ダイエット依存症 (こころライブラリー)

著者 :
  • 講談社
4.20
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062594974

感想・レビュー・書評

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  • ダイエットの具体的な話をだしながら、思考パターンなどの問題を明らかにしている。ダイエットに問題がある人でなくても、参考になる部分が多い。また読みたい。

  • 社会が豊かになると、人はなぜダイエットをするのか。

    私も中年になって、20代からぴくりとも変わらなかった体重がめきめき増え、人生で初めて「ダイエットしなくちゃなぁ」と考えるようになった。だからといって、熱心にやっているわけでもないのだが、ダイエット心理には興味があり、読んでみた。理由は、最近の若い女性のやせすぎが気になるからだ。どう見ても、私が10〜20代だった頃に比べて、やせすぎの女性が多い。今から、これほど華奢で骨も細く、筋肉もなく、体力もない状態で将来、年をとったらどうなるのだろうと、心配になるほどだ。

    著者の水島広子先生は、摂食障害を主な治療の対象として取り組んでいる精神科医。「食べること」が苦痛になってしまっている人たちと直に接しているだけに、なぜ「やせることにとらわれてしまうのか」、その心理を分かりやすく解説している。

    「ダイエット」がキーワードにはなっているが、書かれているのは、「人からの評価」をどうとらえるか、ということ。人の評価を気にしすぎることの怖さ、それを跳ね返すための心づくりは、今の日本人の多くに役立つ内容だと思う。

    とくに、水島先生が専門とする対人関係療法は、個人の成育や性格を分析するというより、今、目の前で困っていることを対象に、切り抜け方を身につけることで、生きる力を取り戻していく実践的な方法だ。心理学や精神医学の本には、専門家のサポートがないと実践するのが難しい方法が書いてあることが多いのだが、対人関係療法を知ると、まずは今日、とにかく乗り越えてみようという気持ちになり、元気が出てくる。

  • SNSで知り読んでみた。ダイエット依存症は、ダイエットそのものというより育ってきた環境が影響しやすい。食事だけを改善しようとするのではなく、依存症に至ってしまった要因を知る必要がある。

  • キャッチーなタイトルで、図書館で手に取ったら
    思いがけず(と言っては失礼だけど)すごく良書だった。

    人を評価する、たとえばあなた太ったねとか
    いうのは本来、評価する側が安心したい等
    評価する側の事情が多分にあるのに、
    言われてしまうと言われた側が傷ついたりする
    とても暴力的な構造、というのにはなるほどと。

    実際の症例(摂食障害未満ではあるけれど)が
    わかりやすく、共感する部分もあった。

  • 493.7

  • ■痩せたがりの世代間連鎖

    10代では、摂取しているエネルギー、カルシウム、鉄分が必要とされる基準に届いていない子
    も覆いのです。

    「太らないようにする」ことには関心があっても、栄養についての知識と意識が不十分で、
    「何を食べるか」には対して関心を持っていないということも反映されているのだと思います。


    子供達は基本的に大人が作り出した文化の中で暮らしているわけですから、
    子供達の「痩せたがり」は大人の責任だと言えます。

    子供達が痩せるべきだと思っている大人は殆どいないでしょうが、大人たち自身が
    「痩せたい」と思っていることが、
    確実に子供達の意識に影響を与えているのです。

    これも一つの、次世代への問題の引継ぎの形です。
    体出生体重児の増加は
    子供を生まない人には直接の関係は無いかもしれませんが
    文化として次世代に及ぼされる影響には、あらゆる大人が関わっています。





    ■体型が気になる時は自分を振り返る

    ダイエット依存症は身体への虐待だと私は思っていますが
    「虐待」と言われてピント来ない人がいるかもしれません。

    ここで改めて「虐待」とは何かを考えてみれば
    それは、自分側のストレスを相手にぶつけるということだと思います。

    本来は自分で引き受けるべき問題を
    相手に暴力的な形で押し付けてしまうのです。

    身体への虐待について言えば、
    自分のストレスを身体に投影してしまう、という形をとります。
    つまり、本来は心の問題であるのに
    身体の問題であるかのように転化してしまうということなのです。


