この冬の私はあの蜜柑だ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 67
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062197649

作品紹介・あらすじ

生きる切なさと夏の終わりのあの娘の涼しげな横顔。
思い止めていた告白が世界を変えていたかもしれなかったあの日。
そんなことを片岡義男さんの本を読むと思い出させてくれます。
                             ――岡村靖幸(ミュージシャン)

片岡さんの小説はなんでこんなにクセになるのだろう。
この物語のなかでずっと生きていきたい。そんな叶わぬことを思ってしまった。
                             ――窪美澄(作家)


西条美樹子と倉田明彦は高校の同級生。転居通知の葉書をきっかけに再会する。
高3の夏、水着姿で自転車に乗った美樹子が、葡萄味のアイスキャンディーを差し出したことを、
明彦は今もはっきりと覚えている。(「愛は真夏の砂浜」)

作家の矢吹優美子がひとり暮らしを始めた一軒家には、掘り炬燵が備え付けてあった。
友人の景子は、炬燵に入りに来る男性を口説くべきだと言う。
優美子はかつての同級生で俳優の修司に電話をすることに。(「この冬の私はあの蜜柑だ」)

かつての同級生、兄と妹、客と店員、編集者と作家、元夫婦。
都市の一角ですれ違い、向き合い、別れていく男と女の姿を、研ぎ澄まされた文章で、譜面に音楽を刻みつけるように描く。
音楽、スニーカー、ラジオ……あるテーマを出発点に想像力が鮮やかに紡ぎだす、魅惑の9篇。

感想・レビュー・書評

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  • 良でもなく不可でもなく、普通

  • 短編集。「これまで」と「これから」の記述が多いように見える。
    あと美しい女性。いくつになっても美しい女性は美しいのか…
    あとがきにそれぞれの短編のテーマが書かれる。
    そうだったのか…とあとから気づいたりする。

  • 久しぶりに片岡義男の小説を読んだ。いつ以来だろうか。

    地元?の描写に思わずにやり。

  • 片岡さんのストーリーはもう美男美女で読んでいて映画のワンシーンの連続みたい。
    詩の世界のような、必ず想像をかきたてて余韻で終わるからこの短編も私はしばしば別世界へ…現実に戻るのが苦痛になる。
    愛は真夏の砂浜が好き。
    あとがきを読んできちんと紡がれていることがわかりました。

  • 私には「いちぢくの香りがして…」というあのシーンを読みたいがために、何度も読み返している本があるのだけど、片岡さんの小説もそれと同じ気配がする。
    ちゃんとはじめから読まないとその状態にならない。クライマックスではないのだけど、辿りつきたい場面を持つ小説。


    「細い体だから、と彼女はかつて言ったが、その体には人を夢中にさせる許容力の奥行きがあった。」(フォカッチャは夕暮れに焼ける)
    「どんな気がしても、それはきみの自由だよ」(ティラミスを分け合う)
    「平凡で素朴だけれど、たいへんいい状態にあっておいしいもの、という基準をきちんと持つためには、たくさん経験しないといけないね」(この冬の私はあの蜜柑だ)

  • 登場人物のような大人になりたかったけど、結局はなれなかったな。

    まあ、人それぞれって事なのかな

  • 季刊誌「IN THE CiTY」に発表された短編集。

    片岡さんの作品は、夏のイメージがあります。
    そのせいなのか、冬号に掲載された作品でも季節は夏。
    しかし、書き下ろしの表題作はタイトルのとおり冬の物語。
    片岡さんの冬が読めてとてもうれしかった。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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