新薬に挑んだ日本人科学者たち (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578318

作品紹介・あらすじ

薬の候補物質は、地中から、海洋から、そして実験室から、日々あまた生まれる。研究開発者たちが、それらをふるいにかけて選別し、ヒトにおける有効性を高めながら毒性を弱め、薬として飼い慣らす。そのために、膨大な歳月と資金が費やされ、たゆまぬ研究開発が重ねられる。こうした営みの結晶として、近年、日本人が世界に誇れる薬をいくつも送り出していることは、意外と知られていない。

薬の元となる物質を探し当てたり、物質を薬に育てあげたりした人々に会い、その思いや創意工夫を聞き出し、書き留めておかなくてはならない。そうした物語を紡ぐことを目指し、本書が生まれた。

【目次】
第1章 「殿堂入り」した創薬
1-1 スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)

第2章 化学合成と天然由来
2-1 クラビット(レボフロキサシン)
2-2 プログラフ(タクロリムス)

第3章 死病と向き合って
3-1 レトロビル(アジドチミジン:AZT)
3-2 ヴァイデックス、ハイビッド(ジダノシン、ザルシタビン:ddI,ddC)
3-3 プリジスタ(ダルナビル)

第4章 難病に光を
4-1 アリセプト(ドネペジル塩酸塩)
4-2 カンプト(イリノテカン塩酸塩)

第5章 生活習慣病に克つ
5-1 フェブリク(フェブキソスタット)
5-2 ガスター(ファモチジン)
5-3 パリエット(ラベプラゾールナトリウム)

第6章 情報伝達タンパク質を薬に
6-1 リュープリン(リュープロレリン酢酸塩)
6-2 ハンプ(カルペリチド)
6-3 インターフェロンの発見

第7章 分子を狙い撃つ抗体医薬へ
7-1 アクテムラ(トシリズマブ)

終章 日本人と創薬
解説 薬のできるまで

感想・レビュー・書評

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  • 日本が華やかだった時代。
    しかし、開発の影にはADRがあった。
    アイデアと根気は、今でも日本人に根付いていると思う。
    医薬品は、世界市場。疾病を治療し、健康を維持するという、社会に貢献する。半面では、商品として膨大な利益をもたらす。
    開発者には、孤高な精神を持ち続けてもらいたい。

    • だいさん
      http://www.evernote.com/shard/s37/sh/5f51e7a6-ccc2-4eff-9bf0-029b4f7f6...
      http://www.evernote.com/shard/s37/sh/5f51e7a6-ccc2-4eff-9bf0-029b4f7f6261/21d6d9bdd20ccbfce54ac8379a0fb2da
      2014/06/22
  • 【画期的な新薬を開発した日本人研究者たちの物語】
    新薬開発の舞台裏を詳らかにした本。
    最先端科学の世界って表ざたにされる機会があまりないと思う (研究者や科学者が“いわゆる大衆向けの本”を書かないため)。なのでこういう、一般人向けにわかりやすく、研究者の仕事の内容や閉ざされた理系の世界を解説している本はとても貴重だと思う。
    本書では、30年前~比較的最近(2,3年前)の間に開発され発売された薬について・および、その薬を開発した研究者たちについて、が詳細に記載されている。

    論理的な試行錯誤で少しずつ改善を重ね、結果世に出ることになった薬もあれば、
    ほんのたまたま、偶然発見されるに至ったきわめてラッキーな薬まで
    さまざまな経緯が語られているのが面白い。

