ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209908

作品紹介・あらすじ

「会社の将来を支える新しい価値の創造を、君が担当してくれないか」
この上司のひと言からの僕たちの会社を変える大冒険は始まった・・・・・・。

多くの企業、個人の大きな課題、それは「新商品・サービス、課題解決につながる新たな価値を、どうやって生めばいいのだろう?」ということだろう。

新しい価値をどのように発想するのか。そして生まれた発想をどのように組織の中で実現していくのか。
その解答が「フォーサイト・クリエイション(Foresight Creation)」。
これは大阪ガス行動観察研究所が、1000件以上の行動観察プロジェクトの知見からまとめた実践的メソッドだ。
このメソッドをカリキュラムとしてまとめた「フォーサイト・スクール」はすでに大学や企業などで反響を呼んでいる。

この評判の「フォーサイト・スクール」初の書籍が、なんと物語の形で世に出ることになった。
読者は、悪戦苦闘しながらも懸命に新価値創造プロジェクトを進める若手社員たちとともに、
ワクワクする読書体験を味わいながら、最新のクリエイション・メソッドが学ぶことができる。

是非あなたも、新価値創造の冒険の旅に出かけてみませんか?

感想・レビュー・書評

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  • 大阪ガス行動観察研究所の所長である著者が、1000件以上の行動観察プロジェクトの知見から、新しい価値をどのように発想するかに加えて、どのように組織の中で実現していくのか迄を「フォーサイト・クリエイション(Foresight Creation)」としてまとめた一冊。
    新価値創造のプロセスはアートによるところが大きいと認めながらも、それでも言語化出来る所はあるはずだ!という信念のもとに体系化された意欲作。この理論を学んだからといって、新価値創造が直ぐに出来る訳ではないかもしれませんが、少なくとも物事を考え進めるための「骨格」になりうると思います。新価値創造に悩み、もがき苦しんでいる方は、ぜひ一度読んで見て欲しい一冊。お勧め。

    ①着観力
    ・まずやることは、計画を立てることでも、ブレストしてアイディアを出すことでもなく、場に出かけ観察から気付きを得ること。
    ・事実とは実際に起った客観的事実。気付きとは、起ったことに対する「軽い」解釈。事象を見て、事実と気付きを分けて捉える。
    ・既にもっている考えの枠組みを当てはめることは気付きではない。自分自身にとっても新しい発見が気付き。
    ・人には新たな気付きを阻む4つの罠(選択的注意、認知的不協和、確証バイアス、基本的帰属錯誤)がある。
    ・気付きを得るためには、全てをいったん受け入れて、そこから学習するスタンスが重要。

    ②アブダクション(仮説的推論)
    ・気付きを更に深堀して、なぜそういう事実が起こるのか、こういう要因・心理的な動き=insightがあるのではないか、という仮説を立てる。
    ・仮説が正しいかどうかは、この時点では気にしない。新しい仮説をどんどん出していく。

    ③統合
    ・異なる事実を単独で見るのではなく、一見関係の無い事実を統合して、アブダクションする。
    ・意外な真相とは何か?を問う

    ④リフレーム
    ・起っている物事の捉え方を根本から変える
    ・リニア思考は1つの問題に早く1つの解を見つける発想。リフレーム思考は、複数の問題を統合して、新たな問いを立てた後に、解を探す発想。正しい解を探す前に、新しい軸(リフレームしたインサイト)=機会領域を探すことがとても重要。
    ・リフレームしたインサイトの質は、①これまでの常識と異なるか/②確からしさがあるか/③汎用性がありそうか、の3つの観点からみる。
    ・毎日子供のおもちゃの片付けるのは大変。毎日子供のおもちゃを片付けていると何に興味を持っているかがわかるようになる。成長がわかる。

    ⑤メタファー
    ・画期的な新発想は理解されにくい
    ・提供価値をシンプルにコンセプトに表す。未知なるものも既知なものに例える(メタファー)ことで理解がしやすくなる。
    ・もしシンプルに説明できないのであれば、その物事を十分に理解できていないということ

    ⑥先見力
    ・新しく発想した価値の妥当性を目利きして評価する能力。つまり、お客様のことをどれだけ深く理解しているか。これが重要なのは間違いないが、新しい発送した価値は、まだ世の中に無いものであり評価すること自体が非常に難しい。
    ・あたる!といってあたらないオオカミ少年よりも、見逃し三振で機会を逸することを悪とするべき。経験値が
    積み増せる分、オオカミ少年の方がよほど価値がある。
    ・ウロウロアリとハタラキアリ。日々の糧を運ぶハタラキアリはもちろん重要だが、今ある餌場の餌がいつ尽きるか分からない中で、ウロウロアリも同様に重要な働きをしている。にも関わらず、世の中はハタラキアリ中心の評価手法になってしまっている。

