黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語

著者 :
  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062189729

作品紹介・あらすじ

日本競馬界屈指の種牡馬として活躍するステイゴールド「大逆転」の軌跡!

フェノーメノが史上3頭目となる天皇賞・春2連覇を達成。
「2歳女王」レッドリヴェールがダービーに出走予定。

史上9頭目の春秋グランプリ連覇を果たしたドリームジャーニー、
史上7頭目のクラシック三冠馬となったオルフェーヴル……。

社台をここまで本気にさせた日高の種牡馬はいなかった!
「黄金の配合」と名門・メジロ牧場の今に迫る。
そして始まった血を巡る喧噪――乗馬になっていた貴重なDNAとは。

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現役時代の愛称は「シルバーコレクター」。「28連敗」を喫したこともあった。

それゆえに、社台グループの生産馬・所有馬として競走生活を送りながら、種牡馬入りに当たっては外部に売却されかかった。

ところが、ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、そしてオルフェーヴル、ゴールドシップ、フェノーメノ、レッドリヴェールと、産駒たちが次々とG1を勝つと、状況は一変する。

過去5年(10度)の宝塚記念と有馬記念で計8勝――。
今や日本競馬界屈指の種牡馬に成り上がった、ステイゴールドの軌跡をたどり直す。

【主な内容】
第1章 オルフェーヴルに受け継がれた烈しい気性のルーツ
 武豊が一言「勝ちますよ」 ほか
第2章 種を制する者が競馬界を制す―社台が売却しかけた経緯
 吉田照哉「危うく売ってしまうところだった」/岡田繁幸の仲介 ほか
第3章 50戦7勝―2着12回・3着8回から得られた確信
 吉田勝己の確信 ほか
第4章 父のイメージを根底から覆した馬―ドリームジャーニー
第5章 日高にもたらした夢と希望―ナカヤマフェスタ
第6章 偶然が生み出した稀代の3冠馬―オルフェーヴル
第7章 「黄金の配合」と名門・メジロ牧場の今
 日本一を目指した北野豊吉/社台からの申し出と提案 ほか
第8章 親から子へ―代替わりして紡がれる新たな歴史
 相次ぐマックイーン牝馬の買い戻し ほか

感想・レビュー・書評

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  • 競馬って血が走り、夢が走るのだな。

  • サイレンススズカショックの後競馬から遠ざかっていたのでステイゴールド?種牡馬になれたんだ?って思った。
    ゴールドシップの宝塚記念連覇を見て、あのステイゴールドがこんな産駒を出すなんてとびっくり。
    ええ?あのオルフェーヴルも?
    えええ?メジロマックイーンとのニックス???
    10数年離れていた間に何があったのかを知ることができとても面白かった。
    買い戻されたメジロマックイーンの娘たちの運命も色んなドラマがあって、偶然や絡まる縁なんかも感心しきり。
    ステイゴールドもオリエンタルアートも亡くなってしまい、つい昨日はその2頭の最後の娘が病いで亡くなってしまい、そんな日にAmazonからこの本が届いたのも不思議な縁だななんて思った。

    ゴールドシップの有馬記念での引退種牡馬入りも決まっているしサンデーサイレンス、ステイゴールドの遺伝子を継ぐ優駿の誕生がとても楽しみになった。

    サイレンススズカが生きてたら絶対これに食い込む楽しみがあったのにな。
    いや、サイレンススズカが生きてたらステイゴールドは種牡馬になれてなかった可能性もあるか?!
    運命のいたずらだね。

  • 2月に急逝したステイゴールドの自身の活躍と産駒の活躍を描き、2014年のJRA賞の馬事文化賞を受賞した一冊。

    自身の競走成績や種牡馬導入時の経緯などを読んでいると数奇な運命のうえに今の地位が築かれたことを感じずにはいれませんでした。
    また、産駒の活躍で息を吹き返した生産者や繁殖牝馬が多くいることはエリート街道を歩んでいない雑草魂の賜であることを感じました。
    そして、気性の荒さは産駒にも健在でドリームジャーニーやナカヤマフェスタ、オルフェーヴルと本書に出てくる馬に共通して受け継がれているのだと感じました。

    本書を読んでメジロマックイーンとサンデーサイレンスの関係やメジロ牧場からレイクヴィラファームに変わる経緯などはじめて知るエピソードもありました。
    またマックイーン牝馬との相性の良さを解説した部分は新たな発見でもありました。

