- Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062194624
作品紹介・あらすじ
長くヨーロッパの文化と思想を研究対象としてきた著者は、ここ20年ほど、日本の文化と思想の研究にとりくみ、その流れを歴史的に追跡してきました。その成果がついに一書にまとまったのが、本書です。題して、『日本精神史』。
「精神」とはなにか。
ヘーゲル研究者としてスタートした著者は言う。「あえて定義づければ、人間が自然とともに生き、社会のなかに生きていく、その生きる力と生きるすがたが精神だ」。
テキストとして残された思想はもとより、土器や銅鐸、仏像、建築、絵巻、庭園など、あらゆる文化を渉猟し、縄文時代から江戸時代の終わりまでを、一望のもとに描く、まさに畢生の大作です。
ただし、著者は、難解であることを潔しとしません。ヘーゲルのわかりやすい翻訳で脚光をあびたように、あくまでも流麗な文体で、明解に描いていきます。
思想も絵画も仏像も、ひとしく日本の精神の歴史としてとらえ、あらためて、日本とはなにかを問いかける清新な傑作と言えます。
上巻は三内丸山の巨大建造物から『正法眼蔵』まででした。建築、仏像、そして仏教思想の深まりが底流にあります。
下巻は、『新古今和歌集』『愚管抄』から『東海道四谷怪談』まで。
武士の思想や、わびさび、儒学、元禄文化、浮世絵と、中世から近世にかけて、日本人の精神は多様なうねりを見せつつ近代に向かいます。そのダイナミックな流れを鮮やかに浮き彫りにします。
感想・レビュー・書評
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古代から鎌倉新仏教までをあつかった上巻に引きつづき、下巻では鎌倉時代から江戸時代までの文化がとりあげられています。
『愚管抄』を書き記した慈円は、時代を冷静な眼で見つつも、この書をつらぬく「道理」のうちに新しい時代を築きつつある武士のもつエネルギーを捉えきることができなかったと著者は考えます。一方『平家物語』や御成敗式目については、そうした武士のエートスが表現されていると評価しています。
著者の考察に、つい、作品と精神を媒介する時代の展開を読み込んでしまいそうになるのは、やはり著者がヘーゲリアンだという先入見のせいでしょうか。すくなくとも、それらの作品を生み出した精神が、各時代ごとにどのような特徴をもっているのかということに著者の考察は向かわず、精神とそれを表現するかたちの関係のありかたに時代的な特徴を見いだす著者の立場は、「歴史的」というよりは「歴史哲学的」だといえるように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「史」という厳格な意味での歴史ではないです。
時代時代の造形芸術を抽出し、鑑識・評論を加えたものです。個別的にはおもしろいのですが、分厚い上下巻の割には、なんじゃこれって感じです。 -
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