自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 402
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062193160

作品紹介・あらすじ

本書は、長年、自傷の問題に関わってきた著者が、「自傷行為の当事者に向けて、これまで診察室で伝えてきた、あるいは伝えたいと思った事柄」をやさしく語った本です。自傷行為を誰にも打ち明けられずにひとり悩んでいる人、援助を求めたことはあるけれどもかえって傷つく結果になってしまった、という人に向けて、書かれました。

内容は、「自分を知るため」の前半と、「自傷から回復するため」の後半に分かれており、すぐに役立ててもらえるように、具体的に語っていきます。特に後半では、毎日の生活習慣、衝動におそわれたときのコントロール、精神科にかかる場合のアドバイス、援助してくれる人との関わり方までを、丁寧にわかりやすく説明しています。

著者は、「自傷してしまう人」について、こう述べています。

〈あなたは、自傷している人のことを弱くてダメな人間だと勘違いしていませんか。あるいは、とても人様に自分の本当の姿を見せることなどできない、恥ずかしい存在、それとも、大してつらくもないのに表現がおおげさで人騒がせな人間だ、などと決めつけてはいないでしょうか。
私はそんなふうには思いません。それどころか、自傷する人はすごく自分に厳しくて、根性のある人が多いとさえ感じています。…〉

〈 私は、いま、この本を手に取っているあなたのことを、とても勇気がある人だと思います。だって、あなたは「変わろう」としているからです。「変わる」ことは前に進むこと、向上心のあらわれです。もちろん、いますぐ「変わろう」と思っているわけではないかもしれないですが、「このままではいけない」と感じていて、「いつかは変わりたい」、あるいは「変われたらいいな」と考えているのではないでしょうか。〉
(ともに本書「はじめに」より引用)

自傷から回復して新しい自分に変わるための、第一人者の精神科医による手引きの本です。

感想・レビュー・書評

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  • どうしてなんだろう、どうしてわたしはみんなを悲しませてもやめられないんだろうってずっと思ってた。
    何度も泣きながら読んだ本。

  • 自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント。松本俊彦先生の著書。自傷問題の専門家である精神科医の松本俊彦先生だからこそ書ける素晴らしい一冊。自傷問題を起こす自傷者を問題視したり敬遠したりするのではなくて、自傷者に親身に寄り添う松本俊彦先生の精神科医としての誠実さが伝わってきます。松本俊彦先生のような精神科医の先生が世の中にもっと増えると、患者さんやその家族も安心できるはず。

  • ・自傷行為をする人は、自身が生き残るために自傷している。自傷がエスカレートし死ぬことはあるが、死は目的としていない。
    ・自傷行為をやめるコツは、自傷に代わる行為を見つけ、何日続くかわからなくても、代わる行為でしのいでみること。数日しかつづかなくても、やろうとしたことはなかったことにはならないから、今度はもっと続くといいね、と思い、やってみること。

    今度はもっと続くといいね。

    番外
    ・自殺をする人のほとんどが、何らかの形で自殺を予告している。死ぬ死ぬゆう奴は死なんよ、と言うのは、間違い。

  • 自分を傷つけてしまう、ご本人に向けて書かれた本。

    自傷の現実、その傷の意味、リスクなどを、決して責めることなく、教えてくださっています。

    自傷をしている方の、まわりにいる方々にも紹介したくなる一冊です。

  • 「自分を傷つけてしまう人のためのレスキューガイド」に続けて、サポートする立場の者として読んでみた。

    内容的には「レスキューガイド」と重なる部分も多いが、こちらの方が全般的により詳しく説明されている。「レスキューガイド」にない内容として、本書では、日常生活での注意点の章があり、こちらも参考になる。

  • 自傷に関する本をたくさん書かれているそうで、この本は当事者に向けた初めての本。
    自傷する人は10代の10%いるということに驚いた。そう言われてみると、自分も小学生〜中学生の頃にどうにもならない苦しみ・怒りを自分にぶつけたことを思い出した。
    自傷と言っても刃物で手を切るだけが自傷ではなく、壁を殴ったり、頭をぶつけたりなど、自分の身体が傷つく行為はそれにあたると聞いて、自傷という言葉がさす範囲が広がった。
    私自身は刃物はないけれど、腕に爪を立てたり、捻ったりしたことがあり、その時の感情が本書に書かれていた通り、とてつもない心の苦しみを紛らわす効果があったような気がした。

    よく「リストカットする人は結局死ぬ気なんかないんだ」という声を耳にするけれど、そういった態度が余計に相手を傷つけ、自傷行為がエスカレートして最悪の場合は死に至ることもある。

    身体の痛みは心の鎮痛薬ということが理解できると、きっと自傷の人に対する理解が深まり、優しくできるようになると思う。

  • Kindle Unlimited
    2022/05/28

  • とても良かったです。
    文体は優しく語られていて、文章はとても読みやすくわかりやすいです。当事者にもその周りの方にも、また自傷行為など依存的な心理学(表現があってるかわかりませんが)を知りたい人にも良いと思いました。
    本当に患者さんのことを考えて寄り添っているのがとても伝わります。

  • 良書。これほどまでに、経験に基づきながらまとめた本はなかったのでは。

  • 自傷を行う人へ書かれた本。
    自傷を受け止め、そこに現れる心の動きを説明し、解決策を提示する。

    中高生の約1割は自傷をしたことがある
    自傷の理由の6割は「不快感情をやわらげるため」
    孤独な対処策
    孤立している
    他人を信じられず、助けを求められない
    自分に自信がなく、助けを求められない
    つらい記憶も切り離している
    →そのため、何がつらくて切ったのか、本人にもわからないことがある
    自傷する人は、言葉で自分の気持ちを表現するのが苦手なことが多い

    コントロール成功体験

    自分を傷つける関係性
    - 否定される関係性
    - 支配される関係性
    - 本当のことをいえない関係性

    ちょっと失敗したくらいで自分を責めないでください。

    自傷日誌をつけて、出来事と事象との関係を分析する
    トリガーとアンカー
    トリガーの強烈さランキングを作る

    置換スキル
    - 刺激的置換スキル
    - 鎮静的置換スキル

    褒められ依存症

    適度な運動

    「PIUS」という気持ちの伝え方

    生活のスケジュールを立てる

    助けを求め、相談する

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著者プロフィール

医師、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所依存症研究部長。
主な著作に『自分を傷つけずにはいられない―自傷から回復するためのヒント』二〇一五年、講談社。『誰がために医師はいる―クスリとヒトの現代論』二〇二一年、みすず書房。『世界一やさしい依存症入門; やめられないのは誰かのせい? (一四 歳の世渡り術)』二〇二一年、河出書房新社。『依存症と人類―われわれはアルコール・薬物と共存できるのか』C・E・フィッシャー著、翻訳、二〇二三年、みすず書房。ほか。

「2023年 『弱さの情報公開―つなぐー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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