号の仰々しさ、文字は違えど代々同音で「サギリ」と読ませる巫女の一族など、虚構と現実のバランスが横溝正史が4:6なら、三津田信三は6:4。僕らの住む世界と地続きのようでありながら「ここではないどこか感」が漂ういい塩梅。

    村での出来事が、谺呀治家の紗霧の日記、刀城言耶の取材ノート、神櫛家の漣三郎の記述録の視点から語られ、読者はその全体像を俯瞰する形となる。
    走りながら考えるタイプの刀城言耶の、いい意味での迷探偵っぷりに最後までドキドキさせられ(本人には探偵の意識はなく、作中でも指摘されるゴーストハンターの役回りのようだが)、アッと言わされる。犯人は予想の範疇ではあったが(とはいえミステリを読む時は全てを疑ってかかるので当然なのだが)真実に震え上がった。

    ミステリとホラーの融合という難しい試みを成功させているこのシリーズ。ミステリ部分での面白さは『首無』にやや軍配が上がるが、ホラー部分では断然こちらが上。
    全体的な雰囲気はもちろんだが、全ての可能性を論理的に排除した後に残る恐怖。うまいなぁ。

    刀城言耶シリーズ、これからも追いかけていきたいと思います。

    • kwosaさん
      九月猫さん!

      コメントありがとうございます。

      『星降り山荘の殺人』については、実は主要人物に関するかなり重要なネタバレで(泣)
      でも、頑...
      九月猫さん!

      コメントありがとうございます。

      『星降り山荘の殺人』については、実は主要人物に関するかなり重要なネタバレで(泣)
      でも、頑張っていつか読んでみます。

      司凍季さん情報ありがとうございます。
      いろいろ調べてみたのですが、これまた二作目の『蛇つかいの悦楽』(文庫改題『蛇遣い座の殺人』)が面白そうですね。
      でも、まずは一作目ですね。

      僕も横溝正史、そして横溝テイスト大好きなんですよ。
      まさにちょうどいま、横溝正史の『蝶々殺人事件』に取りかかっているところです。
      ひさびさの横溝作品ですが、いやあこれは面白いですよ。

      『わたしのマトカ』最高ですよね。
      もちろん『グアテマラの弟』も読みますよ。
      初めてのエッセイとは思えぬ、片桐はいりさんの文章力。
      いっきにファンになりました。
      「面白い、最高、読んでー」って気持ちはあるんですけど、なかなかレビューが書けずにいます。
      2013/07/02
    • 沙都さん
      kwosaさん

      コメント失礼いたします。

      『「わたしをぉ、殺したのはぁ......おまえだよっ!!!」
      「ぎゃー」

      こ...
      kwosaさん

      コメント失礼いたします。

      『「わたしをぉ、殺したのはぁ......おまえだよっ!!!」
      「ぎゃー」

      こんな怪談が子供の頃に流行ったが、犯人指名のシーンで次の頁をめくった瞬間、この感覚に似た驚きと恐怖を味わった。』

      このレビューが本当に的を得ていると思います。自分もこの本を誰かにすすめる機会があれば、この言い回しをぜひともお借りしたいところ…

      kwosaさんおススメの『首無~』の方もまた読んでみますね!
      2015/05/14
    • kwosaさん
      とし長さん

      コメントありがとうございます。

      ほんと、怖かったですよねぇ。
      件の言い回し、どうぞどうぞ使ってください。
      多くの...
      とし長さん

      コメントありがとうございます。

      ほんと、怖かったですよねぇ。
      件の言い回し、どうぞどうぞ使ってください。
      多くの方の読んでいただきたいですね。

      そして『首無』は是非に!!
      2015/05/18
  • 恐怖も藝術も全ては解釈次第。
    私は自らの脳をもっともっと練磨し、多種多様な解釈を実現したい。ただ、そうしていつか手に入れた脳と暮らせるのはあとどのくらいなのか。
    時が惜しい。

  • 怪奇幻想作家・刀城言耶(とうじょうげんや)が訪れた神々櫛(かがくし)村。そこは谺呀治(かがち)家と神櫛(かみぐし)家という旧家が並び立ち、神隠しや怪異に彩られた集落だった。因習に縛られたこの地で、恐るべき連続怪死事件が巻き起こる!シリーズ第一作。

