オリンピックへ行こう!

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 201
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062209861

作品紹介・あらすじ

大学卓球チーム内の軋轢や友情、競歩ランナーの孤独、サッカー選手の挫折と希望、各種目で日本代表を目指すアスリートを描く応援小説

感想・レビュー・書評

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  • 「デパートへ行こう」から読み続けた「行こう」シリーズ。
    ローカル線だったり、遊園地だったり、そこで働く人の矜持のようなものが感じられ、読み続け来たが、今作はオリンピックを目指すアスリートを描く3作が描かれる。
    ちょっとしたパニック物の要素もあり、それが楽しくて、読み続けたシリーズだったが、今作のイメージは今までの気軽な要素は無くなり、本格的な内容についていけなくなってしまった。
    主人公の葛藤もあまり伝わらず、最後まで読むのが少ししんどいぐらい…
    このシリーズも、もう限界かな…

  • 「行こう!」シリーズ第4弾。
    「卓球」「競歩」「ブラインドサッカー」、3つのスポーツを舞台に、オリンピックを目指すアスリートとそれを支える人々を描く。「卓球」では大学4年の成元雄貴が今後も卓球を続けていくのかに悩み、「競歩」では32歳の白岡拓馬が最後の切符をかけてレースに臨み、「ブラインドサッカー」では中学生時代に視力を失った青柳に元Jリーガーの幹雄がアドバイスを送る。
    中篇程度の「卓球」は、試合中の技術用語が多すぎてある程度競技を知っている人でないと少々厳しいのでは。「ブラインドサッカー」が一番面白かった。

  • 三章立てで一章の卓球が6割程度のボリュームだったが、残念ことにこの話が一番苦手だった。著者が卓球好きなのか、試合中の描写が細かすぎて逆に困惑した。個人的には2番目の競歩の話が好き。

  • 卓球、競歩、ブラインドサッカーの選手を扱ったオムニバス。
    筆者のいつもの緻密な描写で競技について淡々と書かれているのが少し冗長に感じる部分もあり
    競技について知らない自分には理解が及ばない部分もありました。
    競歩についてはいつもの真保さんの書き味に一番近いと感じました。
    自分はサッカーの話が一番好きでした。

  •  「行こう」シリーズ第4弾。今回は『オリンピックに行こう!』である。これほどまでに4作とも作風がバラバラなシリーズも珍しいが、本作は、シリーズの過去作品はもちろん、真保裕一作品を知らない読者でも楽しめるだろう。

     卓球、競歩、ブラインドサッカー。それぞれの競技で、世界最高のスポーツの祭典を目指す、アスリートたち。いずれも、自分はテレビでしか見たことがないが、テレビ画面からはわからない、駆け引きが繰り広げられているのだ。

     本作中最も長い「卓球」。かつての暗いイメージはどこへやら、男女ともスター選手の登場により、すっかり人気スポーツになった。それだけに、五輪代表に入る競争は厳しい。一握りのスター選手の影で、多くの無名選手たちがひしめく。

     ここまで卓球の駆け引きを熱く描いた作品があっただろうか。仕掛けるか、様子を見るか。どんな回転をかけるか。コンマ数秒間で読み、判断する。そんな超人たちだからこそ、あんな高速ラリーが成立するのである。素人にはすげえとしか言えない。

     技術はもちろんだが、心理戦という要素が極めて強いことを知った。敵の顔がよく見えるだけに、動揺や弱気を気取られてはならない。卓球に限らないが、五輪代表の可能性がある限り、諦めず、しがみつく選手たちに、敬意を表する。

     「競歩」。見た目の地味さと裏腹に、過酷な競技だ。50キロ競歩という長丁場での、卓球とは違う駆け引き、心理戦。目標のために、あらゆる犠牲を払ってきた。時には裏切りも。いかにも日本的な、スポーツ界の足の引っ張り合いに苦笑するが、それらにも打ち勝った者だけが、世界最高の舞台に届くのだろうか。

     「ブラインドサッカー」。唯一、現役選手目線ではない点に注目したい。J1でもプレーした元サッカー選手。引退後も燻っていた彼が、ブラインドサッカーのチームに招かれた。盲目にも関わらず、ボールを追う選手たち。その姿が、元J1選手のハートに火をつけた。挫折を経験した彼なら、悩める逸材の才能を開花されられるだろう。

