だまされないための「韓国」 あの国を理解する「困難」と「重み」
- 講談社ビーシー (2017年5月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062206303
作品紹介・あらすじ
ついに新大統領のもとで新たな船出となる韓国。
混迷の時代を生き抜くための知恵を、気鋭の政治学者二人が対談で語り合います。
・なぜ「韓国」について語るのは難しいのか
・大統領が弾劾された「崔順実ゲート事件」とは何だったのか
・「韓国」にとっての「正しさ」とは? 「日本」にとっての「正しさ」とは?
・新大統領就任で日韓情勢はどうなる?
・「韓国」からのニュースに騙されない方法は? など。
感想・レビュー・書評
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p23 かつて韓国貿易の40%近くを日本が占めていた時代が長く続いていた。しかし、現在の韓国の対外貿易のなかで日本は6%しか占めていません。結果、経済のみならず政治面においても、日本の存在感が薄れるのは当たり前のことなんです
p31 かつて日本は中国に対してもわかり合えるという幻想をもっていた。せいぜいこの手の幻想の対象になりえる相手は世界中で韓国と台湾くらいだと思います。
p72 この世で変わらないのは、変わるということだけだ スウィフト
p104 慰安婦問題の解決 2つ分かれる 一つは外交的な解決 もう一つは、慰安婦の実態について学術的な立場から見解を発表したり、両国の市民が政府の外交とは無関係に自分の意見や解釈を発信したり表現したりする際の解決です。
p169 世界認識、時代感覚は、内在的に理解するしかない
p170 鎖は一番弱い環で切れる a chain is no stronger than its weakest link
p175 2015年の韓国の対外貿易額 対中国 輸出26%輸入20%
日本 対中国 輸出17% 輸入 25%
2013年日本の対外貿易依存度 35% 韓国 85%
p219 コメンテータでたちが悪いのは、タレントさんのような明らかな素人ではなく、専門家のような肩書は持っているけど、実はまったく専門外のことに断定的に喋る人
p223 正しいという概念をめぐる認識ギャップがあるのだ、と双方がメタ認識したうえで付き合っていくしかありません。
韓国の正しい歴史認識とは、韓国の人たちから見て本来あるべき歴史認識に近い意味のものだから詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二人の性格が違う韓国研究者による対談。
好き勝手に話している感じ(笑)があまり好きになれない作品。 -
この題名から予想されたとおりの〆(オチ)
「偏った言説に」だまされない
まあ、そこは完全に予想通りなので、そこには「だまされた」感は無いw
とはいえ、韓国に過剰に反応せずに…韓国だからと言うところで思考停止せずに、と言ってたのが、最後の〆で突然「電力供給網を韓国と共通化しよう」とか『日本で原子力技術者が足りなければ、韓国人原子力技術者を育成して招こう』とか平気で言い出す木村氏の方が、韓国よりよほど『訳がわからない』
これでは、戦略的価値を共有しなくても、『6%の経済関係』のために、韓国の起こす波風に対して日本は『配慮』して穏便に済ますべきって韓国側の主張そのままになってしまうぞ…<木村氏
なお、貿易依存度が圧倒的に高いのは日本では無く韓国(日本:28%、韓国:72%<2016)なので、その理屈なら配慮すべきはますます韓国だと思うのだが
韓国の言う『正しい歴史認識』は『韓国の脳内設定的に望ましい歴史認識』以外の何物でも無い。日韓間で共通の歴史認識とかあり得ないって、はっきり言ってるのにねえ。
浅羽さんとの違いは、世代の差なのか、個性の差なのか。
もう、韓国とは宗主国と植民地の関係じゃ無いんだから、距離を置きたいだけなんだよね。韓国の甘えにつきあう義理も義務も無い。戦略的利益の共有の前に、最低限の外交儀礼(ウィーン条約)を守れない韓国をまともに相手に出来るというのは、何をどう言っても無理がある。(そして、そもそも対北朝鮮についてでも、韓国と戦略的利益を共有』してると誰が決めたのかって話でね<そこから疑うべきかと -
Oh・・・本棚の中でめっちゃ浮いてる・・・。
どうしてこんな装丁にしたのか編集部を小一時間問い詰めたい。木村、浅羽両先生に安田さんと来れば、まっとうな本であることは読まなくても分かるのにこれはちょっと。
手を伸ばすことも躊躇してもうかれこれ経ったわ。 -
この本は読んで良かった。
韓国について感情的反射的に反応しがちだったが、冷静に見る事ができるようになった。
訳の分からない理屈の通らない国のように感じていたが、「この国としての理屈」を知り、その行動を理解する糸口ができた。 -
韓国を理解しようとすることについて、とても示唆に富む一冊です。対談集の形式で読みやすく、理解しやすい内容となっています。
情報というものの扱いについて、慎重さと客観視の大切さを感じさせられました。 -
専門の研究者2人が対談で明らかにする韓国の最新情勢に、目からうろこが落ちる。韓国というと、何かというと歴史認識と叫ぶ訳の分からない国という印象だが、問われているのは私たちの知的営みだと著者は喝破する。
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書名や表紙が話題になることが多いが、副題も重要。軽々に韓国を「理解したつもり」になっても、実は「困難」と「重み」があることに気づくことが大切。人口同規模の南アやミャンマーには、軽々に「理解したつもり」になんてなれないのに。また、「だまされないための」と書名にあるが、何に「だまされないための」なのかは、本書の中では直接的には言及されていない。しかし通して読めば、世に溢れるいい加減な韓国論に、ということだろうと想像できる。
対談は2月、発売は5月の大統領選挙日。文在寅当選が想像できたとは言え、何とも中途半端な時期で、もう少し待って朴槿恵弾劾や文在寅政権の方向性を分析してからでも良かったのではという気もする。
中身は、両対談者が各所で述べていることと軌を一にしている(両者の違いを明確に読み取るには至らなかったが)。韓国と分かり合える・歴史認識を共有できるというのは幻想、韓国の「正しい(歴史認識や政治)」とは「本来あるべき理想の姿」という意味合い、等。「国民情緒法」は、必ずしも韓国特有でないとの指摘もあった。
他方、朴槿恵政権の中盤までの対中傾斜は別に対米離反を意図していない、韓国では左右の対立は経済面ではなく対北朝鮮姿勢(しかし選挙では「北風」は影響を及ぼさない)、という、今の自分には理解が困難な部分もあった。
また、韓国の分析というか理解の手法として、対象から一歩引いてマクロに眺めることの必要性については両対談者とも共通しているようである。
司会に中国専門の安田峰俊氏を持ってきていることで、たとえば統一に対する韓国人と台湾人の感情(現状維持)の類似性、といった中国からの視点もあるにはあったが、何とも中途半端。いっそ鼎談形式にした方が面白いのではとも思ったが、それはそれで本の焦点が韓国なのか中国なのかぼけてしまいそうでもある。 -
良い本ではある。韓国の現状を理解しようとする姿勢と、現状を変えられないものとしてどう対応していくかという問いの立て方はそれぞれ妥当なものの、組み合わせると韓国の現状に肯定的でありすぎるように中盤にかけて感じた。まあ必要なことはこの本の姿勢であたっていくことであり、床屋政談的に断ずることではないけど。そして終章ではきっちり、韓国をわかりあえるなどといった幻想を持たず地理的には近く利害を多く有する以外は他の国と同じ一つの国であると認識すべきと述べていたのでバランスは取れておるが。