    戦後まもなくが舞台!旧家に因習!横溝ファンとしては見逃せない!と手を伸ばした作品。読んでみると伝奇、怪異譚、ホラー色が強めな印象(怖くはない)。もちろんミステリとしても仕掛け満載。終盤はあっと言わされた。読む前は横溝先生や京極先生の読み味を期待していたけど、まったく違う切り口だった。

    横溝先生たちは因習、村社会、怪異から「人」を描き出すのに対して、この作品は徹底的に創り込んだ世界観が生み出した「神」を描き出したかったのかなと。なので、人間心理や狂気を読みたいという方より、ホラーや怪異譚が読みたい方向け。世界観は圧倒的なので、そこに浸るように読むと良さそう。

    難点は、世界観を編み上げるためのタメが長い。登場人物が多く、設定や用語が難しい。民俗学的な引用が冗長に感じる。いざ人が死んでも、世界観に対して人間ドラマが薄くていまいち緊張感がない。盛り込みすぎで想像する余裕がなく、ホラーなのに怖くない。ええー!嘘だろ!ってなるところなのに、え?つまりどういうこと?みたいなリアクションになってしまった。ただ、三津田先生が趣向を凝らそうとしてくださっているのは強く感じた。

  • 図書館。
    清濁でいうと、今すごく「清」の方に気持ちがあるので、また「濁」の時に読みたい…。リベンジしよう。

  • 刀城言耶シリーズ一作目。
    怪奇ホラーとミステリの良いところを組み合わせた、一度に二度おいしい作品。
    前半は憑き物や山神、厭魅などといった怪異が全面に押し出され、殺人事件が起きた以降は本格ミステリになっていくのだけど、ホラーの面白さとミステリの面白さがどちらも全く負けてなく、丁度良く融合されており、楽しめました。
    そして最後に明かされる真相は圧巻の一言!
    今までの全ての描写が伏線と言っても過言では無く、ラストで明かされる怒涛の伏線回収は凄いとしか言えない(ただそのせいでちと文章が読みづらかったり、状況を文面から把握しづらかったりするのが玉に瑕)
    三津田信三さんの書籍はホラー全振りの作品しか読んだことなかったので、ミステリはどうなのだろうと思ってましたが、そんな事は全くの杞憂でした。
    次回作も既に購入しているので、いつか読みます٩( ᐛ )و

  • 力作。ホラーなの!?ミステリーなの!?
    とずっとハラハラしながら読めた。一つでホラーもミステリーも楽しめる作品。

    神々櫛(カガクシ)村...そこではカカシ様と呼ばれる御山の神様が信仰され、谺呀治(カガチ)家ではそのカカシ様を祀り、祈祷をする村の中で一番大きな家。そこでは代々双子の女の子が生まれ、片方はお祓いをする巫女、もう片方は憑座(ヨリマシ)という憑き物を自分に憑依させる役目を担う。そしてどの女の子にも漢字違いの「サギリ」という名を与えられるのだが現在は叉霧巫女とその孫の紗霧の二人でやりくりしていた。

    小説家の刀城言耶は民間伝承の取材をするために神々櫛村を訪れるのだが、時を同じくして村の中で連続怪死事件が起きてしまう...。死んだ人は皆カカシ様と同じ格好をさせられていたのだ...。神々櫛村にはカカシ様という存在の他に、悪霊の「厭魅(マジモノ)」という存在も信じられていた。しかも厄介なことにその姿はカカシ様とほとんど違わないらしい...これは厭魅の仕業なのか?神々櫛村の過去の因縁も絡み僕の理解は混迷を極める。村の特殊な地理環境も相まって恐怖は倍増...

    ミスリードを誘う罠もあり、読みながらも油断ができない。ギミックも素晴らしく、充実した読書体験となりました。

  • シリーズ3作目が名作と聞き、読み始めた刀城言耶シリーズ。

    結構な文量と登場人物、地名、民俗学的な描写に何度も漢字の読み方や相関関係、位置関係などを読み返しながら読み進めた。
    何度も挫折しそうになったが、最後に二転三転する推理、「さいごに」の章での伏線回収は見事でした。

    それぞれの視点から物語が無理なく進んでいくのも面白い。

    なにより、これは心霊現象であってほしくないな、、というのを見事にかわしながらホラーとミステリーを融合させた点が素晴らしい。

    次作も早く読みたい。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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