- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062637633
作品紹介・あらすじ
’70年代のほろ苦い青春を描く短編連作集。
ラストシーンを憶えてる?もちろんと僕は答える。あのラストシーンが好きなのとヨーコは言う、どこにも行かなくて済むっていうものを見つけなさい。基地の街から出てきた東京はひどく退屈で、麻薬とセックスと音楽に明け暮れる中で、映画だけは強烈な魅力にあふれていたのだ──。平林たい子文学賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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淡々と重さのある小説です。
映画に絡めつつ主人公の恋愛模様を時間を交差させつつ追いかけつつ、、
登場する映画にもあまり思い入れがないせいもあってか
サラっと終わってしまいました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画愛を感じる。
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登場人物がみんな無力感と向き合っていた。
そして自然と社会から疎外されていく雰囲気にとてつもなく惹かれてしまった。
常に何かをしていなければならない、これもあれもやりたい、そのためにはこれをこうして、みたいにずっと考えて結局なにもできなくなって自己嫌悪する日々をやっている。
だからこそこの小説の雰囲気に依存してしまうんだろな。あまりよくないような気がするけど。 -
村上龍初めて読んだ。
尖ってる印象。
でも嫌いじゃない。
各章のタイトルが映画になってるのすごくいい。
読みたくなった。
70年代のジャズとかロックとか、映画とか、フィルムとか、そういうのを知りたくなった。 -
福生での生活は今思い出してもぞっとすると自らのたまうとおり、限りなく透明に近いブルーに近い残酷さも垣間見えるが、ストーンズやドアーズの鳴り響く、オイルショック前の東京の空気感、若さゆえの虚無感が心地よい。体験しているように感じさせてしまうからか、ページ数は多くないのに濃い。時系列ではない順番、励ましにも似たラストも絶妙。
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村上龍氏の小説は改行が少ないからページが文字で埋め尽くされている。それが好きだ。
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背表紙のあの短い文章を読んだだけで頭を殴られたみたいな気持ちになって読んだ。村上龍の中で一番好き。ケンジが感じたことを、それはめちゃくちゃ汚くて美しいものを分けてもらっていいのか戸惑うくらいだった。もらった言葉を分けてもらっていいの?という気持ち。もう逃げる場所なんてどこにもない、用事のない生き方をすること。言葉が全部脳に差し込まれていく感覚があってズタズタに傷つけられながらラストシーンを読んだし思い出すとまたズタズタになるけど、うれしかった。こういうのを読んでちゃんと傷つけてよかった。
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退廃的な日々に刻まれた「このとき、ここで、この映画を観た」という記憶。
誰かと、ときには一人で。
なんでもない話の中にある物語の呼吸?間合い?何かわからないものに胸が詰まる。
数行の言葉に目が反らせなくなる。
何故だろう。
それはタイトルの通りこれが村上龍自身の物語だからなのかもね。 -
ちょっと、びっくりした。
数行の文に目が惹きつけられて、離せなくなった。先を読もうとしても、目が離せなくて進めなかった。
文の綺麗さに感動したのでもなく、感情を掴まれてぎゅうっとなったのでもなく、どきどきしたのでもなく、ただただ目が離せなかった。こんなことは初めてだ。 -
「用事のない生き方をする」…名言だと思う。