    例えば、女性の人生では、大きな変化の時期にちょうど体型も変わることが
    多くあります。
    本来は変化に適応するために自らの内面に向き合うべき時期なのに
    向き合うのは「体型」というテーマに摩り替わってしまい
    「ダイエット依存症」に陥りやすい、という構造になっています。

    この場合、もちろん、テーマにすり替えたところで変化に適応できるわけでは
    ありませんから「もっと、もっと」という依存症の悪循環に陥ってしまい
    その程度が著しくなると病気にすらなってしまいます。


    こうした象徴的な時期以外にも
    やはり内面の危機のときには
    体型が気になりやすくなるという傾向があります。

  • この本を読んで、社会も変わってほしいなと感じた。ありのままの自分を肯定されてきた経験が乏しい子、いい子でいなければならなかった事情など、ダイエット依存にはまるきっかけは様々。「やせさえすれば」「やせたら○○しよう」と考えているうちに大切な人生が終わってしまう。

  • この本は「やせすぎは(健康面で)よくない」という建前と「やせ(て自信を持ち)たい」という本音の間のギャップを埋めることを目指して書かれたらしい。

    万年ダイエッターを見ていると、素人目にも病的な人もいれば、やせることが目的というよりもダイエット法を試すのが趣味なんだろうなって人もいる。
    摂食障害未満でも(もちろん摂食障害も)生活に支障をきたすならそれはきっと当人にとって辛いことであるはずだから、「病気以前」に(も)目を向けるってのは大事なことだと思う。

    心構えとかメカニズムみたいなことがメインで、コミュニケーションの改善など実際どうすればいいかは他の本でという感じ。
    心理方面にあんまり興味がないような「ふつうの(愛されるためのどうのみたいな雑誌を好むような)」女性が手に取ってくれるといいな。


    ・イラストが良い。
    表紙を見て、本を開いて、まず目に入った扉絵のインパクトよ。
    ・男性への「ハゲ」と女性への「デブ」はほぼ等価の罵倒。
    キャラ設定を強いられるあたりとかなるほど言われてみれば納得できる。
    参照「ハゲを生きる」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/4326652225
    ・「守ってあげたい」は「囲っておきたい」と同義。
    ・加齢による変化を受け入れることの大変さを今の日本では個人がどうにかするしかない。思春期にせよ更年期にせよ、同じ立場の女性たちが思いを吐き出して繋がる場がない。
    ・日本のマスコミの摂食障害に対する意識が低いのは、それを気にする人(女性)が上にいないってことだろうか。
    ・先進国なのにやせすぎの妊婦http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/4480066039

  • 20代の女性には是非読んでいただきたい!!

    摂食障害の人が日本には10人に一人の割合でいる。

    それなのに、日本のメディアは、諸外国に比べて摂食障害に関する問題をとりあげない。

    そんな問題意識を、摂食障害の一歩手前の「ダイエット依存症」という形で、精神科医である著者は、すごく、私たち20代の女性を中心に広がるダイエット思考、痩身思考について、すごくわかりやすくまとめてある。

    今までの摂食障害の本とは違って
    日頃私たちが考えておくべき自分の体のとらえ方やダイエットの危険性について、深く考えさせられる。

    摂食障害になる一歩手前で、多くの人がこの本に触れてくれればいいと心から思います。

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著者プロフィール

水島広子【みずしま ひろこ】

慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、対人関係療法研究会代表世話人、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表。主著に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』(創元社)、『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』(紀伊國屋書店)、『怖れを手放す』(星和書店)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『自己肯定感、持っていますか?』(大和出版)、『「毒親」の正体』(新潮新書)などがある。

「2022年 『心がスーッとラクになる 世界の美しい文様ぬり絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

水島広子の作品

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