背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190954

作品紹介・あらすじ

「読み返して驚いた。この本には、捏造をはじめとする、科学者の欺瞞がすべてといっていいほど網羅されている。STAP騒動について議論されているさまざまなことは、この本からみればデジャヴにすぎない」
 仲野 徹氏(大阪大学大学院・生命機能研究科教授)

STAP騒動で科学者の論文捏造が話題を集めているいま、1冊の科学書の復刊を求める声が各方面から寄せられている。科学者の不正行為を取材、分析した『背信の科学者たち』。ピューリツァー賞ジャーナリズム部門を2回受賞したウイリアム・ブロードと 『サイエンス』『ネイチャー』の科学記者だったニコラス・ウェイドがタッグを組み、古今東西の科学者の不正行為を調査した力作である。

誠実で「真理の探究者」と尊敬されている科学者による不正行為が後を絶たない。なぜ、彼らは自らの名誉と職を失いかねないリスクを冒してまでも不正行為に手を染めるのか?ガリレオ、ニュートンなど大科学者から詐欺師まがいの研究者まで豊富な事例を通じて、科学の本質に迫る。

<衝撃的事例を多数報告!>
●プトレマイオス
自分が行わなかった天文観測をあたかも行ったように主張した
●ニュートン
大作『プリンキピア』には、自説を補強する「疑惑のデータ」が含まれていた
●メンデル
あまり正確すぎて、真実とは思えない統計結果。疑われるデータ改ざん
●アルサブティ
約60篇に及ぶ科学論文を平然とパクった厚顔無恥な詐欺師
●スペクター
全世界を魅了した「がん統一理論」は捏造だった

ヒトES細胞捏造事件、東京大学大学院工学研究科RNA研究疑惑、大阪大学大学院生命機能研究科データ捏造事件、STAP細胞疑惑など、近年発生した科学者の不正行為に関するレポートも収録!

感想・レビュー・書評

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  • ニュートンやメンデルなど、歴史的に有名な科学者の衝撃的な"不正行為"が本書のはじめに取り上げれ、検証されますが、主題はあくまでもなぜ、科学者は背信を起こし、繰り返すのかです。歴史的なことを第2章に持ってきたのは、読者を"掴むため"と、繰り返しを探るためと思います。さらに、科学とはなにか?という根本的な問題も絡めています。
    「欺瞞」をキーワードに現代の科学が置かれている状況を踏まえながら、「ミスコンダクト」が起こる原因を探っています。
    参考文献と索引(最近の書籍は索引が付いているのが減っている気がします)が付いているので、読む手助けになると思います。「アルサプティ事件」は、"極端な例"ですが、興味深い事柄です。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99672692

  • 11月4日新着図書:【一部の科学者が冒してしまう、自らの名誉と職を失いかねない繰り返される不正行為に手を染める事例を通じ科学の本質に迫る問題作。】
    タイトル:背信の科学者たち : 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
    請求記号:402.8:Br
    URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB00275106

  • なぜ論文を捏造するのか。捏造を罰することは、捏造を控えさせることに繋がるのか。オススメ!

  • 500円購入2020-03-08

  • 理図書 402.8||B75 11887479

  • ノンフィクション
    サイエンス

  • 研究不正の例を並べるだけでなく、科学の構造的問題を指摘。それのみならず、根本的な認識問題まで踏み込む。

    すなわち、betrayer of the truth とは現実とかけはなれた幻想の科学・科学者観を持つすべての人を指している。科学・科学者に対する認識がそもそも事実と違う。このことにより、科学内部の欺瞞が真理追究を妨げることを許してしまうし、有効な対策が取れない。

    著者はいくつかの処方箋を提示する。雑誌の数を減らして(ひいては研究者の数を減らして)論文の質を高めること、場合によっては教育と研究を分離すること、論文をオーサーシップを明確にすること、など。しかし何より、科学は科学者という普通の人間による所業なのだという認識を持つことが先決であるとも。

    この本の視座からすると、ミスコンダクト防止教育(それ自体は大切だが)のプログラムは皮相的だと思った。

    原著が書かれたのが1982年なので、今なら再現性を担保する技術的基盤の話があってもいいのかも。

  • STAP細胞の事件が起こって、ばれるのに何故ミスコンダクトを行うのかが、気になっていたので読むことにした。
    「追試は科学の進歩の原動力とはならないため、滅多に実施されることはない」とあって驚いた。
    それなのに、科学者たちは「科学の自己修正機構」があると信じていることに矛盾を感じた。
    ミスコンダクトを行う人たちは、大なり小なりミスコンダクトをずっと行ってきていて、今まで通りにすれば上手く逃れられると思ったのかも…と思った。

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著者プロフィール

ウィスコンシン大学で科学史を学び、米科学誌『サイエンス』の記者として活躍。ピューリツァー賞ジャーナリズム部門を二回受賞したほか、科学ジャーナリストを対象にした賞をあらかた受賞。『ニューヨーク・タイムズ』の花形記者としても有名。最近は国際政治や安全保障問題への関心が高い。著書には『SDIゲーム スター・ウォーズの若き創造主たち』『バイオテロ! 細菌兵器の恐怖が迫る』など多数。

「2014年 『背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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