愛の幻滅(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062760126

感想・レビュー・書評

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  • 数ある田辺聖子さんの恋愛小説のうちで、
    もっとも共感度の高い、とても深い作品。
    大阪弁でポンポン冗談を言いあう、かつ
    愛しあう男女の仲だけど、どうしても埋められない
    溝があるよう。
    眉ちゃんの、「相手が返事に困るようなことは
    口にしない」という決意とそれを貫くのが立派。
    結末の寂しさを想うとそうそう読めないのだけど、
    傑作だと思う。

  • あ゛あ゛~~痛い~~グサグサくる~~~
    不倫当事者は全員読んだほうが良い。
    不倫男への感情がリアルすぎて怖い。その幻滅の過程もめちゃくちゃリアル。
    昭和52年?!40年以上前か。。。コワイ。。。

  • 【本の内容】
    <上>
    眉子、28歳。

    妻子ある男・東野と恋の真っ最中。

    勤務先で同僚の稔からアプローチされるけれど、そんなのはまったく目に入らない。

    「夫婦やない男女の仲ほど、面白いもんはない」と東野は言う。

    わからない。

    夫婦というものになったことがありませんから!と拗ねつつも、大人の恋にはまっていく。

    傑作恋愛長篇。

    <下>
    ミイちゃんこと、稔にプロポーズされた。

    しかし眉子は妻子ある東野を「待つ女」から脱しきれない。

    そんな中、眉子は東野と初めて“長期旅行”に出かける。

    「いいときにしか会わない」なんていびつな関係が変わることを望んで…。

    ドライで素敵な「笑い恋」は夢にすぎないのか?

    恋の本質を、鋭く優しく描く。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    人の上に立つからには、人を使っていくからには、精神がケチな人ではいけないと思います。

    この『愛の幻滅』にでてくる東野さんという男、至極魅力的な男で、主人公の眉子によると、〈ゆきずりの人間なのに、惜しげもなく、おべんちゃらをいって、相手をいい気持ちにさせてくれるって、気前のいい人だと私は思わずにいられなかった。あんな人こそ、精神的な、お金持ちというのだ!〉

    話した後、「思い出し笑いをさせてくれる人」、「なんとなくふんわりした気持ちにさせてくれる人」って素敵。こんな人と働くことができたら、従業員のモチベーションも勤労態度もきっと向上するのではないだろうか。

    「相手を、いい気持ちにさせるのは業腹だ」とばかりしかめっつらしないで、心に余裕をもつことが、人に分け与えても減らない心を持つことが大事なんだな、と自分(社長じゃないけど)にもいい聞かせています。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 最初にセイコタナベから受けた衝撃に比べると、私が慣れてしまったせいか少なくなってしまった。

    が、やっぱりシチュエーションの中での女子の心理を非常に上手に描写していていい。
    長編が読みごたえがあって好き。

  • 同じ まゆ だからというわけではないが、とっても共感が強かった本

  • ほんとうに面白い男女の仲は、夫婦でない仲なのだ。 田辺聖子【愛の幻滅】より

  • 28歳、ハイ・ミスOLの眉子。
    結婚を急かす家族から逃れるための一人旅で、東野に出会う。40代で妻子持ちの東野との“笑い恋”に夢中になる眉子だが、季節が二巡する頃からそうシンプルな気持ちではいられなくなり…。
    結婚に対するあせりや憧れもなく、東野の妻に嫉妬することもない。会っている時間を楽しめればいいと思っていた眉子が、次第にあれこれと雑念に惑わされたり二人きりの時にさえふと冷静になってしまったり。その変化がひたひたとやってくる感じがなんとも言えず…。
    かと言って普通の不倫っぽくドロドロしたり重苦しかったりはしないところがやっぱり田辺流で心憎い。
    ラストのぽーんっと放り出されるような感覚にしばし放心であった。

  • 愉しい不倫のお話し。
    主人公の不倫を楽しむ女性とは同い年。
    そのもどかしさ、そのわずらしさも、楽しいヤミツキになる快感。
    分かる分かる!と随所で共感してしまう。
    随分昔のお話なんだけど、古さを感じさせない。
    恋はどの時代も輝いているんだなぁ。

  • こっちを読むと、とりあえず頑張れそうな気がしてきます。

  • 初出は昭和52年「女性自身」。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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