    ⑦メタ認知
    ・良いプレゼンととは、相手の深い理解と、自分自身の強い想いが統合されたもの。
    ・導き出したオポチュニティに、自社のブランディングとストレングスを統合して、意思決定をはかる。
    ・自分たちを理解するためにも、他者を観察し、その観察から自分達のアリヨウあぶりだす。
    ・Learn and Do(学びきってから行動する)のではなく、Unlearn and Do and Learn(固定概念を捨て、行動を起こしてそこから学ぶ)にリフレームが必用。

    ⑧マインドセット
    ・全ての行動を生み出すための土台となる考え方。
    ・心理的安心が保障される場、どもに切磋琢磨できる仲間の2つが重要

  • 新規事業を作り出す考え方の道筋を大まかに知ることができる。
    会社の理念に根ざしていることを確認するプロセスは、新規事業を起こそうとしているメンバーが上位層から理解を得るための動きに参考になる働きかけと思い、興味深かった。

  • マインドセットの重要性、近しいマインドセットを持つ人間とのプロジェクトは楽しく、有意義に感じる理由が良く分かった。

  • ・物語の舞台は、ある企業のある組織。そこそこ大きい会社で、そこそこ儲かっている…そんな企業こそ、競争優位性を維持するために、新たな価値を生み出し続ける必要がある。

     この本は、そんな組織だからこそ、イノベーションが起きにくい原因があることを鋭く抉っている。会社は”事業の継続”が本来の目的であり、そのために”社会や顧客への貢献”を行い、その対価として”利益”を得るわけだが、往々にして短期的な利益を追う形になって不誠実なことが起こり、長期的な信用を失っていく。経営者や管理職こそ読まなければならない内容だった。

    「自分が変わるきっかけになるものこそが本当の気づき。それを得られるようにするためには、学んだことを意識的に忘れ、自分の考え方と反することであっても、まずは共感して受け入れる。起こっている事実から学びを得ようとする。」

    「人間は気づかないようにできている。自分の考えと相反する情報が入ると、不快な気持ちから脱するために、どちらかを直ちに捨てようとする。また、一度印象が確定してしまうと、なかなかその枠組みから抜け出すことができない。さらに誰かの行動を解釈するとき、原因を、性格など、その人に求めがちである。」

     ザ・ファースト・ペンギンス 新しい価値を生む方法論 >> これは、「新たな価値の創造に挑む人」のための本だそうです。著者は、この書籍が、「Wicked Problem(正解のない問い)にどう答えを出すか」にチャレンジしている人の役に立つことを望んでいるそうです。さて、私は、自ら「Wicked Problem」を立て、この本の助けを借りて、その答えを見つけることができるのでしょうか(・・?

  • 平田 智彦さんのナイキのランドセル提案した人の本

  • あまりファーストペンギン感が無かった。
    この手のストーリー仕立てのビジネス書は、
    うまくハマれば分かりやすいんだけど…
    難しかったのか、分かりにくかったのか、
    そもそもどこの国の何の企業の話??
    という所から気になって、私はダメでした。

  • 書いてあることは頭では理解できる。
    でも、実際には中々上手くいかない。
    今までとは違う脳を使う必要がある。慣れるには時間がかかりそう!

  • 一章
    全ては気付きから始まる
    事実と気付きは違う
    偏見フィルターを意識的に外して受容的に気付きを感じよう

    2章
    意外な真相を追求しよう
    それがアブダクションするということ

  • 新たな仮説、それも妥当性の高い仮説を生み出すことが重要。

    組み合わせることは機械でもできるが、それが価値を生むのかという評価はヒトにしかできない。ここが組織として新規事業を生む悩み…。

    書かれていること、置かれている状況一つひとつがとても共感できる。

  • 起業家であれば、100人の投資家にプレゼンして1人でも納得してもらえればビジネスを始めることができるが、会社員の場合、1人の上司を納得させなくてはビジネスを始められない。

    理解のある、行動力のある、先見性のある上司に当たるかどうかが重要である。
    それは、上司は失敗しないことで評価されてきたため、行動することで失敗する可能性のあることをやりたがらないためである。
    如何に納得させる材料を集めるかが大切。

    気づきを集める。
    仮説を立てる。
    推論する。統合する。リフレームする。
    新規性、汎用性、妥当性で評価する。
    フォーサイトする。未来を描いてみる。

    fact→insight→foresight→action→reflection

    Learn and do.よりもDo and learn.を。

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著者プロフィール

(まつなみ はるひと)
大阪ガス行動観察研究所所長。株式会社エルネット技術顧問。経済産業省サービス工学推進委員会委員。一九六六年大阪生まれ。神戸大学工学部環境計画学科卒業。神戸大学大学院工学研究科修士課程修了、大阪ガス入社後基盤研究所にて、生理心理学、人間工学関係の研究活動に従事。米国コーネル大学大学院にて修士号(Master of Science)取得後、和歌山大学にて博士(工学)を取得。二〇〇五年より行動観察ビジネスを開始。〇九年に大阪ガス行動観察研究所を設立し、所長に就任。共著に『ヒット商品を生む 観察工学』(共立出版)がある。

「2011年 『ビジネスマンのための「行動観察」入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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