     メダリスト以外注目されない、4年に一度の祭典。代表に選ばれるだけでも大変なことだし、その裏では無数の涙が流れている。そのことを、我々は忘れがちだ。

  • 「~へ行こう!」シリーズの第4弾で、卓球、競歩、ブラインドサッカーの三篇からなる。中でも「卓球」は期待大だった。自分が昔卓球選手だったから。

    ところが、である。情景が頭に入ってこないのだ。30余年前とは全く違うと思い知らされた。あんなに打ち込んできたのに専門用語がわからず、まるで初心者になった気分。中盤からようやく想像できるようになった。

    私でさえこんな状況なのだから、未経験の読者は延々と続く試合場面は飛ばし読みしたくなるのでは?リアルすぎるのも困る。だから視点を変えて、主人公の置かれた状況を考えることにした。幼いころから卓球づけの人生。敷かれたレールを走らされているうちに、人生の選択肢がその延長上にしかない、と覚悟を決める。全日本学生選手権での勝利が将来に直結する、というギリギリ状態。世界レベルの後輩は先輩に対しても大きな顔。でもそんな彼の変化が実はこの物語のキモなのだ。そこに到るまでが長い、長い。

    そんな「卓球」に比べ、「競歩」「ブラインドサッカー」の方がはるかに理解できる。

    「競歩」では主人公がゴールを目指す間にこれまでの人生が語られ、悪質な嫌がらせや人間関係のあれこれなど、どれも興味深かった。あえて結果を描かないところに好感が持てる。

    「ブラインドサッカー」は、主人公の再生物語でもあり、最後はホロリときた。これは続編も読みたい。

    著者はきっと、卓球を好きなのだろう。それは素直にうれしい。私は読後、「チキータ」の動画を探してじっくりと観察した。やっぱり時代が違うな、と実感した。

  • 卓球、競歩、ブラインドサッカー
    それぞれでオリンピックを目指す男達。
    卓球は活字での試合描写が延々と続きちと単調に感じた。
    競歩はサスペンステイストだった割に…。
    一番短かったブラインドサッカーが一番面白く読めた。
    【図書館・初読・5月10日読了】

  • 再読。卓球はよくわからないが、詳細な描写がTV中継を見ているかのような臨場感を感じさせた。
    競歩の話は、ちょっとドロドロしちゃったなぁ。

  • 卓球、競歩、ブラインドサッカーの競技人生を送る
    短編集。挫折、希望を織り交ぜながら オリンピックを目指す様子を描いている
    読みやすく 楽しめる1冊だった

  • 男子卓球、競歩、ブラインドサッカーの3つの物語が収録されていて、それぞれオリンピックを目指す人たちの物語です。その中では、実力を持った人にしかわからない苦しみ、悩みが描かれていました。そんなに重い空気感はなく、青春小説を読んでいるようでした。

    特に男子卓球が比較的、分量が多く収録されています。その中ではこちらにまで、手に汗握るような攻防戦が細かく書かれています。一つ一つの動きが丁寧で、スローモーションで見ている感じがしました。ぜひ映像で観たい!と思わせてくれます。

    頂点の中の頂点と思うくらい、オリンピック選手になるには、狭き門。なれるのは若干ですが、その人の背景には、数多くの人に支えられているということを改めて感じました。

    自分の国と世界とでは、実力の差は歴然です。でも、それに食らいつく様は、その分野にしかわからない心情であり、応援したくもなりました。

    結果はどうあれ、登場するアスリートたちには、エールを送りたいなと思いました。
    この本を機に3つのスポーツにも注目してみようかなと思いました。

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著者プロフィール

真保裕一(しんぽ・ゆういち)
1961年東京都生まれ。91年に『連鎖』で江戸川乱歩賞を受賞。96年に『ホワイトアウト』で吉川英治文学新人賞、97年に『奪取』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞長編部門、2006年『灰色の北壁』で新田次郎賞を受賞。他の書著に『アマルフィ』『天使の報酬』『アンダルシア』の「外交官シリーズ」や『デパートへ行こう!』『ローカル線で行こう!』『遊園地に行こう!』『オリンピックへ行こう!』の「行こう!シリーズ」、『ダーク・ブルー』『シークレット・エクスプレス』『真・慶安太平記』などがある。


「2022年 『暗闇のアリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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