愛と人生

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 107
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062193351

作品紹介・あらすじ

「男はつらいよ」シリーズの子役、秀吉だった「私」は寅次郎と一緒に行方不明になった母を探す旅に出た……27年の歳月を経て、そんな昔話を伊豆の温泉宿で「美保純」と懐かしくする「私」。
映画の登場人物とそれを演じる俳優の人生が渾然一体となって語られ、それぞれの時間が複雑に流れては戻る。
「文章の緩急を使い分ける力量」と「非常に面白い戦略」─中条省平氏、「ご褒美のような幸福感のラスト」─長野まゆみ氏
「大衆的な紋切り型を文学的技法として使った懐かしい雰囲気」─沼野光義氏、など絶賛され山田洋次監督も共感した、斬新で独創的な"寅さん小説"、表題作の「愛と人生」の他、大澤信亮氏に「あまりにも素晴らしい小説」と評された短編「かまち」とその続編「泥棒」の3作を収録。

感想・レビュー・書評

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  • なんだか大正期の私小説に似ている。
    神奈川の交通要所小田原の鉄道の歴史。

  • 映画『男はつらいよ』が大好きな人、もしくは美保純の大ファンに向けて書かれた作品だったのかもしれない。
    どちらにもあまり興味のない自分としては難しかった。

    シリーズ第39作目『男はつらいよ 寅次郎物語』に登場する、母親を探す少年役を演じた人目線の話だったと思う。映画のなかの世界と、現実世界との境が曖昧なまま話が進行していくスタイルは意外性があった。『男はつらいよ』の世界に『幸せの黄色ハンカチ』が混ざってくるあたりはとても驚いた。
    ただ、”これは二次創作なのではないか…? 同人レベルでやるならまだしも、一般小説として書店に置いていいものなのか…?”という疑念は最後まで消えなかった。

    著作権とか大丈夫なのだろうか。繰り返しお尻を描写されている美保純はどう思っているのだろう。
    すごく不思議。

  • 面白かった。主人公の君はいったい誰なんだ?と問いつつ、どっからが寅さんの話よと突っ込みつつのめり込んだ。新しい構成だね。

  • 雰囲気の良い装丁とパラ見の出だしにガッチリと心を掴まれ読みはじめてみるもののページを捲る毎になんだこりゃ感が増していく。
    寅さんの話?渥美清の話?えっ、この私ってどの私??と難解なメタにより穏やかな話の流れとは裏腹にあちらこちらとかなり振り回される。
    ラスト近くの健さんと見せかけたマニアックなギミックを年の功でクリアしても結局頭に残るのはあの美保純の尻のみ。
    それですら誰もが拝むことのできる尻を持ってくる確信犯的な計算高さなどとにかく作者の技巧満載の意欲作…何の話なのかさっぱりわからんかったのだが

  • 換気扇には百均でフィルターを買ってつけよう。

  • 映画「男はつらいよ」をベースにその演者が作品内の虚構と著者が設けるメタ虚構を行き来しながら人生の機微に想いを馳せる表題作。巧妙で繊細なフイクション間の逍遥に心地よく揺蕩いながら確かに映画のようなフィクションの鑑賞から実人生へ何かが譲り受けられまたその逆も然るべく絶えずフィードバックを繰り返すその営みは人の心のひと隅を緩やかに循環しながら人生を受け入れる土壌を形成するものかもしれないなあなどと得心する。他二篇。

  • 状況に、途中まで読んで、やめる!
    というのがないから、
    「今読んでいる」にしたが、
    2度と読まないだろう。

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著者プロフィール

滝口 悠生(たきぐち・ゆうしょう):小説家。1982年、東京都八丈島生まれ。埼玉県で育つ。2016年、「死んでいない者」で第154回芥川龍之介賞を受賞。主な著作に『寝相』『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』『茄子の輝き』『高架線』『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』『長い一日』『水平線』などがある。

「2024年 『さびしさについて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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