- Amazon.co.jp ・本 (734ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062206402
作品紹介・あらすじ
世界を分節するのは欲望だ。欲望が、価値と意味を世界の中に織り出してくる。価値不在の現代に、価値と意味の原理論を立て直す意欲作。
現代の哲学(思想)は、幻影の問題を抱えて虚妄な議論の巨大な迷路のうちへと迷い込んでいる。「本体」の観念を完全に(すなわち哲学的根拠において)解体することによって、われわれははじめて、認識一般にとって何が可能なのか。何が認識不可能なのか、普遍認識が成立する条件と構造が何であるかを解明できる。またこの解明からのみ、どのような新しい知と学の地平が開かれるのかを明かにすることができる。本体論の完全な解体こそは、現代社会における哲学と思想の再生のための、不可避の始発点である。
「真」とは、「善」とは、「美」とは? 哲学究極の問いへの回答!
感想・レビュー・書評
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それにしてもこれは名著。なんでもっと評価されないのかと思います。これまでのわたしの疑問に確実に応えてくれている。人工知能の問題、脳科学の問題、科学的思考と哲学の関係、そもそも意味と価値の本質など、すべてを挙げればキリがないが、欲望論的立場から完璧に応えてくれている。そしてこの欲望論を超える思考(というか理説)に出会ったことがない。全てを超えている。わたしの知る限りの最高峰の説得力ある世界理解ではないかと思います。引き続き第2巻に進みたいと思います。
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読むには早すぎた。哲学の知識がなさすぎた。
本体論の解体にはニーチェやフッサールの議論が大事ということ、存在より生成、くらいが頭に残る。 -
多年にわたる研鑽を経て形成された著者の現象学および欲望論の立場を包括的に論じた本で、著者の思想の集大成ともいうべき内容になっています。
著者の主張のすべてに賛同できるわけではないとはいえ、これまで著者の仕事を比較的丹念に追ってきた者としては、それなりに期待をもって本書を読みはじめました。ただ正直なところ、すこし期待しすぎだったかと感じています。
思えば、これまで著者が刊行してきた著作の大きな魅力として、フッサールやニーチェといった西洋の哲学者の思想を、他の著述家にはなしえないきわめてクリア・カットなしかたで説明し、読者を哲学の世界へと誘ってきたことにあります。ところが本書では、著者の現象学および欲望論の立場についての解説は、他の入門的著作と同様に「欲望相関性」というシンプルな原理が提示されるにとどまっています。その一方で、仏教や古代ギリシア哲学、近代哲学、ハイデガーやウィトゲンシュタイン、あるいはポストモダン思想やメイヤスーなどの現代的な思想などが参照されているのですが、それらのいずれもが独断的な本体論か、もしくは相対主義的懐疑論にすぎないという大鉈で裁断することに終始しており、個々の思想の内実に踏み込んで積極的に思想的対話をおこなう姿勢を欠いているといわざるをえません。
元来わたくし自身は、欲望論の原理そのものには哲学的な議論としては詰めが甘いと感じており、むしろその応用可能性にこそ見るべきものがあるというスタンスをとっていることもあり、700頁超にわたるこの大著を読み終えて、徒労感が残ったという感想をいだいてしまいました。