    飽和状態にあったサンデーサイレンス種牡馬としてあまり期待されずにスタートしたなかで三冠馬を含む数々の名馬を輩出してきたそのサクセスストーリーは読んでみて改めて凄いものだと感じました。
    本当に2月の急逝が惜しまれますが、オルフェーヴルをはじめとする後継馬たちがその地を紡いでいきまたターフを盛り上げてくれると共に競馬というブラッドスポーツと人と馬の絆の魅力を強く感じさせてくれる一冊でした。

  • 2014年の競馬本における最高傑作。
    出るレースは2着止まりのシルバーコレクター。大物になる要素はどこにもなかった。
    しかし、ドバイでの勝利をキッカケに、徐々に運命の歯車は彼の味方をし始める…。
    ステイゴールド本人はもちろん、彼の代表産駒(ドリジャ、フェスタ、オルフェ)、そして彼の活躍をアシストしたメジロマックイーンの存在も丁寧に追っているのが好印象。
    競馬ノンフィクションという側面だけではなく、「男の一代記」的な面白さもある。故に、競馬ファンでなくてもワクワク読める一冊ではないだろうか。

    まだまだこれからという時の2015年2月5日、ステイゴールドは大動脈破裂のため死亡。
    彼の底知れぬ可能性と狂気に対する答えは、世に送り出した産駒たちの活躍から導き出すしかない…

  • ステイゴールドを中心として、本馬の現役生活から種牡馬初期、現在の状況をはじめ、父として出した仔(オルフェーヴル、ドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ)に対して深く掘り下げて綴ったもの。
    また、黄金配合とされる母父メジロマックイーンとメジロ牧場の関係など盛りだくさんの内容となっている。

    ステイゴールドについて現状はホントに奇跡に近い形で種が繋がっていたんだなぁ。
    母父メジロマックイーンも細い糸を手繰り寄せ、偶然と生まれた産物だったんですね。
    ステイゴールドという競走馬時代から不思議な魅力があり、種牡馬として恵まれない環境からここまでの成績を残した本馬。
    その関係を知りたい人には是非読んでもらいたい1冊です。

    個人的にはナカヤマフェスタの遠征に纏わる話が興味深く、岡田総帥の存在はやはり大きいということを実感しましたね。

  • 競馬がギャンブルであるがゆえに偏見の目で見られることは甘受するが、こういう良著に出会うたびに溜飲を下げる思いがする。
    本著は、いまや押しも押されもしない種牡馬ステイゴールドが辿って来た数奇な運命が、彼にたずさわって来た周辺の人々に焦点を当て、描かれている。
    ・日高にもたらした夢と希望ーナカヤマフェスタ
    の章には、つい落涙してしまった。

  • 人気薄で幾度となく上位に飛び込んでくるのになかなか勝ち切れない、愛すべき残念な馬。そんな目で私はステイゴールドのことを見ていたため、彼がドバイでファンタスティックライトを破ったときには本当に驚いたし、香港での引退レースで絶望的な位置から差し切った豪脚も強烈な印象として脳裏に焼き付いている。

    それから10年。三たび彼に驚かされることになるとは思いも寄らなかった。当初はさほど期待されていなかった種牡馬生活において産駒が次々と大活躍。特に父ステイゴールド×母父メジロマックイーンという謎のニックスが、オルフェーヴルやゴールドシップといった個性的な名馬を生み出したことは大きな話題となった。そのくせ、マックの独壇場だった天皇賞春ではオルフェーヴルもゴールドシップも惨敗を喫し、その一方で同じステイゴールド産駒でも短距離馬デインヒルを母父とするフェノーメノが天皇賞春を連覇するなど、考えれば考えるほどわけがわからない。この「わけのわからなさ」が今も昔も変わらないステイゴールドの最大の魅力なのだと私は思う。

    ということで、本書はこの「わけのわからなさ」にどのように迫っているのだろうかと期待して読み始めたわけだが、実際にはウィキペディアに毛が生えた程度の記述しかなく、ガッカリさせられた。ステイゴールドの半生を表面的に網羅してはいるものの、「ステイゴールドとは一体何者なのか」という問いの核心を衝いてはいない。

    しかも、本書の中で最も気合いの入っている箇所が、ステイゴールドと直接何の関係もないメジロ牧場についての記述だというところがまた何とも…。残念ながら著者のステイゴールドへの愛着や執着が伝わってこなかったというのが正直なところ。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。スポーツ紙の競馬担当記者を経て、フリーライターとして活躍。2014年、ステイゴールドのサクセスストーリーを丹念に描いた『黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語』で馬事文化賞を受賞。

「2016年 『名馬の理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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