    神秘的な基礎研究の世界。これからの日本の医療・薬学・化学界を担っていく若手研究者諸君のためにぜひ一読をおすすめする。

    第一章
    ●スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬=コレステロール値を下げる薬)カビやキノコを活かした仕事6000種も試し最初のスタチン発見
    第二章
    ●クラビット(レボフロキサシン=抗生剤)耐性菌との戦いで抗菌薬は進化する*血中濃度が高くても効かない*光学異性体の分割に賭ける→タリビットの光学異性体がクラビットだった。
    ●プログラフ(タクロリムス=免疫抑制剤)フィールドに出る微生物ハンター*シクロスポリンと似て非なる物*移植先進国での治験開始*アトピーの外用薬や点眼剤に展開
    第三章
    ●レトロビル(アジドチミジン=エイズウィルス増殖抑制) レトロウィルスに取り組む*逆転写酵素阻害薬を目指す*眠り病の薬に可能性を見いだす*初の抗HIV薬は抗がん剤から
    ●ヴァイデックス、ハイビッド(ジダノシン、ザルシタビン=第3の抗HIV薬) DNA鎖の伸長を停止する薬、特許権をめぐる欧応酬
    ●プリジスタ(ダルナビル=耐性変異ウィルスに強い抗HIV剤)
    第4章
    ●アリセプト(ドネペジル塩酸塩)コリン仮説からアルツハイマー薬*すぐれた薬効も生物学的利用率で挫折*ライフワークで根本治療を検討
    ●カンプト(イリノテカン=抗がん剤)
    発酵屋が抗がん剤を志す*活性を維持しながら毒性を弱める*有効成分を含む類似植物を栽培
    第五章
    ●フェブリク(フェブキソスタット=痛風・高尿酸血症の薬)
    評価系が無かったDM薬*安定した既存薬をリード化合物に*高血圧のない高尿酸血症の適応
    ●ガスター(ファモチジン=胃酸分泌抑制薬) オールジャパンで国産第一号を*全社一丸となった治験
    ●パリエット(ラベプラゾールNa) 胃酸を必要以上に抑えてはならない*3番手ながら切れ味鋭い薬誕生
    第6章
    ●リュープリン(リュープロレリン=前立腺がん、閉経前乳がんの薬) 性ホルモン増強剤で去勢が起こった 除法性製材により効果が持続
    ●ハンプ(カルペリチド=急性心不全薬) 試料を湯通しし分解酵素を失活 ヒト心臓から血管拡張ホルモン 脳の利尿ホルモン測定を診断に
    ●インターフェロンの発見 紫外線照射にも安定な分子 ウィルス増殖に干渉する因子 四半世紀を経て薬に
    第7章
    ●アクテムラ(トシリズマブ=自己免疫疾患治療薬) B細胞誘導因子を突き止める 病気との関連が深いIL-6 IL-6受容体抗体のマウス→ヒト化に成功 世界のリウマチ患者へ
    終章 日本人と創薬

  • 最近「医療×AI」に興味がありますの第三弾。新薬開発は地道な作業の積み重ねで、治験まで行ったのに副作用で開発がストップする悔しさなど、創薬のむずかしさが良く分かります。「理論から薬が生まれるよりは、よく効く薬ができてなぜ効くのかを調べていった結果、学問が発達する」という記載が印象に残りました。
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    https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/07/blog-post_28.html
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  • 新 書 KBS||499.1||Tuk

  • <学生選書コメント>
    今年は本庶佑先生のノーベル受賞に
    わきましたが、それ以外にも薬の開発に
    多くの日本人が携わっています。
    そのことをわかりやすく紹介している
    のでオススメです。  

  • 日本で創られた新薬のその開発過程が分かる。専門用語も多く、薬学や医学に関わりがないと理解するのが難しいように思う。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。読売新聞記者を経て、医学・医療、科学・技術分野を中心に執筆多数。国際基督教大学教養学部理学科卒業、筑波大学大学院経営・政策科学研究科修士課程修了、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科修士課程修了。専門は医療政策学、医療管理学。著書に『新薬に挑んだ日本人科学者たち』『慶應義塾大学病院の医師100人と学ぶ病気の予習帳』(講談社)、『iPS細胞はいつ患者に届くのか』(岩波科学ライブラリー)などがある

「2018年 『世界を救った日本の薬 画期的新薬はいかにして生まれたのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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